イーグランドは出直り本格化してIPO直後の高値圏目指す展開
中古住宅再生事業のイーグランド <3294> (JQS)の株価は、9月末の株式分割と株主優待制度新設を好感し、8月8日の直近安値2300円から8月21日の3430円まで切り返した。その後も概ね戻り高値圏3000円~3300円近辺で堅調に推移している。中古再生住宅の需要は旺盛であり、出直りの動きが本格化して13年12月IPO直後の高値圏4000円台を目指す展開だろう。
首都圏を地盤に、中古マンション・戸建住宅の再生事業を主力として、その他不動産事業(不動産賃貸、リフォーム工事請負など)も展開している。中古住宅再生事業は、競売や任売(任意取引)で仕入れた中古住宅を個々の状況に応じてリフォームし、中古再生住宅として販売する。
長年の不動産競売取引で培った価格算定力を活かして、首都圏(1都3県)での不動産競売において業界一の落札実績を持ち、若年ファミリー層など初めて住宅を購入する層をメインターゲットとして、ボリュームゾーン2000万円以下の低価格帯居住用物件の取り扱いを主力としている。リフォームコストを抑えることで良質で安価な中古住宅を提供するとともに、家具付き販売や最低10年アフターサービス保証などで他社物件との差別化を図っていることも特徴だ。
リスク低減への取り組みとしては、仕入から販売までの期間を適切に管理するとともに、原則1戸単位でエリアを分散した仕入を実行している。14年3月期の物件平均保有期間は5.7ヵ月で13年3月期の6.3ヵ月から0.6ヵ月短縮した。また現在は仕入の約3分の2が競売仕入、約3分の1が任売仕入だが、今後は首都圏での任売仕入強化に伴って、任売仕入の比率が上昇する見通しだ。
中期成長に向けて仕入力強化と事業エリア拡大戦略を推進している。10年3月に札幌支店、11年11月に宇都宮支店、14年5月に関西支店を開設した。中古住宅再生事業が継続的に見込める新たな事業展開エリアとして、今後は名古屋、福岡、仙台への進出を視野に入れている。中期目標数値としては仕入件数を毎期2割増加させ、19年3月期をメドに売上高300億円を目指している。ストック型収益基盤構築に向けて不動産賃貸事業も強化する方針だ。
なお8月29日に、りそな銀行との間で10億円のコミットメントライン契約を締結した。今後の事業拡大を見据え、新たに機動的な物件取得を可能とする資金調達枠の確保を目的としている。
今期(15年3月期)の業績(非連結)見通し(5月12日公表)は売上高が前期比26.8%増の158億85百万円、営業利益が同3.0%増の12億32百万円、経常利益が同6.6%増の10億15百万円、そして純利益が同7.8%増の6億29百万円としている。
低価格の中古再生住宅に対する需要は旺盛であり、関西支店の開設、仕入・販売件数の増加、賃料収入の増加、売上総利益率の上昇などで人件費や仲介手数料の増加を吸収し、増収増益見込みとしている。販売件数は同175件増の823件、平均販売価格は前期と同水準の19百万円の計画である。なお関西支店は前期末時点で販売用不動産43件(5億81百万円)を取得済みとしている。
第1四半期(4月~6月)は、消費増税の影響を受けて販売件数が前年同期の170件から157件に減少したが、概ね計画水準のようだ。仕入件数は前年同期の161件から204件に増加した。関西エリアにおける仕入活動本格化も寄与して販売用不動産の積み上げが順調に推移している。第2四半期累計(4月~9月)見通しに対する第1四半期の進捗率は売上高が45.8%、営業利益が50.3%、経常利益が50.3%、純利益が52.0%と順調な水準であり、第2四半期(7月~9月)には消費増税の影響も概ね一巡しているようだ。通期ベースで見れば消費増税の影響は比較的小さく、好業績が期待されるだろう。
なお8月8日に株式分割、株式分割に伴う配当予想の修正、株主優待制度の新設を発表している。株式分割については14年9月30日を基準日(効力発生日14年10月1日)として1株を4株に分割する。株式分割に伴って今期の配当予想を従来の年間40円(期末一括)から年間10円(期末一括)に修正したが、実質的な変更はなく前期との比較でも実質的に同額となる。
株主優待制度は、毎年3月末および9月末時点で1単元(100株)以上保有する株主に対してクオカード1000円分を贈呈し、14年9月末から実施する。14年9月末時点に関しては株式4分割前の株主が対象となり、15年3月末時点からは株式4分割後の株主が対象となるが、株式4分割後も上記の優待内容となる。
株価の動き(13年12月公開価格3300円に対して初値4200円、高値4655円)を見ると、8月8日発表の株式分割と株主優待制度新設を好感する形で、8月8日の直近安値2300円から8月21日の3430円まで切り返した。その後も概ね戻り高値圏の3000円~3300円近辺で堅調に推移し、足元では再動意の構えを見せている。
9月11日の終値3250円を指標面(株式4分割前)で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS400円27銭で算出)は8倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間40円で算出)は1.2%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS2491円29銭で算出)は1.3倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線が接近して水準切り上げの動きを見せている。また週足チャートで見ると26週移動平均線を突破し、13週移動平均線が26週移動平均線を上抜くゴールデンクロスが接近している。強基調に転換した形であり、出直りの動きが本格化して13年12月IPO直後の高値圏4000円台を目指す展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
中古住宅再生事業のイーグランド<3294>(JQS)の株価は、9月末の株式分割と株主優待制度新設を好感し、8月8日の直近安値2300円から8月21日の3430円まで切り返した。
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2014-09-12 09:00