キャリアリンクは15年2月期業績見通しを増額修正し3回目の増額も濃厚、16年2月期以降はマイナンバー制度も追い風
■中期成長力を評価する流れに変化なくIPO直後の12年11月高値視野
総合人材サービス事業のキャリアリンク <6070> (東2)の株価は、9月22日発表の今期(15年2月期)業績見通し2回目の増額修正を好感し、9月29日758円まで上伸して13年4月754円を上抜いた。10月2日には地合い悪化が影響して660円まで調整したが、来期(16年2月期)から本格化するマイナンバー制度関連も追い風であり、中期成長力を評価する流れに変化はなく上値を試す展開だろう。13年3月戻り高値780円は射程圏であり、12年11月IPO直後の上場来高値929円が視野に入る。
96年設立で、12年11月東証マザーズ新規上場、13年8月東証2部に市場変更した。BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)関連事業を主軸に、人材派遣・紹介や業務請負などの総合人材サービス事業を展開している。顧客の業務効率化や品質向上などを実現する企画提案型の人材派遣および業務請負を特徴としており、行動規範には「日本一親身な人材サービスカンパニー」を掲げている。
事業区分は、官公庁・地方公共団体・民間企業向け業務プロセス関連のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)関連事業を主力として、テレマーケティング事業者や企業コンタクトセンター(コールセンター)向けのCRM(カスターマー・リレーションシップ・マネジメント)関連事業、一般事務職分野の一般事務事業、製造・物流分野の製造技術系事業も展開している。
主力のBPO関連事業では、企画提案による顧客企業の業務効率化や業務処理の品質向上を強みとしており、それらを実現するために、いわゆる「単なるスタッフ派遣」ではなく、「経験豊富な社員をリーダーとして編成したチーム」を派遣する「チーム派遣」を特徴としている。顧客にとっては、導入時の研修や導入後の業務指導などに係る負担が軽減され、短期間で定型業務の大量処理が可能になるというメリットもある。
またBPOベンダーからの再委託を含めて、年金関連業務のような1000名を超える大型案件でも、稼働開始まで短期間で対応できるノウハウを有していることが強みだ。さらにスタッフに対しては、キャリアパス制度などを活用して能力、満足度、出勤率、稼働率を高める仕組みを構築している。こうした仕組みも、チーム派遣や大型案件に対する短期間での対応を支えている。
9月22日に今期(15年2月期)第2四半期累計(3月~8月)の利益見通し増額修正、および通期の売上高・利益見通し増額修正、そして9月30日に第2四半期累計業績、および今期配当予想の増額修正を発表した。業績見通しの修正は8月12日に次ぐ今期2回目の利益増額修正である。
BPO関連事業を中心とした14年9月以降業務開始の新規受注案件の粗利率が想定以上に良化し、今後も堅調に推移する見通しだ。またBPO大型案件の業務処理および業務品質の向上を推進するため、事務機械化などで省力化が進んだ間接部門社員をBPO大型案件事務センターのチームリーダーへ適時振り向けているため、販管費の中の人件費が想定を下回ることも寄与する。
9月30日に発表した第2四半期累計の業績(非連結)は、売上高が前年同期比2.7%増の64億86百万円、営業利益が同43.8%増の4億09百万円、経常利益が同46.3%増の4億06百万円、純利益が同45.7%増の2億40百万円の大幅増益で、利益は9月22日の増額修正値を上回った。BPO大型案件における業務処理効率化が進展して粗利率が大幅に改善した。
事業別売上高を見ると、BPO関連事業は同9.6%増の38億22百万円だった。民間大型プロジェクトの追加案件が稼働し、消費増税に伴う臨時給付金案件や年金督励業務など官公庁BPO案件の受注も寄与した。CRM関連事業は同18.0%減の15億06百万円だった。大型コンタクトセンターへの派遣案件が前期で終了したことが影響した。一般事務事業は同0.3%減の4億83百万円、製造技術系事業は同33.9%増の6億74百万円だった。
9月22日修正後の通期業績(非連結)見通しは前回予想(8月12日に増額修正)に対して、売上高を85百万円増額して前期比17.7%増の136億54百万円、営業利益を1億99百万円増額して同2.5倍の7億29百万円、経常利益を1億99百万円増額して同2.5倍の7億20百万円、純利益を1億18百万円増額して同2.6倍の4億26百万円とした。
