キトーは失望売り一巡して切り返し

  搬送機器メーカーのキトー <6409> の株価は、第1四半期(4月~6月)の大幅減益を嫌気する形で急落したが、8月下旬以降は失望売りが一巡して切り返しの展開となり、9月29日には1395円まで上伸して出直りの動きを強めている。急落で開けた窓埋めを完了して強基調に回帰した形であり、株式2分割も好感した7月高値1532円50銭を試す展開だろう。円安メリットも評価材料だ。   工場内で使用されるチェーンブロック、ロープホイスト、クレーンなどを主力とする搬送機器の大手メーカーである。中期経営計画では「真のグローバルNO.1のホイストメーカー」を目指し、日本、北米、中国、アジア、欧州の地域別戦略などでグローバル化を加速している。目標数値としては16年3月期売上高580億円、営業利益70億円を掲げ、M&Aも積極活用してグローバル売上1000億円企業を目指している。   地域戦略としては、日本・北米・中国での強固な代理店網構築、アジア新興国での直販体制強化を推進し、特にアジアへの積極投資を実行している。製品戦略としては、日本および北米ではワイヤーロープホイストやシアターホイストなどの品揃えを強化する。生産戦略としては海外生産能力を拡充し、為替リスク分散や調達コスト低減への取り組みを強化する方針だ。アジアでは13年4月に韓国、13年7月にタイで新クレーン工場が本格稼働した。   14年8月には米国子会社のKAI社が投資ファンド運営の米国WESTVIEW社から、米国最大級のチェーン製造会社である米国PEERLESS社(13年6月期売上高1億18百万米ドル、営業利益10百万円米ドル)の株式を譲り受けた。ホイストの最重要部品であるチェーンの製造機能を強化するとともに、ホイスト周辺のチェーン製品の品揃えを拡充する。   なお9月29日には、10月7日~10日に東京ビッグサイト(東京国際展示場)で開催される「TOKYO PACK 2014東京国際包装展」に出展すると発表した。現場作業の効率性を最優先に設計されたエア製品「バキュームハンドフレックス」および「エアシストC」の実機を展示する。   今期(15年3月期)の連結業績見通しは前回予想(5月12日公表)を据え置いて売上高が前期比9.9%増の460億円、営業利益が同17.3%増の47億円、経常利益が同12.4%増の46億円、純利益が同22.8%増の29億円としている。   地域別売上高の計画は、日本が同4.9%増の122億円、米州が同8.9%増の142億円、中国が同4.6%増の90億円、アジアが同29.7%増の80億円、欧州が同3.9%減の16億円、その他が同31.8%増の10億円である。中国の需要回復にやや不透明感があるが、日本は震災復興・インフラ整備関連の建設・土木向け、米州は製造業向け、アジアは自動車関連業界向けを中心として全般好調に推移する見通しだ。   第1四半期(4月~6月)は、新工場稼働に伴う人件費増加などが影響して前年同期比22.3%営業減益、同46.2%経常減益、同70.0%最終減益だったが、同5.4%増収と需要は好調に推移している。新製品投入による品揃え拡充、韓国およびタイ新工場の本格稼働によるクレーン事業拡大、プロダクトミックスの改善、生産性の向上なども寄与して、通期ベースでは増収増益見込みだ。想定為替レートは1米ドル=95円と保守的であり、米国PEERLESS社の買収も寄与する。通期ベースで好業績が期待されるだろう。   なお今期の配当予想については、7月23日に発表した株式2分割(効力発生日14年10月1日)に伴って、年間37円50銭(第2四半期末25円、期末12円50銭)とした。株式2分割を考慮すると前期の年間40円(第2四半期末20円+期末20円)に対して実質的に10円増配である。   株価の動き(効力発生日14年10月1日付で株式2分割)を見ると、第1四半期の大幅減益を嫌気する形で急落し、8月15日の1050円50銭まで調整した。しかし8月下旬以降は失望売りが一巡して切り返しの展開となり、9月29日には1395円まで上伸して出直りの動きを強めている。   9月29日の終値1379円を指標面(株式2分割後)で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS111円08銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(株式2分割が期首に行われたと仮定して年間25円で算出)は1.8%近辺、前期実績PBR(前期実績に株式2分割を考慮した連結BPS806円32銭で算出)は1.7倍近辺である。   日足チャートで見ると25日移動平均線を突破して上伸した。週足チャートで見ると26週移動平均線近辺から反発して13週移動平均線も回復した。8月11日の急落で開けた窓埋めを完了して強基調に回帰した形であり、株式2分割発表も好感した7月高値1532円50銭を試す展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
搬送機器メーカーのキトー<6409>(東1)の株価は、第1四半期(4月~6月)の大幅減益を嫌気する形で急落したが、8月下旬以降は失望売りが一巡して切り返しの展開となり、9月29日には1395円まで上伸して出直りの動きを強めている。
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2014-09-30 09:00