8月戻り高値から一旦反落したが、15年2月期再増額の可能性や中期成長力を評価して出直りの流れに変化なし
総合人材サービス事業を展開するキャリアリンク <6070> (東2)の株価は、今期(15年2月期)業績見通しの増額修正を好感し、550円近辺のモミ合いから8月19日の戻り高値630円まで上伸した。その後は利益確定売りで一旦反落したが足元は560円近辺から切り返す動きだ。今期再増額の可能性も支援材料であり、中期成長力を評価して出直りの流れに変化はないだろう。なお9月30日に第2四半期累計(3月~8月)の業績発表を予定している。
96年設立、12年11月東証マザーズ新規上場、13年8月東証2部市場に市場変更した。BPO関連事業を主軸に、人材派遣・紹介や業務請負などの総合人材サービス事業を展開している。顧客の業務効率化や品質向上などを実現する企画提案型の人材派遣および業務請負を特徴としており、行動規範には「日本一親身な人材サービスカンパニー」を掲げている。
事業区分は、官公庁・地方公共団体・民間企業向け業務プロセス関連のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)関連事業を主力として、テレマーケティング事業者や企業コンタクトセンター(コールセンター)向けのCRM(カスターマー・リレーションシップ・マネジメント)関連事業、一般事務職分野の一般事務事業、製造・物流分野の製造技術系事業も展開している。
主力のBPO関連事業では、企画提案による顧客企業の業務効率化や業務処理の品質向上を強みとしており、それらを実現するために、いわゆる「単なるスタッフ派遣」ではなく、「経験豊富な社員をリーダーとして編成したチーム」を派遣する「チーム派遣」を特徴としている。顧客にとっては、導入時の研修や導入後の業務指導などに係る負担が軽減され、短期間で定型業務の大量処理が可能になるというメリットもある。
またBPOベンダーからの再委託を含めて、年金関連業務のような1000名を超える大型案件でも、稼働開始まで短期間で対応できるノウハウを有していることが強みだ。さらにスタッフに対しては、キャリアパス制度などを活用して能力、満足度、出勤率、稼働率を高める仕組みを構築している。こうした仕組みも、チーム派遣や大型案件に対する短期間での対応を支えている。
今期(15年2月期)の業績(非連結)見通しについては、8月12日に第2四半期累計(3月~8月)および通期の見通しを増額修正した。売上面では官公庁向けBPO案件および民間BPO案件の受注が想定以上となり、利益面では業務効率化による生産性向上が想定以上に進展していることも寄与する。
第2四半期累計の見通しについては、前回予想(4月14日公表)に対して売上高を3億12百万円増額して前年同期比3.2%増の65億19百万円、営業利益を2億13百万円増額して同37.0%増の3億89百万円、経常利益を2億18百万円増額して同39.0%増の3億85百万円、純利益を1億38百万円増額して同39.0%増の2億28百万円とした。
通期見通しについては、前回予想(4月14日公表)に対して売上高を7億11百万円増額して前期比17.0%増の135億68百万円、営業利益を1億73百万円増額して同78.5%増の5億30百万円、経常利益を1億79百万円増額して同84.4%増の5億20百万円、純利益を1億05百万円増額して同91.3%増の3億08百万円とした。配当予想は年間14円(期末一括)で変更はない。
なお第2四半期累計の利益増額幅と通期の利益増額幅を見ると、下期(9月~2月)については保守的な見通しとしている。不透明要因が多いことに加えて、来期(16年2月期)以降の業容拡大に向けた体制作りなど先行投資も考慮しているようだ。ただし主力のBPO関連事業を中心として受注が好調であり、生産性向上も寄与して通期利益見通しは再増額の可能性が高い。
今期の重点戦略としては、BPO関連事業では官公庁の年金関連の大型プロジェクトが一巡したため民間BPO案件の受注拡大、CRM関連事業では首都圏で稼動中の大型コンタクトセンターへの派遣拡大、戦略拠点の札幌支店や沖縄支店における新規案件獲得、一般事務事業では既存取引先企業への事務系派遣の拡大、製造技術系事業では自動車関連の受注拡大を推進する方針だ。
さらにマイナンバー(社会保障・税番号)制度導入に関して、国が想定しているロードマップ(案)では、15年10月から順次付番・通知が開始され、16年1月から制度が順次利用開始されることになっている。このため来期はマイナンバー制度関連業務として、官公庁・自治体BPO案件だけでなく、金融機関などの民間BPO案件に広がることが予想される。官から民への事業移管や業務委託が一段と加速することも追い風であり、これらの業務ついては同社が得意とする分野であり、中期的に収益拡大基調が予想される。
なお8月12日に株主優待制度の一部変更を発表した。優待内容について従来の「100株以上保有株主に対してクオカード1000円相当」を、保有株式数に応じて「100株以上300株未満保有株主に対してクオカード1000円相当、300株以上保有株主に対してクオカード2000円相当」に変更した。
株価の動きを見ると、4月中旬~5月下旬の安値圏460円~480円近辺で下値固めが完了して出直り展開となった。さらに8月12日発表の今期業績見通しの増額修正を好感し、540円~560円近辺での短期モミ合いから上放れて8月19日の戻り高値630円まで上伸した。その後は利益確定売りで一旦反落したが、足元では560円近辺から切り返しの動きを強めている。利益確定売りがほぼ一巡したようだ。
9月4日の終値571円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS49円84銭で算出)は11~12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間14円で算出)は2.5%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS289円26銭で算出)は2.0倍近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線を突破して強基調への転換を確認した形であり、上向きの13週移動平均線が接近してサポートラインとなりそうだ。今期利益見通し再増額の可能性も支援材料であり、中期成長力を評価して出直りの流れに変化はないだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
総合人材サービス事業を展開するキャリアリンク<6070>(東2)の株価は、今期(15年2月期)業績見通しの増額修正を好感し、550円近辺のモミ合いから8月19日の戻り高値630円まで上伸した。
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2014-09-05 09:00