【アナリスト水田雅展の銘柄分析】川崎近海汽船は短期調整一巡して切り返し、6月高値試す

  川崎近海汽船 <9179> (東2)の株価は、6月高値363円から利益確定売りで反落し、7月31日発表の第1四半期(4月~6月)営業赤字で急落する場面もあったが、8月中旬の直近安値圏310円台から切り返しの動きを強めている。3%近辺の高配当利回りなど指標面の割安感も支援材料であり、短期調整が一巡して6月高値を試す展開だろう。   石炭・木材・鋼材輸送などの近海部門と、石炭・石灰石・紙製品・農産品輸送やフェリー輸送などの内航部門、その他事業(北海道地区における不動産賃貸事業など)を展開している。   14年4月に発表した中期経営計画では、目標値として17年3月期売上高490億円(近海部門180億円、内航部門310億円)、営業利益37億50百万円(近海部門4億円の赤字、内航部門41億50百万円の利益)、経常利益37億円、純利益24億円、新造船建造等に対する3年間総額の投資額135億円を掲げている。近海部門では船隊大型化、バルク輸送の船隊整備、内航部門では不定期船輸送の船隊整備などを推進する方針だ。   また中期成長に向けた新規分野として、13年10月オフショア・オペレーションと均等出資で合弁会社オフショア・ジャパンを設立し、日本近海における海洋資源開発・探査・掘削設備、および洋上再生可能エネルギー設備に関わるオフショア支援船業務に進出した。さらにLNG(液化天然ガス)輸送分野への参入も検討しているようだ。   今期(15年3月期)の連結業績見通しは前回予想(4月30日公表)を据え置いて売上高が前期比4.1%増の475億円、営業利益が同5.2%増の21億円、経常利益が同0.4%増の20億円、純利益が同2.4倍の13億円、配当予想が同1円増配の年間10円(第2四半期末5円、期末5円)としている。   近海部門では石炭・セメントなどのバルク輸送、内航部門では石灰石・石炭などの専用船輸送やRORO船定期航路が堅調に推移し、船舶量適正化や運航コスト削減なども寄与して燃料油価格の上昇などを吸収する。8月に就航した最新型省エネ船である新造RORO船「北王丸」も寄与しそうだ。純利益については、前期計上した船舶売却損失や保有船舶減損損失といった特別損失の一巡も寄与する。   第1四半期(4月~6月)は所有船のドック入りが集中し、修繕費が増加したことも影響して営業赤字だったが、売上面は堅調に推移している。修繕費が増加した影響は一時的で、通期ベースでは好業績が期待される。世界的な景気回復などで近海部門の市況が上向けばさらに追い風となる。なお想定為替レートは1米ドル=105円(前期実績は1米ドル=99円52銭)としている。   株価の動きを見ると、6月20日高値363円から利益確定売りで反落し、7月31日に発表した第1四半期の営業赤字で急落する場面もあったが、8月中旬の直近安値圏310円台から切り返しの動きを強めている。9月3日と4日には340円まで戻す場面があった。短期調整が一巡したようだ。   9月4日の終値335円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS44円28銭で算出)は7~8倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は3.0%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS759円73銭で算出)は0.4倍近辺である。日足チャートで見ると一旦割り込んだ25日移動平均線を突破して上伸した。また週足チャートで見ると26週移動平均線近辺から反発してサポートラインを確認した形だ。3%近辺の高配当利回りなど指標面の割安感も支援材料であり、6月高値を試す展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
川崎近海汽船<9179>(東2)の株価は、6月高値363円から利益確定売りで反落し、7月31日発表の第1四半期(4月~6月)営業赤字で急落する場面もあったが、8月中旬の直近安値圏310円台から切り返しの動きを強めている。
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2014-09-05 09:15