クレスコは適度な自律調整を挟みながら上昇トレンド、今期配当予想の増額修正も好感して上値追い
受託ソフトウェア開発のクレスコ <4674> の株価は、適度な自律調整を挟みながら高値を更新する展開が続き、8月28日には1353円まで上値を伸ばした。好業績を評価する流れに変化はなく13年秋を起点とする上昇トレンドだ。足元は1300円近辺での推移だが指標面に割高感はなく、9月16日に発表した今期(15年3月期)配当予想の増額修正も好感して上値追いの展開だろう。
ビジネス系のソフトウェア開発事業を主力として、組込型ソフトウェア開発事業、その他事業(商品・製品販売など)も展開している。重点施策としては品質マネジメント力の向上、新ビジネスモデルの創出、グループ連携強化による収益性改善、ニアショア・オフショア化(地方分散開発体制強化と海外開発体制整備)の推進などを掲げ、特にクラウド関連ソリューションやオリジナル製品(インテリジェントフォルダ、クレアージュなど)の拡販、組込型ソフトウェア開発事業の再構築などを推進している。
得意分野を持つビジネスパートナーとのアライアンス・M&A戦略も積極活用する方針で、13年4月にソリューション事業のクリエイティブジャパンを完全子会社化、企業コンサルティング事業のエル・ティー・エスを持分法適用会社化した。13年9月には三谷産業 <8285> とクラウドサービス事業で協業体制を構築した。14年3月には法人向け電子マニュアル/電子カタログサービス分野でゴマブックスと戦略的提携し、企業内文書デジタルサービス「Creage for Digital Publishing」の提供を開始した。
14年6月には子会社クレスコ・イー・ソリューションと協業で、SAP基幹業務をモバイル化して業務効率を向上させる新ソリューション「Mobick(モビック)」の販売を開始した。マルチデバイス対応で、専用ハンディターミナルシステムから汎用タブレットを利用したモバイルシステムへの変更、外出先からの営業日報作成やワークフロー承認が可能になるなど、業務効率を格段に向上させるソリューションとしている。
また8月25日には、高速クラウド構築支援サービスでSkeedと戦略的技術提携すると発表した。Skeedの大容量高速ファイル転送ソフトウェア「Silver Bullet」と、当社のオンラインストレージサービス「インテリジェントフォルダ」やクラウド基盤構築支援サービス「クレアージュ」を組み合わせてソリューションメニューの充実を目指す。
今期(15年3月期)の連結業績見通しは前回予想(5月7日公表)を据え置いて売上高が前期比8.5%増の239億円、営業利益が同15.4%増の16億50百万円、経常利益が同7.3%増の18億円、純利益が同14.7%増の10億80百万円としている。
主力のソフトウェア開発事業で金融分野や公共サービス分野の好調が牽引する。基幹系システムや情報系システムの受注増加、日立グループ向けが主力の子会社クリエイティブジャパンの寄与に加えて、新ソリューション「Mobick」の販売本格化も期待される。組込型ソフトウェア開発事業はカーエレクトロニクス分野の好調などで営業損益が改善する。
第1四半期(4月~6月)はソフトウェア開発事業の好調などで前年同期比14.7%増収、同72.5%営業増益、同53.9%経常増益、同95.3%最終増益となり、通期見通しに対する進捗率は売上高が24.3%、営業利益が23.0%、経常利益が24.6%、純利益が33.1%と順調な水準である。第1四半期の受注高は同12.5%増の58億81百万円、第1四半期末時点の受注残高は35億41百万円と高水準であり、年度末にあたる第4四半期(1月~3月)の構成比が高い収益構造も考慮すれば、通期上振れ余地があるだろう。
国内のIT投資需要は、クラウドやモバイル端末を活用したシステムへの移行、ITシステム基盤の統合・再構築、ビジネスプロセスの可視化・最適化、ビッグデータの分析と活用、仮想化技術の導入、ソーシャル・テクノロジーのビジネス活用などで、高水準に推移すると予想される。中期的にも収益拡大基調だろう。
なお9月16日に今期の配当予想の増額修正を発表した。特別損益を零とした場合に算出される当期純利益の40%相当額を継続的に実現することを目指し、前回予想(5月7日公表)に対して4円増額の年間34円(第2四半期末17円、期末17円)とした。前期との比較でも4円増配となる。
株価の動きを見ると、適度な自律調整を挟みながら高値を更新する展開が続いている。8月28日には1353円まで上値を伸ばした。好業績を評価する流れに変化はなく、13年秋を起点とする上昇トレンドだ。足元は1300円近辺で堅調に推移して自律調整一巡のタイミングだろう。
9月16日の終値1308円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS102円94銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間34円で算出)は2.6%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS849円71銭で算出)は1.5倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線に接近して自律調整一巡のタイミングだろう。指標面に割高感はなく、今期配当予想の増額修正も好感して上値追いの展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
受託ソフトウェア開発のクレスコ<4674>(東1)の株価は、適度な自律調整を挟みながら高値を更新する展開が続き、8月28日には1353円まで上値を伸ばした。
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2014-09-17 09:00