日本ライフラインはモミ合い上放れの動き、6月戻り高値試す

  医療機器輸入商社の日本ライフライン <7575> (JQS)の株価は、人口血管開発の一部報道を材料視した6月24日戻り高値892円から反落し、その後は750円~800円近辺のレンジでモミ合う展開だった。ただし8月29日以降は終値で800円台を維持して、モミ合い上放れの動きを強めている。中期成長力を評価する流れに変化はなく、モミ合い上放れて6月戻り高値を試す展開だろう。高配当利回りも支援材料だ。   心臓ペースメーカやカテーテルなど心臓循環器領域を中心とする医療機器輸入商社である。品目区分としては心臓ペースメーカ、ICD(植込み型除細動器)、CRT-D(除細動機能付き両心室ペースメーカ)などのリズムディバイス部門、EPカテーテル、アブレーションカテーテル、心腔内除細動カテーテル、高周波心房中隔穿刺針などのEP/アブレーション部門、人工心臓弁、人工血管、ステントグラフトなどの外科関連部門、バルーンカテーテル、ガイドワイヤーなどのインターベンション部門、および血液浄化関連などのその他部門を展開している。   国内を網羅する販売代理店ネットワークを構築した商社機能に加えて、メーカー機能の強化に向けて、09年に人工血管などを製造するJUNKEN MEDICAL社、10年にガイドワイヤーなどを製造するSYNEXMED社(香港)を子会社化した。採算性の高い自社製品の売上構成比上昇に向けて生産体制を一段と強化する方針で、14年10月には新工場となる小山ファクトリー(栃木県小山市)の稼動を予定している。   今期(15年3月期)の連結業績見通しについては、前回予想(5月2日公表)を据え置いて売上高が前期比4.8%増の255億39百万円だが、営業利益は同11.7%減の10億76百万円、経常利益は同19.1%減の10億81百万円としている。純利益は4億91百万円の黒字化(前期は2億02百万円の赤字)で、配当予想は前期と同額の年間25円(期末一括)としている。   売上面では、特にペースメーカ関連で保険償還価格改定の影響を受けるが、EP/アブレーションと外科関連の拡大が牽引する。収益性の高い自社製品の拡販、高周波心房中隔穿刺システムや胸部用ステントグラフトなど前期販売開始した新商品の数量増加、さらに今期販売開始の新製品も寄与して増収見通しだ。   品目別売上高の計画は、リズムディバイスはペースメーカ関連が減少して同12.7%減の57億72百万円、EP/アブレーションはEPカテーテルや高周波心房中隔穿刺システムが好調で同16.4%増の104億97百万円、外科関連は人工血管の好調や新商品のオープンステントグラフトが寄与して同12.0%増の51億87百万円、インターベンションはバルーンカテーテルが減少して同6.7%減の26億29百万円、その他は同12.3%増の14億52百万円としている。自社製品の売上高は同9.9%増の112億95百万円、自社製品の売上構成比(単体ベース)は47.4%の計画だ。   利益面では、増収効果、自社製品比率上昇に伴うプロダクトミックス改善効果、原価低減効果などで売上総利益は増加するが、来期以降の新商品導入に係る薬事関連費用(治験費用、検査費、支払手数料)の増加で営業利益と経常利益は減益見通しとしている。純利益は前期計上の特別損失一巡や小山ファクトリー稼動に伴う助成金が寄与して黒字化見通しだ。収益性の高い自社製品の拡販で売上総利益率改善が進展するため、通期利益見通しに上振れ余地があるだろう。   新商品に関しては、4月にバルーンカテーテルで初の自社製品となる「canPass」の販売を開始し、8月には心臓ペースメーカ新商品「REPLY200」の販売を開始した。第2四半期(7月~9月)には、外科関連で国内オンリーワン製品(国内唯一の開胸手術用)となる自社製品「J-Graftオープンステントグラフト」の販売を開始する。   第4四半期(1月~3月)には、MRI(磁気共鳴画像)検査対応の心臓ペースメーカ「KORA」、およびICD関連の「INTENSIA」の上市を目指している。そして来期(16年3月期)はアブレーションのイリゲーション機能付き新製品の上市を目指し、15年春には子会社ハートブレーンがAED(自動体外式除細動器)の販売開始を予定している。   なお9月1日には、人工心肺回路や人工肺など人工心肺関連製品の取り扱いを、15年3月末をもって終了すると発表した。人工心肺関連製品を取り巻く環境の変化に対応して決定したもので、引き続き人工血管や弁膜症関連製品に注力するとしている。   中期目標数値としては19年3月期売上高351億円、営業利益率10%以上を掲げ、メーカー機能と商社機能を併せ持つ強みを活かして各分野の商品ラインナップ充実で成長を目指すとしている。コアビジネスは輸入商品中心のリズムディバイスから、自社製品中心のEP/アブレーションおよび外科関連へシフトするようだ。中期的に収益拡大基調だろう。   株価の動きを見ると、人口血管開発の一部報道を材料視した6月24日戻り高値892円から反落し、その後は概ね750円~800円近辺のレンジでモミ合う展開となった。ただし8月29日以降は終値で800円台を維持して、モミ合い上放れの動きを強めている。   9月8日の終値814円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS45円52銭で算出)は17~18倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間25円で算出)は3.1%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1354円09銭で算出)は0.6倍近辺である。日足チャートで見ると一旦割り込んだ25日移動平均線を回復した。また週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって強基調を維持している。中期成長力を評価する流れに変化はなく、モミ合い上放れて6月戻り高値を試す展開だろう。高配当利回りも支援材料だ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
医療機器輸入商社の日本ライフライン<7575>(JQS)の株価は、人口血管開発の一部報道を材料視した6月24日戻り高値892円から反落し、その後は750円~800円近辺のレンジでモミ合う展開だった。
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2014-09-09 09:15