生化学工業は目先的な過熱感が解消して動意のタイミング

  関節機能改善剤アルツが主力の生化学工業 <4548> の株価は、8月末に腰椎椎間板ヘルニア治療薬の15年販売開始を材料視して動意付き、8月29日2054円まで急伸した。その後9月10日1503円まで一旦調整したが、9月17日には1620円まで戻す場面があった。今期(15年3月期)業績見通し上振れの可能性も評価材料であり、目先的な過熱感が解消して動意のタイミングだろう。   国内医薬品(関節機能改善剤アルツ、白内障手術補助剤オペガン、内視鏡用粘膜下注入材ムコアップ)、海外医薬品(米国向け関節機能改善剤スパルツ、米国向け単回投与関節機能改善剤ジェル・ワン、中国向けアルツ)、医薬品原体(ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸)、およびLAL事業(エンドトキシン測定用試薬関連)を展開している。高齢者人口増加を背景にアルツおよびジェル・ワンの需要拡大が期待される。   09年3月策定の「生化学工業10年ビジョン」に基づいて、研究開発は糖質科学分野に焦点を絞っている。開発中の新薬としては、腰椎椎間板ヘルニア治療剤SI-6603(コンドリアーゼ)、アルツの腱・靭帯付着部症の適応症追加SI-657、変形性膝関節症改善剤SI-613、ドライアイ治療剤SI-614、関節リウマチ治療剤SI-615などがある。SI-6603は14年1月に国内で製造販売承認申請した。米国では実施中の第Ⅲ相臨床試験の進捗に注力している。またSI-614は14年5月に米国で第Ⅱ・Ⅲ相臨床試験を開始している。   今期(15年3月期)の連結業績見通しについては前回予想(5月13日公表)を据え置いて売上高が前期比1.6%減の291億50百万円、営業利益が同44.3%減の27億50百万円、経常利益が同28.5%減の42億円、純利益が同27.3%減の34億50百万円で、配当予想は前期と同額の年間26円(第2四半期末13円、期末13円)としている。   売上面では、国内の関節機能改善剤アルツが薬価改定の影響を受け、米国向け関節機能改善剤スパルツが競争激化や前期の販売提携先での在庫積み増しの反動影響を受けるため、全体として減収見通しとしている。想定為替レートは1米ドル=102円としている。利益面では営業外収益で受取ロイヤリティーが増加するが、新生産設備稼働に伴う減価償却費の増加、研究開発費の増加、販売関連費用の増加などで大幅減益見通しとしている。   第1四半期(4月~6月)は、国内での薬価改定の影響、前年同期が高水準だった海外向けの反動減、減価償却費や研究開発費の増加、前年同期に計上した特別利益の一巡などで前年同期比0.9%減収、同44.4%営業減益、同33.9%経常減益、同41.5%最終減益だった。しかし国内で関節機能改善剤アルツが増収であり、通期見通しに対する進捗率は売上高が26.0%、営業利益が43.2%、経常利益が36.9%、純利益が36.3%と高水準である。通期業績の会社見通しは保守的な印象が強く、上振れの可能性があるだろう。   株価の動きを見ると、8月下旬に1200円~1300円近辺のモミ合いから上放れ、8月末に腰椎椎間板ヘルニア治療薬の15年販売開始を材料視して動意付き、8月29日の2054円まで急伸した。その後は利益確定売りで9月10日の1503円まで一旦調整したが、9月17日には1620円まで戻す場面があり、切り返しの動きを強めている。   9月17日の終値1571円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS60円73銭で算出)は25~26倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は1.7%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1140円48銭で算出)は1.4倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線に対するプラス乖離率が縮小して目先的な過熱感が解消した。今期業績見通し上振れの可能性も評価材料であり、動意のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
関節機能改善剤アルツが主力の生化学工業<4548>(東1)の株価は、8月末に腰椎椎間板ヘルニア治療薬の15年販売開始を材料視して動意付き、8月29日2054円まで急伸した。
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2014-09-18 09:00