りそな銀行、中堅・中小企業に簡便・低コストの総合型DC制度を提案

 りそな銀行は2014年9月に、福岡商工会議所と連携し、福岡県下の中堅・中小企業向けの総合型確定拠出年金(DC)制度の加入提案を開始した。福岡県下の企業に加入を募って2015年4月に制度運営をスタートする計画。りそな銀行は、福岡の他にも、大阪、神戸、埼玉などで商工会議所と連携して総合型DC制度を運営するなど、中堅・中小企業向けDC制度に幅広く取り組んでいる。りそな銀行年金営業部確定拠出年金室グループリーダーの林久功氏(写真)に、福岡商工会議所との連携を中心にりそな銀行が提供する総合型DC制度について聞いた。 ――福岡商工会議所と業務提携し、福岡県下の中堅・中小企業向けの確定拠出年金制度を新たに発足することになったということですが、その経緯は?  福岡県下の中堅・中小企業が加入していた厚生年金基金が解散することを決定され、その受け皿制度を検討されており、地元に貢献できる制度がなにかできないか、ということで福岡商工会議所にご相談させていただいたことが始まりです。  福岡商工会議所は、会員企業のために、非常に熱心な会員向けサービスを展開なさっておられ、りそな銀行が大阪や神戸において地元の商工会議所と連携した総合型DC制度を提供している実績があることもご存知でした。  そこで、商工会議所として地域の振興、さらなる会員向けサービスの向上につながる施策として福岡県下の中小企業を対象にした総合型確定拠出年金制度「福商確定拠出年金(DC)プラン」を設立することになりました。 ――りそな銀行が商工会議所と連携した総合型DC制度の実績は?  これまでに、大阪商工会議所、神戸商工会議所(神戸商工会議所を中心に兵庫県下の7会議所と連携)、埼玉商工会議所と提携している実績があります。  このような商工会議所との連携では、主として個々の商工会議所が、会員向けのサービスをさらに向上しようとして総合型DC制度について前向きに取り組んでいただいております。DC制度を通じて加入手続きなどの事務手続きを商工会議所と連携して説明するのですが、会員企業との接点も増え、各種相談にも乗っていただいています。 ――「福商確定拠出年金(DC)プラン」の内容は?  福岡県下に主たる事業所を持つ企業であれば、福岡商工会議所の会員、非会員を問わず加入することができるDC制度です。DC制度加入時に、加入企業と福岡商工会議所の間で事務委託契約を締結していただき、福岡商工会議所が各種事務代行や掛金のとりまとめを行います。運営管理機関はりそな銀行が務め、記録関連業務はJIS&T(日本インベスター・ソリューション・アンド・テクノロジー)、資産管理機関はJTSB(日本トラスティ・サービス信託銀行)が行います。  加入企業は原則15名以上の加入者がいることですが、加入企業のグループであれば少人数であっても受け入れるなど柔軟に対応します。企業ごとに、毎月の掛金や加入対象者、マッチング拠出の実施などは自由に設定できます。運用商品は共通ですが、定期預金や保険商品、そして、各アセットクラスの投資信託・年金投資基金信託を揃え、投資に不慣れな方から経験者の方まで、満足していただけるラインナップになっています。  福岡県下の企業に加入していただく制度として、定期預金には、地元の西日本シティ銀行、福岡銀行の定期預金を商品ラインナップに加えました。 ――総合型DC制度にすることによって制度導入費用が抑えられるということですが、どの程度の費用で制度を導入することができるのですか?  DC制度導入にあたっては、「負担3要素」といわれる「コスト負担」、「導入負担」、「運営負担」がかかってきます。たとえば、「コスト負担」については、加入者が30名の企業であれば、初年度に約25万円(税抜)、次年度以降に年間で約16万円(税抜)となります。この他に、資産管理手数料として加入者1人当たり年間1200円(税抜)と投資教育にかかる教育費用が必要になりますが、単独でDCを導入するよりも、コスト低減が可能です。  また、制度導入にあたっては、りそな銀行のコンサルタントがサポートさせていただきます。制度運営の負担は、福岡商工会議所が事務代行などでサポートしますのでDC制度導入後の事務負担が大幅に抑えられます。地元の中堅、中小企業にとって身近で安心してご利用いただける制度として検討していただけるものになっていると思います。 ――DC制度については、現在も厚生労働省などで制度改定の議論が進んでいます。実際に企業のDC制度の運営に当たって運営管理機関として企業をサポートし、また、導入を働きかけている立場から、現在のDC制度の改善点のポイントを、どう感じていますか?  DC制度を導入している企業から多く聞こえるのは、拠出限度額をもっと広げてほしいという要望です。マッチング拠出を検討している企業からは、現在の企業による拠出額を考えるとマッチング拠出を制度化するには、もう一段の拠出限度額の引き上げが必要だという声があがっています。  また、60歳以降まで積み立てた資金を引き出せないという点の見直しを求める声もあります。企業が拠出して積み立てていく制度なので、退職時に一時金として手渡すことができるようになれば、「年金」に加え「退職金」としての性格も加わるので、制度導入を前向きに検討するというところもあります。   ――今後のりそな銀行としてのDC制度に関する取り組みは?  年金関連サービスについては50年にわたる経験があり、様々な企業ニーズにお応えできると自負しています。国内の中堅・中小企業との取引が多いというりそな銀行の特徴を活かし、中堅・中小企業向けの総合サービスを拡充する中で、DC制度に関する提案も積極的に行っていきたいと思っています。  総合型DC制度としては、商工会議所連携のDC制度以外に企業の所在地を問わず全国の企業が加入できる「ちゃくちゃくプラン」もあります。すでに約270社に加入していただいている制度ですが、コストを抑えて簡便にスタートできるDC制度として利用が進んでいます。  また、DC制度を導入されている企業向けの投資教育(継続教育)の点でも、総合型DC制度の加入者に合わせた取り組みを行っています。たとえば、商工会議所と連携した制度では、加入企業に対して制度改定や、世界の金融市場の現状などについて情報を提供するセミナーを年に1回は開催しています。さらに、希望する企業には個別相談会を提供することもあります。その他、DC制度や資産運用について分かりやすく解説した冊子やDVDの提供など、それぞれの企業の実情に合わせた対応を行っています。(取材・編集担当:徳永浩)
りそな銀行年金営業部確定拠出年金室グループリーダーの林久功氏(写真)に、福岡商工会議所との連携を中心にりそな銀行が提供する総合型DC制度について聞いた。
japan,economic
2014-09-11 14:30