ニューヨークの高級ホテル 米ヒルトンが中国企業に売却

 ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングスは、高級ホテル「ウォルドルフ・アストリア・ニューヨーク」を中国の安邦保険集団に約19億5000万米ドル(約2120億円)で売却すると発表した。安邦保険集団が自国の富裕層を対象とする集客に力を入れる可能性がある。  「ウォルドルフ・アストリア・ニューヨーク」の創業は183年で、1931年に移転したが、移転後に現在まで用いている建物も米国の歴史的建築物に指定されている。ヒルトンホテルズ創始者のコンラッド・ヒルトンが1949年に同ホテルを買収。同ホテルは米国を代表する高級ホテルとの評価が定着している。  安邦保険集団は中国を代表する保険企業グループ。母体となったは安邦財産保険は2004年の設立。出資企業には自動車会社の上海汽車集団や中国石油化学工業などがある。グループ化は2012年で、傘下に財産保険、生命保険、健康保険、資産管理、保険販売、保険証券、銀行など各分野の業務を行う企業がある。中国のすべての省および中央直轄市、民族自治区に支社を持ち、店舗数は3000以上。顧客数は10000万人以上で資産総額は7000億元(約12兆3630億円)を超えたとされる。  ヒルトングループによると、安邦保険集団とは長期的な戦略パートナーシップを結び、同ホテルの運営は今後100年間、ヒルトングループが安邦保険集団の委託を受けて続行する。また、歴史的な荘重さを回復するために、同ホテルに大規模な改修を行うという。  ヒルトン側が「ウォルドルフ・アストリア・ニューヨーク」の運営を継続することから、安邦保険集団側の出資以外の役割については、明らかでない。また、同ホテルの格式から考えて、中国人団体客を送り込むとは考えにくい。安邦保険集団側は保険業により蓄積した膨大な顧客情報を持つことから、中国人の裕福層にターゲットを絞った集客を行うことも、十分に考えられる。  中国の裕福層はステイタスの誇示に熱意を示す場合が多く、宿泊施設の選択でも「より高級な場所」を強く求める意識が強いとされる。ただし、「ウォルドルフ・アストリア・ニューヨーク」が中国大陸資本のホテルとなったことが、どのように評価されるかは予測が難しい。(編集担当:如月隼人)(イメージ写真提供:(C)Sean Pavone/123RF.COM)
 ヒルトン・ワールドワイド・ホールディングスは、高級ホテル「ウォルドルフ・アストリア・ニューヨーク」を中国の安邦保険集団に約19億5000万ドルで売却すると発表した。(イメージ写真提供:(C)Sean Pavone/123RF.COM)
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2014-10-07 17:15