TACは下値固め完了して反発のタイミング、収益改善を期待
「資格の学校」を運営するTAC <4319> の株価は、8月8日と13日に249円まで調整した。第1四半期(4月~6月)の減収減益が嫌気され、8月上旬の全般地合い悪化も影響したようだ。しかし足元では260円台に戻している。直近安値圏で下値固めが完了し、収益改善期待で反発のタイミングだろう。
財務・会計分野(簿記検定・公認会計士など)、経営・税務分野(税理士・中小企業診断士など)、金融・不動産分野(宅建・不動産鑑定士・FPなど)、法律分野(司法試験・司法書士など)、公務員・労務分野(社会保険労務士・国家総合職など)といった幅広い分野で「資格の学校」を運営し、法人研修事業、出版事業、人材事業も展開している。
13年12月に増進会出版社と資本業務提携した。増進会出版社は子会社のZ会を通じて通信教育事業などを展開している。当社の教室運営ノウハウや資格系コンテンツ開発力と、増進会出版社の通信教育ノウハウや教養系コンテンツ開発力を融合させて、新たなソリューションの提供を目指す戦略だ。
なお8月26日、ヒロキエクスプレス(当社代表取締役社長の斎藤博明が全株保有)が保有する当社株式のうち92万5200株を、東京証券取引所の市場内立会外取引(ToSTNeT-1)で増進会出版社に売却した。この結果、第1位株主ヒロキエクスプレスの保有比率が35.05%から30.04%に低下し、増進会出版社の保有比率が5.00%から10.00%に上昇して第2位株主となった。増進会出版社との資本関係がより強固となり、業務提携の成果を早期に実現させる方針だ。
14年6月には、神戸市などでレセプト点検・整理業務を中心に医療機関事務部門に特化した人材サービスを展開するクボ医療(兵庫県加古郡)と、医療事務に関する労働者派遣事業・レセプト作成請負業務を展開する医療事務スタッフ関西(兵庫県神戸市)を子会社化した。両社の持つノウハウを活用して医療系の資格取得分野への進出、医療事務関連の人材サービス事業の全国展開を目指す方針だ。
なお当社の四半期業績については季節変動の特徴がある。主な資格講座の本試験は第2四半期(7月~9月)と第3四半期(10月~12月)に集中し、特に公認会計士・税理士講座は試験終了直後の第2四半期と第3四半期が翌年受験のための申込時期となる。このため第2四半期と第3四半期は現金売上および売掛金計上が増加するが、受講期間に応じて前受金に振り替えられる一方で、経費は毎四半期一定額が計上されるため売上総利益率が低下する。そして第4四半期(1月~3月)と第1四半期(4月~6月)は、前受金が各月の売上高に振り替えられる期となるため売上総利益率が上昇する傾向が強い。
今期(15年3月期)の連結業績見通しは前回予想(5月15日公表)を据え置いて、売上高が前期比1.1%減の203億円、営業利益が同1.5%増の10億50百万円、経常利益が同16.9%減の10億80百万円、純利益が同24.7%減の6億15百万円、配当予想は前期と同額の年間1円(期末一括)としている。14年3月に発生した消費増税前の駆け込み申込の反動で減収となり、事業構造改革効果の一巡などで営業利益は微増益にとどまり、投資有価証券運用益の一巡などで経常利益と純利益は減益見通しとしている。
第1四半期(4月~6月)は、消費増税前駆け込み申込の反動で前年同期比4.2%減収、同22.3%営業減益、同29.5%経常減益、同30.9%最終減益だったが、第2四半期累計(4月~9月)見通しに対する進捗率は売上高が51.2%、営業利益が60.5%、経常利益が58.8%、純利益が63.9%となった。四半期変動要因の影響を考慮すれば概ね順調な水準だろう。
今期の重点的な取り組みとしては、新講座の開発(教員試験対策講座の本格開講、建築士講座のさらなる拡大)、増進会出版社との共同事業の推進、新規ビジネスとして連結子会社オンラインスクールによる新たな資格学習者層の開拓・囲い込み、持分法適用関連会社プロフェッションネットワークによる実務家向けビジネスの拡大、そしてコスト削減への継続的取り組みを推進する方針だ。
来期(16年3月期)は、増進会出版社との業務提携効果の本格寄与も期待され、収益は改善基調だろう。なお9月9日に固定資産の取得を発表した。現在本店所在地として賃借している西村ビル(東京都千代田区)を取得する。取得価額は33億円(長期借入金にて支払予定)で、業績への影響は16年3月期以降、毎期2億円程度の家賃削減効果が見込まれるとしている。
株価の動きを見ると、280円~300円近辺での短期モミ合いから下放れの形となり、8月8日と8月13日に249円まで調整した。第1四半期の減収減益が嫌気され、8月上旬の全般地合い悪化も影響したようだ。しかし足元では260円台に戻している。直近安値圏250円近辺で下値固めが完了したようだ。
9月9日の終値264円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS33円24銭で算出)は8倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間1円で算出)は0.4%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS224円46銭で算出)は1.2倍近辺である。週足チャートで見ると13週移動平均線を割り込んで調整局面だが、日足チャートで見ると25日移動平均線を突破した。下値固めが完了して反発のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
「資格の学校」を運営するTAC<4319>(東1)の株価は、8月8日と13日に249円まで調整した。第1四半期(4月~6月)の減収減益が嫌気され、8月上旬の全般地合い悪化も影響したようだ。
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2014-09-10 09:15