次のスタンダードビールに向け、革新を続けるキリンの真骨頂「淡麗プラチナダブル」

 9月2日。発泡酒市場において、突如として盛り上がった『ゼロ×ゼロ戦争』。きっかけは、近年の消費者の健康志向の高まりに伴い注目された、プリン体ゼロ×糖質ゼロという新しいカテゴリーにおいて、ビールメーカーの大手4社から商品が出揃ったことである。そんな中、これまで長い間、淡麗ブランドを中心に発泡酒市場を牽引してきたキリンビールから発売された「淡麗プラチナダブル」について、キリンビール株式会社 マーケティング部新商品開発グループの川崎篤史氏に話を聞いた。(写真はマーケティング部新商品開発グループの川崎篤史氏、写真撮影サーチナ) ――このプリン体ゼロ×糖質ゼロという新しいカテゴリーには、サッポロビール「極ZERO」を筆頭に、アサヒビール「スーパーゼロ」、サントリー「おいしいZERO」と各社ともによく似た“青色の缶”と商品名に“ゼロ(ZERO)”が入った商品が投入されています。そんな中、このキリンビールの「淡麗プラチナダブル」は缶の色も名前も、他社とは違うように見えます。そこには、どんなマーケティング戦略があったのでしょうか?  今回、プリン体0.00×糖質0という2つのゼロを実現した新商品を発売するにあたり、他社の動向は、もちろん意識しました。 単純にプリン体0.00×糖質0という機能だけに焦点をあてた商品を提供するのであれば、缶の色を青くして、商品のネーミングも“ゼロ(ZERO)”を強調した名前にすることもできました。しかし、お客様の立場になって考えた時に「商品名に“ゼロ”が付いた商品を毎日飲みたくなるか?」という疑問にぶつかりました。 この商品の目指すゴールは「体に気遣いながらも、毎日楽しんで飲める。」ということ。そう考えると、“ゼロ”だけを前面に出して使うことが決して得策には思えませんでした。  2つの“ゼロ”に加えて、「淡麗」ブランドとしての“うまさ”の確からしさ。この“機能”と“うまさ”を両立させた、キリンビールの一つの集大成であるという意味も込めて、商品名を「淡麗プラチナダブル」としました。また缶の色にも、青ではなく、シルバーを基調としたプラチナカラーを採用しています。 更に、缶の裏面には「淡麗は、『うまい!』の先へ。」という一文をはじめ、缶を手に持ってくださる消費者の方々との1対1のコミュニケーションとして、キリンビール社としてこの「淡麗プラチナダブル」にかけた想い、メッセージを記載しました。 ――新商品が絶え間なく発売するこのビール業界において、敢えて既存の「淡麗ブランド」から発売したのは、発泡酒市場において16年連続売上No.1を続けるキリンビールならではのこだわりでしょうか?  1998年に新発売した「麒麟淡麗<生>」では、キレや飲みごたえなど、おいしさにとことんこだわり、これまでに7回ものリニューアルをしてきました。  その一方で、糖質70%カットをした「淡麗グリーンラベル」を2002年に発売して以来、プリン体90%カットの「淡麗アルファ」、さらに、プリン体99%カットとうまさの両立を実現した「淡麗ダブル」と、時代と共に変わるお客様の声に答えるべく、糖質やプリン体をカットした機能系商品の開発を続けてきました。 “うまさ”と“機能”。他社が発泡酒市場から撤退する中、この2つにこだわり続けてきた「淡麗ブランド」としての誇り。この誇りこそが、淡麗ブランドとしての発売に踏み切った一番の要因です。  それだけに今回、他社も一斉に発売にされる中、「淡麗ブランド」が遅れをとることは決して許されないという強い決意で臨みました。中味はもちろんのこと、パッケージやネーミングに至るまで、幾度となく試行錯誤を繰り返し、自信を持ってお客様にご提供できるプラチナ級の商品に仕上がっていると自負しております。 ――今回、9月2日に「淡麗プラチナダブル」を含む3商品が同時に発売され、一部では「ゼロ×ゼロ戦争」といわれるほど、注目が高まりました。キリンビールでは発売日に合わせて全国各地で店頭サンプリング活動を実施し、キリンビールマーケティング株式会社の布施孝之社長も店頭でサンプリングされる姿が話題となりました。発売から約1ヶ月が経ちましたが、振り返ってみて、いかがでしょうか?  キリンビールとして、自信を持ってお客様にご提供できる商品が出来上がったこと。そこでまずは、「一人でも多くのお客様に飲んでいただきたい、飲んでいただければ違いを分かっていただける」という思いで、発売日に全国での店頭サンプリング活動を実施しました。  このサンプリングの様子は、全国各地の新聞やニュースなど沢山のメディアにも取り上げて頂き、そのかいもあって発売から1ヶ月で100万ケースを達成しまして、現在も順調に売り上げを伸ばしています。特徴的であったのが、350mlだけでなく、500ml缶の売り上げが目に見えて伸びてきていることです。これは、お客さまが気に入ってくださったことのあらわれでもあり、大変心強い結果といえます。  この一番の要因は、やはり“うまさ”であるかと思います。具体的には、世界初の特許技術であるキリン独自の「プリン体カット製法」を採用したことです。通常、プリン体を取り除こうとするとビールの中に含まれるうまみ成分も取り除かれてしまい、この2つを両立させることは難しいとされてきました。しかし、キリンビールは、長年のプリン体に関する研究の結果、ビールと同じ原材料を使って製造したものからプリン体だけを除去するこの独自技術を開発し、他社には負けない“うまさ”を実現することができたのです。  弊社の調査になりますが、「淡麗プラチナダブル」を飲用いただいた9割以上のお客様から「また飲みたい」という回答を頂いており、このリピート率の高さが、この販売数字に結び付いていると考えております。 ――最後に、この発泡酒市場はまだまだ進化を続けるのでしょうか?その中で、キリンビールとしてはどのように取り組んでいくのでしょうか?  発泡酒市場は年々縮小傾向にありましたが、今回のプリン体0.00×糖質0という高機能商品の登場によって活性化しました。弊社だけでなく、各社の発泡酒も、数年前と比べると遙かにおいしくなり、機能革新も進んでいます。キリンビールとしては、発泡酒市場を牽引してきたという自信に奢ることなく、常にお客様の目線に立ち、これからも4社で切磋琢磨して、よりおいしい発泡酒の市場を競い合って作っていきたいと思います。  発泡酒は、麦芽や麦を原料の一部に使うほか、副原料として使う原料に制約がないため、様々なチャレンジができる分野です。「淡麗プラチナダブル」だけでなく、キリンビールとして今後も様々なチャレンジに挑戦し、更なる発泡酒市場の発展に努めていきたいと思っています。(編集担当:徳永浩)
9月2日。発泡酒市場において、突如として盛り上がった『ゼロ×ゼロ戦争』。きっかけは、近年の消費者の健康志向の高まりに伴い注目された、プリン体ゼロ×糖質ゼロという新しいカテゴリーにおいて、ビールメーカーの大手4社から商品が出揃ったことである。
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2014-10-02 16:45