米国経済好調で株高・円安トレンド続く?=外為オンライン・佐藤氏

日本の株式市場が5月のピークを抜けて、新高値を目指すようになり、それに合わせるかのように為替市場でも1ドル100円を超える水準にとどまっている。こうした背景には、米国経済の好調な統計、さらにユーロの予想外の強さがある。はたして12月もこのままのトレンドでいくのか。外為オンライン・シニアアナリストの佐藤正和氏に12月相場の動向を伺った。(写真はサーチナ撮影)
――ユーロがこの時期に大きく上昇していますが、その背景には何があるのでしょうか?
ひとつにはドイツの景気が良いということだと思います。政治的にも、大連立が成功して安定を見せていますし、ドイツの株式市場もDAX指数が最高値を更新するなど、絶好調。利下げ懸念も少なくなっており、海外から資金が流れ込んでいるのだと思います。
一時期あったギリシャの債務問題もここに来て大きく騒がれなくなっており、ユーロドルが1ユーロ=1.37までいきましたが、さすがに1.38まではいかないのではないかと考えています。それだけ米国景気も好調ですからね。
そういう意味では、12月のユーロの予想レンジは対ドルでは、1ユーロ=1.32ドル-1.37ドル。ユーロ円では、1ユーロ=136円-141円と見ています。円安のスピードも速いので、1ユーロ=141円台もあるのではないかと思っています。
――米国株が史上最高値を更新する一方で、円は着々と100円台を固めつつあります。
現在のドル円に関しては、株高と円安がセットになっていると見ていいと思います。米国に関していえば、株は上昇するしかないでしょうね。1ヶ月に850億ドルもの債券を購入し続けているわけですから、これだけの量的緩和のなかでは株価は上がるしかないでしょう。
過剰流動性に恐る恐る株を買っているということかも知れませんが、当然ながら米ドルは買われて円が下がる。そうなると、ドル高(円安)+株高となって、日本の株も上昇するということになります。
ドル円の需給を示す「IMMポジション」でも、12万枚の円売りドル買いのポジションが積み上がっており、当分はこのトレンドがひっくり返るような事態は考えにくいかもしれません。おそらく12月は現在の1ドル=100円の水準を固めに来るものと考えています。
――そうなるとドル円の見通しは?
まずは12月6日に発表される雇用統計が重要になってきます。非農業部門の雇用者数は18万5000人増という予想が出ていますが、20万人を超えてくる可能性もあります。さらに、過去の雇用統計の修正も気になるところです。ここで予想外の好調な数字がでているようだと、ひょっとしたら12月17日-18日に実施されるFOMCで、テーパリング(量的緩和縮小)に踏み切ってくる可能性もあります。
ただ、仮にそのようなことになっても今年の5月に起きたような、株価暴落にはいたらないんじゃないでしょうか。バーナンキ議長の在任中にテーパリングを始めるのは、いいタイミングかもしれません。
ただし、みんな忘れているようですが、1月末には米国の債務上限問題と予算成立の問題があり、これが早ければ12月末にはまた頭をもたげてくるはずです。そう考えると、12月のドル円の予想レンジは、1ドル99円-104円というところでしょうか。
――一方、対ドルで大きく下落している豪ドルですが、12月の展開はどう予想されますか?
対ドルでは、一時期0.90台にまで大きく売られましたが、12月の利下げの可能性は薄いと予想しています。また、中央銀行であるRBA(オーストラリア準備銀行)の幹部は、依然として豪ドル高を牽制するコメントを繰り返しています。
したがって、当面は豪ドル安が続くのではないかと思います。予想レンジは、1豪ドル=90円-94円というところでしょうか。
いすれにしても、12月は来年以降の円安相場の地固めの時期。米ドルの押し目があったら拾っておく、そんなスタンスでいいのではないでしょうか。(取材・文責:サーチナ・メディア編集部)
日本の株式市場が5月のピークを抜けて、新高値を目指すようになり、それに合わせるかのように為替市場でも1ドル100円を超える水準にとどまっている。こうした背景には、米国経済の好調な統計、さらにユーロの予想外の強さがある。はたして12月もこのままのトレンドでいくのか。
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