ラクーンは15年4月期増収増益見通しを再評価して反発のタイミング

  企業間電子商取引(EC)サイトを運営するラクーン <3031> (東マ)の株価は、第1四半期(5月~7月)業績を好感する形で8月28日に584円まで急伸する場面があったが、買いが続かず足元は概ね480円~500円近辺で推移している。ただし8月8日の直近安値452円水準まで下押す動きは見られない。今期(15年4月期)増収増益見通しを再評価して反発のタイミングだろう。   アパレル・雑貨分野の企業間ECサイト「スーパーデリバリー」の運営を主力として、BtoB掛売り・請求書決済代行サービスのPaid(ペイド)事業や売掛債権保証事業など周辺分野にも事業領域を広げている。さらに14年3月にはクラウド受発注ツール「COREC(コレック)」のサービスを開始(ビジネスプラン課金開始は14年9月)した。   EC事業「スーパーデリバリー」流通に係る売上高に関して、従来は出展企業と会員小売店が「スーパーデリバリー」を通じて取引した金額を売上高として計上(総額表示)し、商品仕入高も売上原価に計上していたが、今期(15年4月期)から、商品仕入高を売上高と相殺して表示する方法(純額表示)に変更する。この変更によってEC事業「スーパーデリバリー」流通に係る売上高は、出展企業から徴収するシステム利用料売上となる。   また従来は販管費に計上していたシステムに関する償却費、決済手数料、その他「スーパーデリバリー」運営管理費用を、システム利用料売上に対応する売上原価項目として計上する。このため従来の総額表示に比べて見かけ以上の売上高は減少するが、利益面には変更はなく、利益率が大幅に上昇する形となる。なお今後は「スーパーデリバリー」における取引総額を「流通額」として別途開示する。   会計処理変更で売上高を減額修正する形になったが、従来の「総額表示」では収益力の実態が見えにくいという一部指摘があった点が解消されることになり、今回の「総額表示」から「純額表示」への変更で実態としての収益力の高さが見えやすくなったと言えるだろう。   8月27日に発表した今期(15年4月期)第1四半期(5月~7月)の連結業績は、売上高が前年同期比(会計処理変更に伴う遡及修正後)5.7%増の4億90百万円となり、営業利益が同48.5%増の57百万円、経常利益が同55.0%増の58百万円、そして純利益が同74.5%増の35百万円だった。   セグメント別(内部取引・全社費用等調整前)に見ると、EC事業は「スーパーデリバリー」の流通額が同4.7%増の23億06百万円と順調で、売上高が同2.1%増の3億75百万円、営業利益が同14.0%増の34百万円だった。会員小売店舗数は前期末比1266店舗増加の4万1707店舗、出展企業数は同32社増加の980社、商材掲載数は同1413点減少の45万1702点だった。クラウド受発注ツール「COREC(コレック)」のユーザー数は759社となった。   Paid事業は売上高が同27.3%増の59百万円、営業利益が7百万円の赤字(前年同期は13百万円の赤字)だった。取引高(連結グループ内取引含む)が同25.5%増加し、営業赤字が縮小した。売掛債権保証事業は売上高が同13.2%増の1億33百万円、営業利益が同62.3%増の19百万円だった。保証残高(連結グループ内残高含む)は同9.8%減少したが、新規クライアント獲得は順調のようだ。   通期の連結業績見通しは前回予想(8月18日に会計方針の変更に伴って売上高を減額修正)を据え置いて、売上高が20億円~20億50百万円(会計処理変更に伴う遡及修正後の前期比3.5%増~6.1%増)、営業利益が2億75百万円~2億85百万円(同11.3%増~15.4%増)、経常利益が2億70百万円~2億80百万円(同8.9%増~12.9%増)、純利益が1億45百万円~1億55百万円(同17.9%増~26.0%増)としている。   主力のEC事業「スーパーデリバリー」の流通額は増加基調であり、Paid(ペイド)事業や売掛債権保証事業も順調に増加して収益化が進む。さらに14年3月にサービス開始(ビジネスプラン課金開始は14年9月)したクラウド受発注ツール「COREC(コレック)」も寄与して増収増益見込みだ。中期的にも収益拡大基調だろう。   株価の動きを見ると、第1四半期業績を好感する形で8月28日に584円まで急伸する場面があったが、買いが続かず、足元は概ね480円~500円近辺で推移している。ただし8月8日の直近安値452円水準まで下押す動きは見られない。   9月18日の終値478円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社レンジ予想の連結EPS上限値26円52銭で算出)は18倍近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS264円17銭で算出)は1.8倍近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形となったが、5月安値394円、8月安値452円と下値を切り上げる形だ。今期増収増益見通しを再評価して反発のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
企業間電子商取引(EC)サイトを運営するラクーンの株価は、第1四半期(5月~7月)業績を好感する形で8月28日に584円まで急伸する場面があったが、買いが続かず足元は概ね480円~500円近辺で推移している。
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2014-09-19 09:00