ジャパンディスプレイは下値支持線を確認して切り返し局面
中小型液晶ディスプレイ製造のジャパンディスプレイ <6740> の株価は、8月安値圏500円近辺から切り返す展開だったが、一部証券会社による投資判断引き下げで反落し、9月29日には504円まで調整した。ただし5月安値499円、8月安値501円を割り込むことなく、9月30日には542円まで反発している。下値支持線を確認し、今期(15年3月期)大幅営業増益見通しを再評価して切り返し局面だろう。なお第2四半期累計(4月~9月)業績発表は11月13日予定としている。
ソニーモバイルディスプレイ、東芝モバイルディスプレイ、日立ディスプレイズの3社が統合して12年4月に事業を開始し、14年3月東証1部市場に新規上場した。
モバイル分野(スマートフォン・タブレット)向けを主力として、車載・C&I・その他分野(車載分野、デジタルカメラ分野、医療分野)向けに、高精細・高画質・低消費電力・薄型・軽量の中小型液晶ディスプレイを製造・販売している。前期(14年3月期)の得意先別売上構成比は米アップル向けが約3割を占めた。製造は国内5拠点と海外は中国、フィリピン、台湾に展開し、車載事業強化に向けて米デトロイトに新規オフィスを開設している。
中期戦略では成長市場での高シェア獲得を目指し、市場競争力の高い技術力と高い生産能力を強みとしている。12年6月には石川サイト能美工場、13年6月には茂原工場で最先端の低温ポリシリコン(LTPS)ラインが稼働した。14年6月には台湾の子会社TDIを通じて、台湾の液晶ディスプレイモジュール製造の中日新科技股?有限公司(STC)を子会社化した。STCが有する中国・珠海市のモジュール製造工場を活用して中国でのビジネス基盤を強化し、中国市場でのシェア拡大を目指す戦略だ。
14年6月には高解像度タブレット向け「Pixel Eyes」の量産準備開始を発表した。タッチセンサー機能をディスプレイに内蔵する当社独自技術を搭載した製品で、ディスプレイモジュールの薄型・軽量化・透過率向上が実現できる。14年秋の量産開始予定としている。また14年7月にはモバイル製品向け「IPS-NEO」の量産を開始した。当社独自の光照射配向プロセスを採用して低消費電力で高コントラストを実現した。
なお14年7月には、産業革新機構(INCJ)、当社、ソニー <6758> およびパナソニック <6752> が、ソニーおよびパナソニックが有する有機ELディスプレイパネルの研究開発機能を統合して、JOLED(ジェイオーレッド)を設立(15年1月予定)することで最終合意した。当社は新会社JOLEDに15%出資し、JOLEDとのシナジーで今後の研究開発を加速させる方針としている。
今期(15年3月期)の連結業績見通し(5月15日公表)は売上高が前期比22.0%増の7500億円、営業利益が同44.8%増の400億円、経常利益が同65.2%増の315億円、純利益が同21.0%減の268億円で、配当予想は未定としている。純利益は繰越欠損金等に係る繰延税金資産による法人税等調整額計上の一巡が影響する。
第1四半期(4月~6月)は前年同期比13.9%減収で、126億96百万円の営業赤字だった。欧米の大口ユーザー向け新機種立ち上げが第2四半期(7月~9月)以降となり、前年同期に大口ユーザー以外の新機種立ち上げがあったことの反動や、在庫の標準原価洗い替えという一時的要因も影響した。ただしほぼ計画水準だった。
通期ベースでは欧米の大口ユーザー向けが寄与し、プレミアム価格帯「WQHD」出荷開始で中国市場を中心とした高精細化も想定通りに進捗する。量産準備開始した高解像度タブレット向け「Pixel Eyes」の出荷も期後半に向けて計画通り増加する見通しだ。戦略市場と位置付ける中国向け売上高は1800億円の見通しとしている。
中期的には中国のスマートフォンメーカーもグローバルブランドを指向しているため、国内外でスマートフォンの高精細ディスプレイ比率の上昇が予想され「WQHD」の市場シェア50%を目指している。モバイル分野に比べて需要変動の小さい車載用でも、カーナビやインパネ関連で高精細ディスプレイの需要増加が予想され、デザインイン拡大の成果で16年3月期から売上が大幅に増加する見通しだ。
当面はスマートフォンの新機種立ち上げや需要変動の影響で四半期収益がデコボコする可能性があるが、中期的には車載用の拡大も寄与して四半期収益が平準化するとともに、収益は拡大基調だろう。
株価の動き(公開価格900円、3月19日初値769円、高値4月21日836円)(8月7日付で貸借銘柄に選定)を見ると、8月の安値圏500円近辺で下値を固めて切り返す展開だったが、一部証券会社による投資判断引き下げで急反落し、9月29日には504円まで調整した。ただし5月安値499円、8月安値501円を割り込むことなく、9月30日には542円まで反発している。500円近辺の下値支持線を確認し、今期の大幅営業増益見通しを再評価する動きだろう。
9月30日の終値529円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS44円61銭で算出)は11~12倍近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS673円28銭で算出)は0.8倍近辺である。週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形だが、5月安値499円、8月安値501円、そして9月安値504円で下値支持線を確認した形だ。指標面には割安感もあり切り返し局面だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
中小型液晶ディスプレイ製造のジャパンディスプレイ<6740>(東1)の株価は、8月安値圏500円近辺から切り返す展開だったが、一部証券会社による投資判断引き下げで反落し、9月29日には504円まで調整した。
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2014-10-01 09:15