久世は、上値重いが下値も限定的、反発のタイミング

  業務用食材卸の久世 <2708> (JQS)の株価は、7月29日に700円まで戻す場面があったが上値が重く、8月以降は680円~690近辺の小幅レンジでモミ合う展開だ。9月中旬以降は水準をやや切り下げた。ただし5月安値圏610円近辺まで下押す動きは見られない。下値は限定的であり、モミ合い煮詰まり感を強めて反発のタイミングだろう。なお11月10日に第2四半期累計(4月~9月)の業績発表を予定している。   首都圏を中心にファーストフード・ファミレス・カフェ、居酒屋・パブ、ディナーレストラン・ホテル・会館、惣菜・デリカ・娯楽施設・ケータリングなど、外食・中食産業向けに業務用食材の卸売事業を展開し、大手飲食チェーンも主要顧客としている。子会社のキスコフーズは国内(静岡市)とニュージーランドで業務用高級ソース・高級スープの製造、久世フレッシュワンは東京都内で生鮮野菜など農産品の卸売を展開している。   中期経営計画では20年3月期売上高1000億円、営業利益20億円を目標としている。重点戦略として首都圏・関西圏・中部圏での販路拡大、全国物流ネットワークの強化、中食市場や高齢者施設給食市場の開拓強化、PB商品の拡販や製造利益の拡大、海外事業の基盤確立などを掲げている。中国・成都の子会社は15年3月期に単年度黒字化の見込みとしている。   M&Aやアライアンス戦略も活用して販路拡大を推進している。12年6月には中部圏で酒類販売大手サカツコーポレーションと業務提携し、14年4月には水産物取引を強化するため高級飲食店向けに強みを持つ水産物中卸会社の旭水産を完全子会社化した。   10月1日には、神奈川県西部地区での業容拡大に向けて藤沢DC(ディストリビューションセンター)を開設し、稼動を開始したと発表している。   今期(15年3月期)の連結業績見通しは前回予想(5月12日公表)を据え置いて売上高が前期比9.2%増の680億円、営業利益が同5.3倍の2億20百万円、経常利益が同67.6%増の4億円、純利益が同2.1倍の2億10百万円、配当予想が前期と同額の年間12円(期末一括)としている。   売上面では、首都圏・関西圏・中部圏を中心とする販路拡大と新規顧客の開拓、既存顧客の底上げ(インストアシェアアップ)、独自性のある新商品の投入など営業強化策を推進する。約57億円の増収見通しのうち新規顧客開拓で約23億円を計画している。子会社の食材製造事業での自社ブランド商品販売強化や、4月に完全子会社化した旭水産の新規連結も寄与する。   利益面では、仕入価格上昇や物流コスト増加を意識した採算性重視の営業活動、仕入価格上昇に対する販売価格への転嫁、仕入価格上昇に対応した代替商品・メニューの提案、高付加価値商品やPB商品の拡販などで売上総利益率改善を目指す。営業損益悪化の主因となった物流コストについては、物流採算の改善、物流の精度向上、イレギュラー配送の抑制、物流効率化に向けた新システム導入などを推進する方針だ。   第1四半期(4月~6月)は、仕入価格の上昇や物流改善の遅れが影響して営業利益、経常利益、純利益とも赤字幅が拡大したが、営業活動強化などで前年同期比9.5%増収となり、売上面の好調は持続している。第2四半期(7月~9月)以降には、最重要課題となった物流コスト改善に向けた施策の効果が期待されるだろう。   株価の動きを見ると、7月29日に700円まで戻す場面があったが上値が重く、8月以降は概ね680円~690近辺の小幅レンジでモミ合う展開となった。9月中旬以降はモミ合いレンジを670円近辺に切り下げた。ただし5月安値圏610円近辺まで下押す動きは見られず、モミ合い煮詰まり感も強めている。   10月3日の終値676円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS54円14銭で算出)は12~13倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間12円で算出)は1.7%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS1235円43銭で算出)は0.5倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると26週移動平均線が戻りを押さえる形だが、下値も限定的のようだ。モミ合い煮詰まり感を強めて反発のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
業務用食材卸の久世<2708>(JQS)の株価は、7月29日に700円まで戻す場面があったが上値が重く、8月以降は680円~690近辺の小幅レンジでモミ合う展開だ。
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2014-10-06 09:15