トレックス・セミコンダクターはウェアラブル端末関連を材料視して急騰、中期成長力を評価して上値追い
アナログ電源IC専門メーカーのトレックス・セミコンダクター <6616> (JQS)の株価は、ウェアラブル機器に最適な新製品の発表を好感して動意付き、IPO直後の4月高値5300円を突破して9月8日の8250円まで急伸した。その後9月16日5420円まで一旦反落したが、9月19日にはストップ高水準の7060円まで急反発して再動意の構えだ。目先的には乱高下の可能性だが、ウェアラブル端末関連というテーマ性もあり、中期成長力を評価して上値追いの展開だろう。
95年3月設立、14年4月JASDAQ市場に新規上場した。アナログ電源ICに特化して開発・販売する国内唯一の専業メーカーで、電圧レギュレータ(VR)、DC/DCコンバータ、電圧検出器などを主力製品としている。生産を外部に委託するファブレスメーカーであり、一部製品の後工程だけをベトナム工場で対応している。
小型化と低消費電力化に20年以上の実績を持ち、世界トップクラスの技術力を誇っている。超小型・薄型化と高放熱を両立する独自の超小型パッケージ技術「USP」などをベースとして、顧客の電子機器開発ニーズに対してソリューション提案できる「超小型電源ICに特化したアナログCMOSのプロフェッショナル集団」であることが特徴だ。
技術力の高さに加えて、財務面の健全性の高さも特徴であり、今期(15年3月期)第1四半期(4月~6月)末の自己資本比率は80.1%と高水準である。
中期的な売上成長や一段の高収益化に向けて、注力領域をスマートフォン、デジタルカメラ、パソコン、デジタル家電などの民生用機器分野から、ヘルスケアやGPS関連などのウェアラブル機器分野、カーナビゲーション、モニタカメラ、ETC車載器、パワーウインドウなどの車載機器分野、ロボット、スマートメータ、監視カメラなどの産業機器分野に広げて、新製品開発を強化している。
14年4月には世界的なパワー半導体メーカーである米IXYS社と、民生機器アプリケーション向け製品の採用を世界的に増加させることを目的として相互販売提携契約を締結した。米IXYS社の製品は大きな電力を扱う分野で強みを持っているため、電力制御機器や太陽光発電関連など当社の産業機器分野の品揃え拡充に活用する一方で、米IXYS社の販売網を活用して当社製品の拡販に繋げる方針だ。
また8月22日には、遅延機能付きの超小型電圧検出器XC6129シリーズの発売を発表した。ウェアラブル機器などに最適な高精度・超低消費電流を実現した新製品だ。
今期(15年3月期)の連結業績見通しは前回予想(5月13日公表)を据え置いて、売上高が前期比10.7%増の104億円、営業利益が同6.0%増の15億円、経常利益が同12.0%増の15億円、純利益が同18.9%減の11億円としている。配当予想は記念配当20円を含む年間100円(第2四半期末50円、期末50円)で、前期比60円増配となる。
第1四半期(4月~6月)の連結業績は売上高が22億87百万円、営業利益が2億47百万円、経常利益が1億83百万円、純利益が1億16百万円だった。人件費の増加や新規上場費用の発生などで前年同期間との比較で減益だが、売上は好調に推移しているようだ。通期ベースではドル高・円安効果も寄与して好業績が期待される。
中期経営計画では目標値として17年3月期売上高120億円強、営業利益20億円強を掲げている。既存の民生用機器分野は価格競争が激化しているため、需要変動幅が比較的小さく、利益率も比較的高い産業機器分野、車載機器分野、ウェアラブル機器分野を中心に売上を拡大して高収益化を推進する方針だ。17年3月期の売上構成比の計画は、既存の民生用機器分野37.7%、産業機器分野33.7%、車載機器分野14.0%、その他(ウェアラブル機器分野)14.6%としている。
アナログ電源ICの市場規模は13年が約8700億円で、当社の市場シェアは約1%である。17年に向けて年平均4.70%の成長が予測されているが、寡占企業が少ないため当社の市場シェア拡大余地は大きい。技術優位性を武器として、中期的な市場シェア拡大や一段の高収益化が期待されるだろう。
株価の動き(公開価格5000円、4月10日初値4450円、高値9月8日8250円、安値5月20日2903円)を見ると、IPO後は3000円~4000円近辺で推移したが、8月22日のウェアラブル機器に最適な新製品の発表を好感して動意づいた。8月26日に5390円を付けてIPO直後の4月高値5300円を突破し、さらに9月8日の8250円まで急伸した。その後は9月16日の5420円まで一旦反落したが、9月19日にはストップ高水準の7060円まで反発して再動意の構えだ。
9月19日の終値7060円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS417円20銭で算出)は17倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間100円で算出)は1.4%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS3433円14銭で算出)は2.1倍近辺である。
日足チャートで見ると25日移動平均線が接近して再動意の形となった。また週足チャートで見るとIPO直後の高値を突破して強基調の形だ。目先的には乱高下の可能性だが、指標面に割高感はない。ウェアラブル端末関連というテーマ性もあり、中期成長力を評価して上値追いの展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
アナログ電源IC専門メーカーのトレックス・セミコンダクター<6616>(JQS)の株価は、ウェアラブル機器に最適な新製品の発表を好感して動意付き、IPO直後の4月高値5300円を突破して9月8日の8250円まで急伸した。
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2014-09-22 09:45