エストラストは下値支持線から切り返しのタイミング、アベノミクス「地方創生」は追い風
山口県や福岡県を地盤とする不動産デベロッパーのエストラスト <3280> は、動意付いた8月5日の794円から反落して680円~700円近辺の小幅レンジでモミ合う展開だ。ただし消費増税の影響は限定的のもようであり、アベノミクス「地方創生」も追い風となりそうだ。700円台割れ水準の下値支持線から切り返しのタイミングだろう。なお10月10日に第2四半期累計(3月~8月)の業績発表を予定している。
山口県および福岡県を地盤とする不動産デベロッパーである。一次取得ファミリー型の新築分譲マンション「オーヴィジョン」シリーズ、および新築戸建住宅「オーヴィジョンホーム」の不動産分譲事業を主力として、連結子会社トラストコミュニティが展開する「オーヴィジョン」マンション管理受託の不動産管理事業、不動産賃貸事業も強化している。
九州・山口エリアでのNO.1デベロッパーを目指し、福岡県および九州主要都市への進出加速、九州・山口エリアでのマンション年間供給500戸体制構築、山口県での戸建住宅年間供給100戸体制の構築、ストック型ビジネスとなる建物管理受託戸数の拡大、優良賃貸物件のポートフォリオ構築などを推進している。
重点エリアである福岡県での事業展開加速に向けて、13年6月には第三者割当増資によって、ふくおかフィナンシャルグループ <8354> 傘下の福岡銀行との関係を強化した。また14年3月には山口県内最大のオフィス街に立地する下関第一生命ビルディング(山口県下関市)を取得した。
今期(15年2月期)の連結業績見通しは前回予想(4月10日公表)を据え置いて売上高が前期比16.7%増の120億円、営業利益が同11.1%増の10億90百万円、経常利益が同9.0%増の9億70百万円、純利益が同10.4%増の6億円としている。
配当予想については7月25日に増額修正した。市場変更記念配当2円を第2四半期末の中間配当で実施し、年間ベースでは前回予想から2円増額して年間10円(第2四半期末4円、期末6円)とした。前期の年間8円(第2四半期末2円、期末6円)との比較では2円増配となる。
第1四半期(3月~5月)は分譲マンションの竣工がなかったため前年同期比75.9%減収で営業赤字だったが、通期ベースで見れば分譲マンション引き渡し予定戸数430戸(前期比56戸増)に対して、第1四半期末時点での契約締結は395戸、契約進捗率は91.9%に達している。また分譲戸建住宅は42戸(同25戸増)の引き渡しを計画し、不動産管理事業のマンション管理戸数(期末)は2139戸(同429戸増)となる計画だ。
消費増税の影響は限定的のもようであり、通期ベースでは契約済みの分譲マンション・戸建住宅の引き渡しが順調に進み、プロジェクト先行費用などを吸収して経常最高益更新の見込みだ。不動産管理事業の管理戸数増加や、不動産賃貸事業のポートフォリオ充実も寄与して好業績が期待される。
中期経営計画では目標値として16年2月期の新築分譲マンション引き渡し戸数494戸、売上高130億円、営業利益12億50百万円、経常利益12億円、純利益7億20百万円を掲げている。事業展開の重点エリアとしている福岡市では、国家戦略特区に指定されたことも背景として、一段と人口増加傾向を強めることが予想される。アベノミクスの重点戦略「地方創生」も追い風であり、成長市場への事業展開を加速して中期的に収益拡大基調だろう。
株価の動き(14年8月15日付けで東証マザーズから東証1部に市場変更)を見ると、8月上旬に動意付いて8月5日の794円まで急伸する場面があったが、その後は反落して概ね安値圏680円~700円近辺の小幅レンジでモミ合う展開だ。ただし5月の年初来安値646円、第1四半期業績を嫌気した7月の直近安値665円まで下押す動きは見られない。消費増税の影響に対する警戒感は織り込み済みだろう。
9月25日の終値685円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想に新株発行115万株を考慮した連結EPS97円29銭で算出)は7倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は1.5%近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形となり、大勢としては安値圏でのボックス展開のようだ。ただし消費増税の影響は限定的のもようであり、中期成長力を評価して700円台割れ水準の下値支持線から切り返しのタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
山口県や福岡県を地盤とする不動産デベロッパーのエストラスト<3280>(東1)は、動意付いた8月5日の794円から反落して680円~700円近辺の小幅レンジでモミ合う展開だ。
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2014-09-26 09:00