日本マニュファクチャリングサービスは収益改善基調を評価して反発のタイミング
製造請負大手の日本マニュファクチャリングサービス <2162> (JQS)の株価は、8月27日の直近安値360円から反発し、子会社TKRの自動化・省力化装置の受託生産本格開始も好感して9月5日には戻り高値となる492円まで急伸する場面があった。その後は急反落の形となったが、8月安値水準まで下押す動きは見られず、概ね380円近辺で下げ渋る動きだ。収益改善基調を評価して反発のタイミングだろう。
製造請負・派遣のIS(インラインソリューション)事業、修理・検査受託のCS(カスタマーサービス)事業、技術者派遣のGE(グローバルエンジニアリング)事業、子会社の志摩グループとTKRグループが展開する開発・製造受託のEMS(エレクトロニクス・マニュファクチャリング・サービス)事業を展開している。なお15年3月期からIS事業、CS事業、GE事業を総称してHS(ヒューマンソリューション)事業とした。
基本コンセプトとして、日本、中国、アセアン諸国における人材ビジネス事業とEMS事業の融合によるトータルソリューションサービス「neo EMS」を掲げている。製造アウトソーシング企業NO.1を目指す戦略に大きな変化はないが、サービスの一段の高付加価値化に向けて開発・設計といった製造業の上流プロセス分野の機能を強化している。単なる製造アウトソーサーから、キーテクノロジーを有して技術競争力を備えた企業グループへの変革を推進する戦略だ。
第1弾として13年10月、TKRが日立メディアエレクトロニクス(日立ME)の電源事業、トランス事業、車載チューナー事業、映像ボード事業を譲り受け、水沢工場(岩手県奥州市)を取得した。第2弾として14年6月、パナソニック <6752> の車載向け除く電源および電源関連部品事業(高圧電源、低圧電源、マグネットロール、トランス)の譲受契約を締結した。事業譲受期日は14年10月1日(予定)で、受け皿会社となるパワーサプライテクノロジーの株式14.9%をパナソニックが保有する。
日立MEおよびパナソニックからの事業譲受により、当社グループの電源事業は国内電源メーカー上位に匹敵する規模となる。電源に関する技術ノウハウの蓄積・融合を図り、電源関連事業を当社グループのキーテクノロジー分野として、LED照明、空気清浄器、エアコン、複写機向けなどに新規顧客開拓を推進し、EMS事業の高付加価値化も推進する方針だ。
中国での事業展開に関しては、14年3月施行「中国労務派遣暫定規定」により中国の労働政策が派遣から請負に転換する見込みとなった。そして中国労務派遣専門委員会で製造請負(承欖)をルール化するためのプロジェクトが発足し、当社および子会社の北京中基衆合国際技術服務有限公司がプロジェクトに参画した。このため中国の製造業においては今後、製造請負の市場拡大が予想され、プロジェクトに参画している当社の競争優位性が確立できる見込みとなっている。
なお9月3日には、子会社TKRが検査工程の自動化・省力化装置のカスタマイズ受託生産を本格的に開始すると発表した。すでに国内、中国、ベトナムで納品実績があり、予算に応じて自動化・省力化装置から検査ロボットまで提案している。
今期(15年3月期)の連結業績見通しは前回予想(5月15日公表)を据え置いて売上高が前期比16.5%増の488億円、営業利益が4億90百万円(前期は6億43百万円の赤字)、経常利益が5億10百万円(同1億75百万円の赤字)の黒字化、純利益が負ののれん発生益一巡で同50.7%減の3億20百万円、配当予想が前期と同額の年間3円(期末一括)としている。
HS事業は国内での採用強化、海外でのメーカーからの人材転籍などで在籍数が増加して増収増益の見通しだ。EMS事業は、前期営業損益悪化の主因となった中国における日系メーカーの生産減少や人件費上昇といった一過性要因が解消し、オペレーション改善、日立MEから譲り受けた案件の本格稼働、海外増産などが寄与して営業損益が大幅に改善する。
第1四半期(4月~6月)は前年同期比17.0%増収となり、EMS事業の利益率改善などで営業利益、経常利益、純利益とも黒字化した。営業損益は改善基調であり、来期(16年3月期)はパナソニックから譲り受けた電源関連事業が本格寄与する。中期的に収益拡大基調だろう。
株価の動き(14年1月1日付で株式100分割)を見ると、8月27日の直近安値360円から反発し、子会社TKRの自動化・省力化装置の受託生産本格開始も好感して9月5日には戻り高値となる492円まで急伸する場面があった。その後は急反落の形となったが、8月安値水準まで下押す動きは見られず、足元は概ね380円近辺で下げ渋る動きだ。
9月25日の終値390円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS31円30銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間3円で算出)は0.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS451円79銭で算出)は0.9倍近辺である。週足チャートで見ると再び26週移動平均線を割り込んだが下押す動きは見られない。上値は500円近辺がフシとなったが、一方では下値を徐々に切り上げる形だ。収益改善基調を評価して反発のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
製造請負大手の日本マニュファクチャリングサービス<2162>(JQS)の株価は、8月27日の直近安値360円から反発し、子会社TKRの自動化・省力化装置の受託生産本格開始も好感して9月5日には戻り高値となる492円まで急伸する場面があった。
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2014-09-26 09:00