カーリットホールディングスは８月直近安値から切り返して出直り本格化

　　自動車用緊急保安炎筒などを展開するカーリットホールディングス <4275> の株価は、第１四半期（４月～６月）の営業赤字に対する売りが一巡し、出直りの動きが本格化している。８月１日の直近安値５０９円から切り返しの展開となり、９月１６日には６０３円まで戻した。強基調への転換を確認した形であり、２次電池関連を材料視した６月高値６８５円を試す展開だろう。低ＰＢＲも支援材料だ。 　　日本カーリットが純粋持株会社を設立して１３年１０月東証１部市場に上場した。化学品事業（産業用爆薬、自動車用緊急保安炎筒、信号炎管、危険性評価試験受託、電池試験受託、化成品関連、電子材料・機能性材料など）、ボトリング事業、産業用部材事業（半導体用シリコンウェーハ、研削材、耐火・耐熱金物など）を展開している。 　　自動車用緊急保安炎筒は新車装着用・車検交換用を展開し、国内市場シェアは約８～９割と想定される。ボトリング事業は伊藤園 <2593> 向けが主力だ。半導体用シリコンウェーハは小口径４～６インチのニッチ市場を主力としている。海外は中国・上海、シンガポールに展開している。 　　前中期経営計画「飛躍５００」では「事業領域の拡大、市場の拡大、シェアの拡大という、３つの拡大戦略により売上高５００億円の化学会社への成長」を基本方針として、グループ収益基盤と総合力強化に向けたＭ＆Ａ戦略を積極展開して事業を多様化してきた。 　　１３年１０月に一級建築士事務所の総合設計を子会社化し、上下水道・排水処理施設設計分野に進出した。１４年２月には東洋発條工業を子会社化した。自動車・建設機械向けを中心とした各種スプリング分野に展開し、耐火・耐熱金物の並田機工などと合わせた産業用部材事業を新たな収益柱とする方針だ。 　　また８月２８日には、組織変更で広報部を新設（１０月１日付）すると発表した。ステークホルダーをはじめ社外に対する情報発信を充実させ、グループブランドの強化を図る方針だ。 　　今期（１５年３月期）の連結業績見通しは、前回予想（５月１５日公表）を据え置いて売上高が前期比１８．０％増の４７０億円、営業利益が同０．３％増の１６億円、経常利益が同１．４％増の１７億円、純利益が同２８．１％減の９億円、配当予想が前期と同額の年間１０円（期末一括）としている。Ｍ＆Ａ効果も寄与して大幅増収見込みだ。 　　セグメント別売上高の計画は、化学品事業が２次電池充放電受託試験の本格稼働、緊急脱出用ガラス破壊器具付き自動車用緊急保安炎筒「ハイフレヤープラスピック」の拡販、工業薬品のシェア拡大、光機能性材料の車載用・建材用熱線遮蔽フィルムの販売開始などで同１３．０％増の１７０億円、ボトリング事業がホット飲料の増産体制構築などで同４．６％増の２００億円、産業用部材事業が東洋発條工業の通期連結、並田機工のごみ焼却場向け新商品投入などで同７７．４％増の９０億円としている。 　　第１四半期（４月～６月）はボトリング事業の定期修理、新規連結子会社ののれん償却費、電池試験所への設備投資に係る減価償却費などが影響して営業赤字だったが、通期ベースでは消費増税の反動影響などが一巡し、電池試験受託の本格化、新規連結の東洋発條工業も寄与して挽回が期待される。Ｍ＆Ａ戦略も奏功して中期的に収益拡大基調だろう。 　　株価の動きを見ると、第１四半期の営業赤字により売られたものの、出直りの動きが本格化している。８月１日の直近安値５０９円から切り返しの展開となり、９月１６日には６０３円まで戻した。２次電池関連を材料視して急伸した６月高値６８５円を試す動きのようだ。 　　９月１７日の終値５９６円を指標面で見ると、今期予想連結ＰＥＲ（会社予想の連結ＥＰＳ４３円７１銭で算出）は１３～１４倍近辺、今期予想配当利回り（会社予想の年間１０円で算出）は１．７％近辺、前期実績ＰＢＲ（前期実績の連結ＢＰＳ９２２円９８銭で算出）は０．６倍近辺である。日足チャートで見ると一旦割り込んだ２５日移動平均線を回復して上伸した。また週足チャートで見ると１３週移動平均線を突破した。強基調への転換を確認した形であり、６月高値を試す展開だろう。低ＰＢＲも支援材料だ。（情報提供：日本インタビュ新聞社＝Ｍｅｄｉａ－ＩＲ）