朝日ラバーはマイクロ流体デバイスを材料視してほぼ10倍水準まで急騰
車載照明用ゴム製品の朝日ラバー <5162> (JQS)の株価は、8月下旬に動意付いて9月22日高値3435円まで一本調子に急騰した。8月22日終値355円から1ヶ月でほぼ10倍の水準だ。マイクロ流体デバイスの分子接着技術を材料視したようだ。9月24日と25日は急落して目先的には乱高下の展開が想定されるが、長期底練り展開から上放れた形だけに、人気が持続して9月22日高値を試す可能性があるだろう。
自動車内装照明関連などの工業用ゴム製品を主力として、スポーツ用ゴム製品(卓球ラケット用ラバー)、医療・衛生用ゴム製品(点滴輸液バッグ用ゴム栓など)、機能製品RFIDタグ用ゴムなども展開している。シリコーンゴムをベースにした製品開発に強みを持ち、車載用小型電球の光源カラーキャップ「ASA COLOR LAMPCAP」や車載用LED照明の光源カラーキャップ「ASA COLOR LED」を主力製品としている。
車載用「ASA COLOR LED」は従来の高級車向けに加えて、小型車や軽自動車向けにも採用が拡大している。新製品では機能製品RFIDタグ用ゴムの増産を進め、医療分野の新製品プレフィルドシリンジ(薬液充填済み注射器)用ガスケットの量産も開始した。NEC <6701> のポータブルDNA解析装置向けマイクロ流体デバイスは、今期(15年3月期)量産開始の計画だ。NEC向け以外の複数案件も商談が進行中のようだ。
今期(15年3月期)の連結業績見通しについては前回予想(5月13日公表)を据え置いて売上高が前期比0.4%増の57億円、営業利益が同9.1%減の2億60百万円、経常利益が同25.7%減の2億20百万円、純利益が同6.8%減の1億50百万円、配当予想が前期と同額の年間8円(第2四半期末3円、期末5円)としている。
売上面では、車載用「ASA COLOR LED」など自動車関連を中心に販売数量が増加するが、自動車関連の販売単価下落などが影響して微増収見込みとしている。利益面では減価償却費の増加などで減益見込みとしている。セグメント別売上高の計画は、工業用ゴム事業が同0.6%増の45億44百万円、医療・衛生用ゴム事業が同0.6%減の11億56百万円だ。
第1四半期(4月~6月)は前年同期比7.6%増収、同15.0%営業減益、同23.8%経常減益、同25.5%最終減益だった。医療・衛生用ゴム事業の一部製品の品質管理に係るコスト増や販管費の増加が影響して営業減益だったが、工業用ゴム事業は自動車関連が好調に推移して同9.8%増収、同26.4%営業増益(全社費用等調整前)だった。会社予想は保守的な印象が強く、原価低減効果なども寄与して通期上振れ余地があるだろう。
14年5月発表の第11次3ヵ年中期経営計画(V-1計画)では、20年3月期を見据えた長期ビジョンを「AR-2020VISION」として、前半3ヵ年(15年3月期~17年3月期)を第1ステージ「V-1計画」、後半3ヵ年(18年3月期~20年3月期)を第2ステージ「V-2計画」としている。
中期経営方針は既存事業の質・量の継続的成長(国内事業は質的成長、海外事業は量的成長)、新市場・新分野への事業展開、20年に向けた事業基盤の強化・整備として、第1ステージ「V-1計画」の目標数値に17年3月期売上高80億円(自動車分野37億円、医療分野13億円、ライフサイエンス分野16億50百万円、その他13億50百万円)、営業利益8億円を掲げた。設備投資計画は3期間累計で24億50百万円としている。成長分野への積極投資で中期的に収益拡大基調だろう。
株価の動きを見ると、350円~390円近辺でモミ合う展開だったが8月下旬に動意付き、9月22日高値3435円までほぼ一本調子に急騰した。8月22日終値355円から1ヶ月でほぼ10倍の水準だ。マイクロ流体デバイスの分子接着技術を材料視したようだ。その後9月24日と25日は急落して乱高下の展開だ。
9月25日の終値2176円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS32円98銭で算出)は66倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間8円で算出)は0.4%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS705円77銭で算出)は3.1倍近辺である。
9月24日と25日の急落でも過熱感を残しており、目先的には乱高下の展開が想定される。ただし長期の底練り展開から上放れた形だけに、人気が持続して9月22日の高値を試す可能性があるだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
車載照明用ゴム製品の朝日ラバー<5162>(JQS)の株価は、8月下旬に動意付いて9月22日高値3435円まで一本調子に急騰した。
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2014-09-26 09:15