【為替本日の注目点】IMF下方修正で円上昇、日本株の行方に注意

 NY市場  ドル円はIMFが世界経済の成長見通しを引き下げたことに反応し、約3週間振りに107円82銭までドル安が進む。株価が大きく下落したことや、長期金利の低下もドル売り円買いに繋がった。引け値は小幅に戻し108円前後で引ける。ユーロドルはドイツの鉱工業生産が5年ぶりの低水準だったことで一時ユーロ売りが進んだが、ドル安の流れが優勢となり1.26台後半までユーロが反発。   株式市場は大幅に続落。欧州景気の減速懸念やIMFの成長見通しが引き下げられたことでダウは272ドル下落し、1万6700ドル台まで売られる。S&P500も8週間振りの安値を記録。債券相場はIMFの景気見通しを受け続伸。長期金利は2.34%まで低下し、ドルの上値を抑える。金は反発し、原油は世界景気の減速見通しから売られ、88ドル台まで大幅に続落。   8月消費者信用残高 → 135億ドル   ドル/円 107.82~ 108.62  ユーロ/ドル 1.2603 ~ 1.2682  ユーロ/円 136.56 ~ 137.02  NYダウ -272.52 → 16,719.39ドル  GOLD +5.10   → 1,212.40ドル  WTI -1.49     → 88.85ドル  米10年国債 -0.079 → 2.340%  本日の注目イベント  日   8月国際収支   日   9月景気ウォッチャー調査   中   中国 9月サービス製造業PMI(速報値)   米   FOMC議事録(9月16、17日分)   米   バーナンキ・前FRB議長講演   加   カナダ9月住宅着工件数   ドル円は約3週間振りに107円台後半まで売られ、ドル高とトレンドの「調整」が続いています。昨日の国会では黒田日銀総裁が改めて円安は日本経済にとってマイナスではないという趣旨の発言を行ったことで、109円台前半までドルが買われました。しかし、安倍首相はやや急激な円安に対する懸念を表明したことでドルが反落するなど、神経質な展開が続いています。  ドル売りの直接のきっかけはIMFの世界景気見通しが引き下げられたことでした。IMFは地政学的リスクの高まりや、株式相場が「泡立つ」水準に達した金融市場が調整に見舞われる可能性に警戒感を示しました。その上で、2015年の世界成長を3.8%と予想し。7月時点での予測の4.0%から下方修正しました。  地域別では、ユーロ圏の経済成長を7月時点の1.5%から1.3%に修正し、日本についても7月時点の1.1%から0.8%に下方修正しました。一方米国については見通しは明るいとし、7月時点の1.7%から2.2%に上方修正しています。この結果、米国が世界景気を牽引する構図が予想されますが、米国だけで日欧の落ち込み分をまかなうには力不足だということで、先進国全体の見通しが引き下げられました。  このように、米国の優位性は明らかです。その結果ドルが買われるのも、ある意味自然であると言えます。ルー財務長官は昨日も講演で「強いドルは米国にとってプラスだ」と従来の発言を繰り返しています。ハト派のダドリーNY連銀総裁は、インフレ率がまだ低すぎるとしながらも「利上げは来年半ば頃だという見方がコンセンサスだ。妥当な予想だと思う」と述べております。  ドル円が107円台まで下落したということで、昨日も述べたように「110円台が重い」という相場観が徐々に広がってきそうです。米国の長期金利も2.4%を割り込み、金利との相関関係が強いドル円は下落しやすい状況と言えます。下値のメドとしては「8時間足」の雲の下限である107円前後という見方ができます。106円80銭-107円あたりは、今回の上昇幅の38.2%戻しにもあたります。  上述のように、日米欧の景気の違いと、それに伴った金融政策の方向性の違いからドル高トレンドは変わらないと判断しています。急激な円安を懸念する声の高まりや、ドル高を見越した円やユーロなどの大幅な売りポジションの積みあがりなどが、一旦ポジションを整理する動きにつながっていると思われます。この先も、慎重にドル買いのタイミングを探る姿勢でいいのではないでしょうか。  本日もNY株式市場の大幅安を受けて、日本株の行方に注意しながらの展開になります。また、FOMC議事録ではタカ派的な議論が活発であったことが判明すればドルが買い戻されることにもなります。レンジは107円50銭~108円50銭程度を予想しますが、このところ一日の値幅も結構大きい展開が続いています。そのあたりにも注意が必要です。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
ドル円はIMFが世界経済の成長見通しを引き下げたことに反応し、約3週間振りに107円82銭までドル安が進む。株価が大きく下落したことや、長期金利の低下もドル売り円買いに繋がった。引け値は小幅に戻し108円前後で引ける。ユーロドルはドイツの鉱工業生産が5年ぶりの低水準だったことで一時ユーロ売りが進んだが、ドル安の流れが優勢となり1.26台後半までユーロが反発。 
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2014-10-08 09:30