【為替本日の注目点】米雇用鈍化響かずドル円上値を試すか、FOMC年末相場予想

 NY市場  ドル円は雇用統計の結果が予想に届かなかったことで下値を試し、一時104円68銭まで下落。しかし、それでも米景気の拡大傾向は不変との見方が徐々に強まり105円台に乗せて取引を終える。  ユーロドルも雇用統計の結果を受け反発したものの、1.30台には届かず、上値の重い展開が続く。  株式市場は反発。雇用統計が予想外に低調だったことで、低金利が維持されるとの見方が拡大。ダウは67ドル上昇し1万7100台を回復。  債券相場は小幅に下落。5年債など長期債と超長期債の利回りは格差が拡大。10年債利回りは2.46%台とやや上昇。  金は反発し、原油は大幅に下落。   8月失業率 → 6.1%   8月非農業部門雇用者数 →+14.2万人      ドル/円 104.68~ 105.26  ユーロ/ドル 1.2943 ~ 1.2990  ユーロ/円 135.81 ~ 136.35  NYダウ +67.78 → 17,137.36ドル  GOLD +0.80   → 1,267.30ドル  WTI -1.16     → 93.29ドル  米10年国債 +0.010 → 2.460%  本日の注目イベント  日   7月経常収支   日   4-6月GDP(改定値)   中   中国 8月貿易収支   独   独7月貿易収支   独   独7月経常収支   米   7月消費者信用残高   ドル円は7月の米雇用統計で雇用者の伸びが予想外に低調だったことで発表直後に売られ、一時は104円68銭まで下落しましたが、そこから切り返し結局NY市場の終値は105円台に乗せています。雇用者増の鈍化は「一時的」との見方が優勢で、「米景気の拡大傾向は変わらない」といった声が多かったようです。  7月の非農業部門雇用者数は市場予想の22万人の増加に対して14.2万人でした。これでFRBが目標とする20万人を7ヶ月振りに下回ったことになります。また、7月分については20.9万人から21.2万人に上方修正されましたが、6月分については29.8万人から26.7万人に下方修正され、こちらはニュートラルといったところでしょうか。  先週ドル円は105円71銭までドル高が進行しました。米利上げ観測が早まる一方、消費増税の影響がじわじわと出始めたことで日銀による追加緩和観測も噂され始めたことが背景でした。先週末の雇用統計ではややサプライズでしたが、それでもドル円は105円台まで反発しており、週明けのオセアニア市場でも、ほぼ雇用統計前の水準まで戻っています。高値から丁度1円ほど下落したことで「調整」を終えた感じもしますが、これまでのドル円の動きからすればやや上昇スピードが速いことは否めません。今後は恐らく105円を挟む展開に落ち着くのではないかと予想しています。  重要なのは来週のFOMCです。良好な経済指標が確認されていることから、FOMCで利上げに向けて明確なメッセージを市場に向けて発信するのかどうかがポイントになりそうです。「タカ派」の代表格の一人であるフィラデルフィア連銀のプロッサ-総裁は6日の講演で、米経済がFRBの目標にさらに大きく近づいており、目標達成まで金利をゼロ近くに据え置くことは「危険な戦略だ」との見解を示しています。  一方「ハト派」の一人であるボストン連銀のローゼングレン総裁は、米雇用市場における余剰リソースが引き続きインフレを目標未満に抑制しているとして、FOMCは景気刺激の巻き戻しを急ぐべきではないとの見方を示しています。このようにFOMCメンバーの中でも依然として意見が分かれており、イエレン議長の手腕が試されるところですが、イエレン議長自信が「超ハト派」から、「中立」に変わってきたとの見方もあります。来週のFOMCでどのようなメッセージが発せられるか、年末に向けた相場を予想する上で非常に重要なイベントと言えます。  本日は雇用統計の結果も消化しつつ、ドル円はどこまで上値を試せるかという流れになるのではないかと見ています。レンジは104円70銭から105円40銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
ドル円は雇用統計の結果が予想に届かなかったことで下値を試し、一時104円68銭まで下落。しかし、それでも米景気の拡大傾向は不変との見方が徐々に強まり105円台に乗せて取引を終える。
economic,gaitameonline,gaitamedotinterview,fxExchange
2014-09-08 09:15