きちりは9月の既存店売上高は2ヵ月連続プラスと好調、中期成長力を評価して上値試す
飲食店チェーン事業と飲食店運営プラットフォーム事業を展開するきちり <3082> の株価は、9月22日に620円を付けて13年12月高値612円を突破し、10月3日には1064円まで上伸する場面があった。当面は急伸の反動で高値圏乱高下の可能性だが、ボックスレンジから上放れた形であり、中期成長力を評価して上値を試す場面があるだろう。10月3日発表の9月既存店売上高が2ヵ月連続の前年比プラスだったことも支援材料だ。なお11月4日に第1四半期(7月~9月)の業績発表を予定している。
カジュアルダイニング「KICHIRI」や「いしがまやハンバーグ」を主力業態とする直営店の自社ブランド展開事業、および飲食店運営のプラットフォーム提供や他業種企業のブランド・コンテンツ活用のプラットフォームシェアリング事業を展開している。
前期(14年6月期)末時点の店舗数は70店舗(関西エリア42店舗、関東エリア28店舗)で、新業態開発にも取り組みながら出店余地の大きい首都圏への新規出店戦略を強化している。14年3月には新業態「igu&peace」を出店した。
プラットフォームシェアリング事業は、当社がITやクラウドを駆使して構築した外食特化型インフラ(購買・物流などのバックヤード機能、会計・労務管理・教育・デザインなどのバックオフィス機能、取引先紹介などのバックアップ機能といった本部機能)を活用する事業だ。大別するとブランド・コンテンツ活用型(優れたブランド・コンテンツを持つ企業と業務提携し、当社のプラットフォームを活用して新しいレストランビジネスを創造する)、およびクラウドサービス展開型(当社が構築した外食特化型インフラを他の飲食店チェーンなどに提供してアウトソーシング受託する)を展開している。
ブランド・コンテンツ活用型では独自性ある新業態を開発できる、クラウドサービス展開型では参画企業・店舗数の増加に伴ってスケールメリットを享受できるなどのメリットがある。ブランド・コンテンツ活用型では13年2月精米機トップメーカーで「ギャバライス」ブランドのサタケ、13年4月イタリアのバッグブランド「オロビアンコ」、13年5月福岡県「はかた地どり」生産者の農業組合法人福栄組合と業務提携した。クラウドサービス展開型の提供店舗数は前期末時点で自社店舗を含めて約200店舗に拡大している。
今期(15年6月期)の業績(非連結)見通し(8月8日公表)は、売上高が前期比8.5%増の75億円、営業利益が同45.7%増の7億円、経常利益が同35.8%増の7億円、純利益が同41.9%増の4億20百万円、そして配当予想は前期から記念配当2円50銭を落として年間7円50銭(期末一括)としている。
既存店売上高は98.5%、新規出店は10店舗の計画だ。店舗展開戦略において優先的に出店したい立地の物件が確保できる状況ため、前期の新規出店4店舗に比べて大量出店となるようだ。またクラウドサービス展開型の提供店舗数は、自社ブランド店舗を含めて前期の約200店舗から今期は約300店舗に増加する見込みだ。
10月3日に公表した月次レポート(前年同月比、速報値)を見ると、14年9月の売上高は既存店(対象65店舗)が102.0%、全店(対象68店舗)が102.6%と好調だった。既存店売上高は2ヵ月連続の前年比プラスとなり、8月の100.3%から増収率を広げた。客数も2ヵ月連続の前年比プラスだった。客単価は99.6%だったが8月の99.0%から改善した。
既存店売上高は今期計画98.5%を上回る水準で推移している。前期は天候不順やプラットフォームシェアリング事業強化に伴う一時的な採用コスト増加などが影響して減益だったが、今期は既存店売上高の好調、積極的な新規出店効果、クラウドサービス展開型の拡大が寄与して好業績が期待され、通期業績見通しに上振れ余地がありそうだ。
中長期ビジョンでは、自社ブランド展開事業およびプラットフォームシェアリング事業を2本柱として展開し、目標値として18年6月期売上高100億円、営業利益15億円、経常利益16億円、純利益10億円、配当性向30%(当面は20%)を掲げている。事業別には自社ブランド展開事業が100店舗で売上高94億円、プラットフォームシェアリング事業が契約店舗数500店舗(契約売上規模300億円)で営業利益6億円を目標としている。
株主優待制度については毎年12月末日現在で1単元(100株)以上保有株主を対象として実施している。8月8日に優待内容の変更を発表し、従来の「当社運営店舗で利用できる優待券3000円分、または近隣に店舗がない等の理由で優待券を利用しない方はGABAライス3kgを選択できる」を「当社運営店舗で利用できる優待券3000円分、または近隣に店舗がない等の理由で優待券を利用しない方は当社事業における関連商品を選択できる」に変更した。14年12月31日現在の対象株主から実施する。
なお9月5日に発表した自己株式取得(取得株式総数の上限15万株、取得価額総額の上限1億円、取得期間14年9月8日~15年3月31日)については、9月8日から9月30日の期間(約定ベース)に3万6000株(取得価額総額2058万3700円)を取得し、9月30日時点の累計で取得株式総数3万6000株、取得価額総額2058万3700円となった。
株価の動き(13年7月1日付で株式3分割、14年1月1日付で株式2分割、14年5月8日付けで東証1部市場指定替え)を見ると、500円近辺でのモミ合いから上放れ、9月下旬以降は自己株式取得も好感して上げ足を加速する展開となった。9月22日に620円を付けて13年12月高値612円を突破し、10月3日には1064円まで上伸する場面があった。ただし10月3日は終値では816円まで急落し、高値圏で乱高下の形となった。
10月3日の終値円816円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS41円24銭で算出)は19~20倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間7円50銭で算出)は0.9%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS157円27銭で算出)は5.2倍近辺である。当面は急伸の反動で高値圏乱高下の展開となりそうだが、週足チャートで見ると400円~600円近辺のボックスレンジから上放れた形だ。中期成長力を評価して上値を試す場面があるだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
飲食店チェーン事業と飲食店運営プラットフォーム事業を展開するきちり<3082>(東1)の株価は、9月22日に620円を付けて13年12月高値612円を突破し、10月3日には1064円まで上伸する場面があった。
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2014-10-06 09:00