ティー・ワイ・オーは調整一巡、今期増収増益見通しで7月高値を試す

  TV-CM制作大手のティー・ワイ・オー <4358> の株価は、7月の戻り高値195円から反落して調整局面だったが、9月17日の直近安値164円から切り返して出直りの動きを強めている。10月6日には180円まで上伸した。調整が一巡して強基調に転換した形であり、今期(15年7月期)増収増益見通しを評価して7月の戻り高値を試す展開だろう。   TV-CM事業(広告代理店向けのTV-CM企画・制作およびポスト・プロダクション業務)を主力として、マーケティング・コミュニケーション事業(広告主向けWEB広告およびプロモーションメディア広告の企画・制作、クロスメディア広告業務)、その他事業(アニメーションおよびミュージックビデオの企画・制作など)も展開している。なお今期(15年7月期)から事業セグメントを変更して、広告事業(従来のTV-CM事業とマーケティング・コミュニケーション事業)および映像関連事業(従来のその他事業)の2セグメントとする。   中期経営計画では目標数値として17年7月期売上高400億円、営業利益27億円を掲げ、株主還元として配当性向25%以上目標と株主優待の継続実施の方針を示している。海外展開は「ASEAN+インド」でクリエイティブ企業のネットワーク構築を目指し、現地の独立系エージェンシーに対するM&Aも検討している。   9月11日に発表した前期(14年7月期)の連結業績は売上高が前々期比6.3%増の265億69百万円、営業利益が同14.7%増の17億12百万円、経常利益が同8.6%増の15億09百万円、純利益が同26.2%減の5億96百万円だった。配当予想は同3円増配の年間6円(期末一括=普通配当3円+上場市場変更記念配当3円)とした。   純利益は貸倒引当金繰入額1億97百万円計上や拠点移転に伴う除却損46百万円計上などが影響して減益だったが、売上面では主力のTV-CM事業で大型案件の受注が増加し、マーケティング・コミュニケーション事業での大口広告主からの直接受注増加も寄与した。   利益面では増収効果に加えて、売上原価と販管費の削減を強化し、上場関連費用53百万円、株主優待実施費用68百万円、シンジケートローン契約締結に伴う手数料95百万円などを吸収し、経常利益は創業来最高を更新した。財務面の改善も着実に進展している。ネット有利子負債がゼロとなって実質無借金の目標を達成し、自己資本比率は37.4%で前々期末比5.4ポイント上昇した。   セグメント別に見ると、TV-CM事業は大型案件の好調などが牽引して売上高が同8.8%増の197億89百万円、売上原価・販管費の抑制などが寄与して営業利益(全社費用等調整前)が同16.8%増の34億06百万円だった。   マーケティング・コミュニケーション事業は、不採算事業譲渡の影響で売上高が同3.7%減の53億62百万円となり、一部大型案件の製作費が想定を超過して営業赤字が1億35百万円に拡大(前々期は34百万円の赤字)したが、事業譲渡の影響を除く存続事業ベースでは同12.0%増収だった。広告主直接取引の受注が増加した。   今期(15年7月期)連結業績見通しは売上高が前期比7.3%増の285億円、営業利益が同8.0%増の18億50百万円、経常利益が同12.6%増の17億円、純利益が同50.9%増の9億円としている。純利益は特別損失の一巡も寄与する。配当予想は年間4円(期末一括)で前期比2円減配の形だが、前期は記念配当3円を含んでいるため、普通配当ベースでは1円増配となる。   広告事業は自動車、電気・情報通信、飲料、衣料業界向けを中心に好調が続く見通しだ。来期(16年7月期)に予定していた戦略的M&Aを前倒しで実施する可能性もあるようだ。なお9月11日に連結子会社TYOアニメーションズに対する債権放棄を発表したが、過年度において全額引当済みのため今期業績に与える影響は軽微としている。   広告市場は拡大基調であり、国内TV-CM制作業界では当社を含む大手制作3社による寡占化傾向を強めている。景気回復や20年東京夏季五輪開催も追い風となるため事業環境は中期的に良好であり、収益拡大基調だろう。   株価の動き(13年10月25日付でJASDAQ市場から東証2部に市場変更、14年1月30日付で東証2部から東証1部に指定替え)を見ると、7月の戻り高値195円から反落して調整局面だったが、9月17日の直近安値164円から切り返して出直りの動きを強めている。10月6日には180円まで上伸した。今期の増収増益見通しを評価する動きだろう。   10月6日の終値180円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS14円87銭で算出)は12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間4円で算出)は2.2%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS77円18銭で算出)は2.3倍近辺である。日足チャートで見ると戻りを押さえていた25日移動平均線を突破して上伸した。また週足チャートで見ると26週移動平均線に続いて13週移動平均線も突破した。調整が一巡して強基調に転換した形であり、7月の戻り高値195円を試す展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
TV-CM制作大手のティー・ワイ・オー<4358>(東1)の株価は、7月の戻り高値195円から反落して調整局面だったが、9月17日の直近安値164円から切り返して出直りの動きを強めている。
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2014-10-07 09:00