9月30日修正後の配当予想は、前回予想(4月14日公表)の年間14円(期末一括)から、創業20年記念配当2円を増額して年間16円(期末一括)とした。前期との比較でも2円増配となる。
通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が47.5%、営業利益が56.1%、経常利益が56.4%、純利益が56.3%で、各利益の進捗率は高水準である。第2四半期累計のBPO案件の受注が想定以上となり、BPO大型案件における業務処理効率化で粗利率改善が下期に本格化することも考慮すれば、通期3回目の増額修正が濃厚だろう。
今期の重点戦略として来期(16年2月期)以降の業容拡大に向けた体制作りも推進する。BPO関連事業ではマイナンバー(社会保障・税番号)制度関連で、16年2月期から官公庁・地方自治体、さらに金融を中心とした民間BPO案件の受注本格化が予想される。CRM関連事業では首都圏で稼動中の大型コンタクトセンターへの派遣拡大、戦略拠点の札幌支店や沖縄支店における新規案件獲得、一般事務事業では既存取引先企業への事務系派遣の拡大、製造技術系事業では自動車関連の受注拡大を推進する方針だ。
マイナンバー(社会保障・税番号)制度導入に関しては、国が想定しているロードマップ(案)で15年10月から順次、法人番号の通知・公表、個人番号の付番・通知、個人番号カードの交付が開始され、16年1月から順次利用開始されることになっている。そしてマイナンバー制度導入関連業務は官公庁・地方自治体のBPO案件だけでなく、銀行・証券など金融機関を中心とした民間BPO案件にも広がることが予想されている。
こうした大型BPO案件の分野では競合が少なく、当社の業務効率化に向けた企画提案力、稼働開始まで短期間で対応できるノウハウ、そして年金関連での大型BPO案件の受注実績などの優位性があり、マイナンバー制度関連でも当社が大型BPO案件を受注する可能性が高い。マイナンバー制度関連の売上が本格寄与する17年2月期に向けて大幅増収増益基調となりそうだ。
なお株主優待制度については毎年8月31日現在の1単元(100株)以上保有株主に対して実施している。8月12日に優待内容の変更を発表し、従来の「100株以上保有株主に対してクオカード1000円相当」を「100株以上300株未満保有株主に対してクオカード1000円相当、300株以上保有株主に対してクオカード2000円相当」に変更した。現金配当と株主優待を合算した総合利回りの向上を目指している。
株価の動きを見ると、4月中旬~5月下旬の安値圏460円~470円近辺で下値固めが完了して切り返し、6月下旬~8月上旬の550円近辺でのモミ合いを経て一段と水準を切り上げた。9月22日の今期業績見通し2回目の増額修正も好感し、9月29日には758円まで上伸して13年4月の754円を上抜いた。その後は利益確定売りで一旦反落し、10月2日には全般地合い悪化も影響して660円まで調整する場面があったが、中成長力を評価して強基調に転換した流れに変化はないだろう。
10月2日の終値667円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS68円63銭で算出)は9~10倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間16円で算出)は2.4%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS289円26銭で算出)は2.3倍近辺である。
日足チャートで見ると25日移動平均線に対するプラス乖離率が縮小して目先的な過熱感が解消した。反発のタイミングだろう。また週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって強基調の形だ。中期成長力を評価する流れに変化はなく上値を試す展開だろう。13年3月の戻り高値780円は射程圏であり、12年11月のIPO直後の上場来高値929円が視野に入る。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
総合人材サービス事業のキャリアリンク<6070>(東2)の株価は、9月22日発表の今期(15年2月期)業績見通し2回目の増額修正を好感し、9月29日758円まで上伸して13年4月754円を上抜いた。
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2014-10-03 12:00