リプロセル、iPSの世界的ブランド買収で技術優位性を確保し販路も拡充
リプロセル <4978> は2014年9月8日、連結子会社であるReproCELL USAによって米Stemgent社のiPS細胞事業を買収すると発表した。買収価格は850万米ドル(約9億円)。ReproCELL USAは、事業譲渡を受ける2014年9月30日に社名をStemgentに変更する。
Stemgent社は、iPS細胞技術の上流から下流までをカバーする幅広い技術を有していることが大きな特徴。iPS細胞分野で世界を代表する実績とブランドを有している。特に、iPS細胞の作成技術(リプログラミング)においては、mRNA Reprogrammingという最先端の技術により、効率的かつ安全で、より臨床応用に近いiPS細胞の作成を可能にしている。
リプロセルでは、今回の買収について、「(先に買収した)米BioServeの細胞バンク事業と組み合わせることで、多種多様なiPS細胞を効率的に作成することが可能になり、今後、細胞製品のラインナップが大幅に広がります」としている。
また、Stemgentは、iPS細胞から神経細胞や心筋細胞などへ変化させるプロセス(分化誘導)においても、特殊化学技術を用いて、より効率的かつ品質の高い分化誘導を可能としているが、この分野においては、2014年7月に完全子会社化した英Reinnervateの三次元培養技術を使うことで、より高機能な細胞が得られることが知られている。
このように、Stemgent、BioServe、そして、Reinnervateの技術を組み合わせることによって「iPS細胞製品の技術的優位性の確保を徹底させるとともに、再生医療の実現へ、また一歩前進してまいります」と、意義を強調している。
一方、リプロセルが日本の京都大学の中辻憲夫教授と東京大学の中内啓光教授がファウンダーとなり設立した会社であり、BioServeが米国国立衛星研究所の研究者が創業、Reinnervateが英国ダーラム大学発でベンチャー企業、Stemgentも著名な研究者を技術顧問に招へいするなど、日米英にわたる強固な研究開発体制を強化した。さらに、Stemgentが持つ米国を中心とする大学や製薬会社という顧客基盤を取り込むことによって、グローバルな販売網が一段と強化された。
リプロセルは、「グループシナジー効果によるグローバル展開の加速と技術競争力の強化によって、創薬や、再生医療などの最先端医療への貢献を積極的に推進してまいります」としている。(編集担当:徳永浩)
リプロセルは2014年9月8日、連結子会社であるReproCELL USAによって米Stemgent社のiPS細胞事業を買収すると発表した。
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2014-09-09 13:30