【為替・株式相場展望】大勢として円安・株高の流れだが、重要イベント通過して急ピッチの上昇にも警戒感、一旦は利益確定の可能性

 9月22日~26日の株式・為替相場は大勢として円安・株高の流れだが、重要イベントを通過して次は10月3日の米9月雇用統計まで谷間となる。急ピッチの上昇に対する警戒感もあって一旦は利益確定の動きを強める可能性があるだろう。  17日の米FOMC(連邦公開市場委員会)声明とイエレン米FRB(連邦準備制度理事会)議長の記者会見を受けて、外国為替市場ではドル買い・円売りの動きが加速し、米国株も上昇した。  早期利上げのフォワードガイダンスが示されるかどうかが注目されたFOMC声明文では「相当な期間」という文言は継続されたが、メンバーによる15年~17年の政策金利見通しが上方修正され、次回10月28日~29日開催のFOMCで量的緩和策第3弾(QE3)を終了するという出口戦略の大枠が示された。またイエレン米FRB議長は記者会見でゼロ金利政策解除について「経済データ次第」と述べた。これに対して外国為替市場では早期利上げ観測を強めてドル買い・円売りの動きが加速し、米国株式市場では早期利上げ観測が後退して主要株価指数が上昇した。  米FOMC後の米国市場の動きを好感して日本市場でも円安・株高が加速した。19日にはスコットランド独立の住民投票否決も材料視され、ドル・円相場は1ドル=109円40銭台までドル高・円安が進行する場面があった。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の外貨建て資産投資増額観測、日銀の追加緩和観測も引き続き円売り材料視されている。  ドル高・円安進行の加速を好感して、19日の日経平均株価は取引時間中に1万6364円08銭まで上昇して13年12月30日の取引時間中の高値1万6320円22銭を突破し、終値ベースでも1万6321円17銭となって13年12月30日の1万6291円31銭を突破した。安倍晋三首相がGPIFについて「できるだけ早くポートフォリオの見直しを行いたい」と述べたことも材料視されたようだ。  週末19日の米国市場では、ダウ工業株30種平均株価が取引時間中に1万7350ドル64セント、終値で1万7279ドル74セント、S&P500株価指数は取引時間中に2019.26の史上最高値をつけた。ただし買い一巡後は新規上場のアリババに資金がシフトする形で値を崩し、ダウ工業株30種平均株価は上げ幅を縮小し、S&P500株価指数とナスダック総合株価指数はマイナスに転じた。米10年債利回りは2.63%台まで上昇する場面があったが、終盤には2.57%台に低下した。為替は1ドル=109円00銭台、1ユーロ=139円90銭台だった。CME日経225先物(円建て)は1万6210円だった。  9月22日~26日の株式・為替相場も大勢としては円安・株高の流れが継続しそうだが、日本市場は23日の休日を挟むうえに、重要イベントを通過して次は10月3日の米9月雇用統計まで谷間となる。急ピッチの上昇に対する警戒感もあってポジション巻き戻しの動きや利益確定の動きが出やすい状況だろう。  米国市場ではドル買い・株高の流れが加速したが、FOMC声明とイエレン米FRB議長の記者会見対して、外国為替市場では早期利上げ観測が強まったとしてドル買い、株式市場では早期利上げ観測が後退したとして株買いというように、各々が「いいとこ取り」の解釈をしているとの見方が多い。  米10年債利回りは週末19日に一時2.63%台まで上昇したとはいえ、前週末12日の2.62%水準を僅かに上回ったに過ぎず、外国為替市場での急速なドル買いの動きに後追いした印象も強い。為替はテクニカル要因でドル高・円安の動きが加速した可能性もあり、日米金利差拡大でドル高・円安進行という中期シナリオに乗った動きが本格化してきたとは言い難い状況だ。  日本株の上昇も日経平均株価1万6000円台乗せ後の急ピッチの上昇は指数相場化の印象があり、ヘッジファンドなど投機筋の仕掛け的な動きやショートカバーの動きとの見方もある。ドル建ての日経平均株価はそれほど上昇していない。  政策期待でアベノミクス第2章スタートとの見方もあるが、国内では7~9月期実質GDPの回復ペース鈍化や景況感悪化が懸念され、15年10月予定の消費増税第2弾(8%から10%へ引き上げ)実施を危ぶむ見方も優勢になってきただけに、アベノミクス成長戦略を評価した国内要因主導の上昇とも言い難い状況だ。引き続きドル・円相場と米国株の動向次第であり、急ピッチの上昇に対する警戒感で一旦は利益確定売りが出やすいだろう。  この他の海外要因ではウクライナやイスラム国を巡る地政学リスクに引き続き注意が必要となり、国内要因では9月29日召集の臨時国会に向けて安倍改造内閣への政策期待や日銀への追加緩和期待が高まるかどうかが焦点だろう。  物色面ではドル高・円安が一段と進行すれば輸出関連主導となり、この場合は引き続き東証1部市場の大型株物色が中心となる。そして年初来高値を更新したトヨタ自動車<7203>の上値追いが焦点だ。また25日の権利付き最終日に向けて高配当利回り銘柄や人気の株主優待銘柄の動きも注目点だ。逆にドル高・円安が一服して東証1部市場の大型株の上値が重くなれば、足元で物色の圏外にあった新興市場への関心が高まる可能性があるだろう。  その他の注目スケジュールとしては、22日の米8月中古住宅販売、23日の中国9月HSBC製造業PMI速報値、ユーロ圏9月総合・製造業・サービス部門PMI速報値、米7月FHFA住宅価格指数、24日の独IFO業況指数、米8月新築一戸建て住宅販売、25日の日本8月企業向けサービス価格指数、トルコ中銀金融政策決定会合、米8月耐久財受注、26日の日本8月全国・9月東京都区部消費者物価指数などがあるだろう。  その後は10月1日の日本9月調査日銀短観、2日のECB理事会、3日の米9月雇用統計、6日~7日の日銀金融政策決定会合、7日の豪中銀理事会、インドネシア中銀金融政策決定会合、8日~9日の英中銀金融政策委員会、9日の米FOMC9月16日~17日開催分議事要旨公表、10日のG20財務省・中央銀行総裁会議、IMF世銀年次総会、28日~29日の米FOMC、30日の米7~9月期GDP速報値、31日の日銀金融政策決定会合・10月展望リポートなどが予定されている。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
9月22日~26日の株式・為替相場は大勢として円安・株高の流れだが、重要イベントを通過して次は10月3日の米9月雇用統計まで谷間となる。急ピッチの上昇に対する警戒感もあって一旦は利益確定の動きを強める可能性があるだろう。
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2014-09-21 13:15