牛乳乳製品のメタボ予防の可能性を日本人男性の臨床研究でも確認

 牛乳を毎日飲むことによってメタボリック症候群を予防する効果が期待できることが、科学的な臨床研究によって裏付けられた。一般社団法人Jミルクが2014年9月25日、東京・大手町で開催した第37回メディアミルクセミナーで、医療法人財団健康院の健康院クリニック副院長、兼、予防医療研究所所長の医学博士、細井孝之氏が研究結果を講演して、確認された効果を明らかにした。細井博士は、「牛乳乳製品が生活習慣の改善による血圧の適正化を促進する可能性が示唆された」と語り、牛乳乳製品によるメタボリック症候群予防の可能性に明るい見通しを示した。  日本における乳・乳製品とメタボリックシンドロームの研究では、既に横断調査の結果が論文発表され、牛乳乳製品が、女性については抗メタボ効果を、男性については血圧低下作用を持つ可能性が報告されている。今回、細井博士らが取り組んだのは「縦断研究」の「介入研究」に分類される方法。非喫煙男性(20歳以上、60歳以下)を対象に、24週(6カ月)にわたって継続的に牛乳・乳製品を摂ってもらったグループと、食事指導を実施したグループに分けて、体脂肪率や総コレステロール、血圧などの変化を調べた。  これまでの海外における研究では、牛乳・乳製品の摂取量と体重の負の相関(牛乳・乳製品を多く摂っているほど体重が軽い)やメタボリックシンドロームが少ないこと、また、牛乳・乳製品が体重のコントロール(減量)に有用であることが報告されている。今回の研究では、牛乳・乳製品の摂取が、日本人男性にも当てはまるのかどうかを調べた。  細井博士は、「近年の研究では、牛乳・乳製品は骨の健康だけでなく、血管の健康にも役立つ多機能性食品の一つであることが分かってきました。社会的な関心の高いメタボリックシンドロームは、内臓脂肪の過多や脂質異常、糖代謝異常、高血圧などによって動脈硬化を進行させ、狭心症、心筋梗塞、そして、脳梗塞といった血管合併症をもたらします。今回の研究によって、牛乳・乳製品がメタボリックシンドロームの予防に効果があることが明らかにできれば、今後のメタボ予防などに牛乳・乳製品が有効に活用できると考えました」と、研究の目的を語っている。  研究の結果、24週後に、牛乳・乳製品摂取群と食事指導群の両群において、エネルギー摂取量は2150kcalから1850kcalに減少し、減量に成功した。また、両群ともに、腹囲、収縮期血圧、拡張期血圧、空腹時血糖、体重、体脂肪率、ヘモグロビンA1c、LDL-C(悪玉コレステロール)、総コレステロールに、有意な改善が見られた。また、牛乳・乳製品摂取群では、適正体重者、適度な運動実施者で牛乳・乳製品の摂取により血圧がより低下した。  この結果に対し、細井博士は「牛乳・乳製品による食生活・運動習慣効果の後押しをするのかもしれない」という仮説が成り立つと語っている。牛乳乳製品に含まれる「カルシウム」、「ペプチド成分」、「未知の成分」、そして、栄養摂取状況を含む「生活習慣の変容」が加わることによって降圧効果が生まれる可能性があると報告した。 写真は医療法人財団健康院の健康院クリニック副院長、兼、予防医療研究所所長の医学博士、細井孝之氏、写真撮影サーチナ(編集担当:風間浩)
牛乳を毎日飲むことによってメタボリック症候群を予防する効果が期待できることが、科学的な臨床研究によって裏付けられた。
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2014-09-29 15:15