【為替本日の注目点】ドル円急落は「ドル上昇局面でのガス抜き」株価の地合いも強い

  NY市場   ドル円は東京時間に103円38銭の最高値を記録した後、海外市場では一転してドル売りが加速。株安と長期金利の低下に反応し、NY市場では一時101円97銭までドルが売られ、102円40-50銭まで戻して引ける。    ドル安が進んだことでユーロドルも反発。ユーロドルは1.35台半ばから1.36台前半までユーロ高が進む。    株式市場は3日続落。欧州市場の株安や、利益確定の売りに押されダウは99ドル下落し、1万6000ドルの大台を割り込む。    債券相場は反発し1週間ぶりに上昇。ダウが大台を割り込んだこともあり、安全資産の債券に買いが集まった。10年債利回りは小幅に低下し2.78%台に。    金は小幅に続落し、原油は大幅に続伸し96ドル台に。    ドル/円 101.97 ~102.76   ユーロ/ドル 1.3570 ~ 1.3614   ユーロ/円 138.69 ~ 139.22   NYダウ -94.15 → 15,914.62ドル   GOLD -1.10 → 1,220.80ドル   WTI +2.22 → 96.04ドル   米10年国債 -0.017 → 2.784%   本日の注目イベント   豪   豪7-9月期GDP    中   中国 11月HSBCサービス業PMI    欧   ユーロ圏7-9月期GDP(改定値)    欧   ユーロ圏11月総合景気指数(改定値)    欧   ユーロ圏10月小売売上高    欧   OPEC総会(ウイーン)    英   英11月サービス業PMI    米   ベージュブック(地区連銀経済報告)    米   11月ADP雇用者数    米   10月貿易収支    米   11月ISM非製造業景況指数    米   9月、10月新築住宅販売件数    米   オバマ大統領、経済について講演(ワシントン)    先月8日の雇用統計の発表をきっかけにドル高円安が加速し、ドル円は昨日の東京市場では103円38銭までドル高が進みました。そのため5月の最高値、103円74銭へのテストは「時間の問題」と見られていましたが、その水準を頂点に下落に転じ、わずか半日で1円40銭近く円高が進む「調整」が起きました。   今回のドル上昇局面でようやく「ある程度の調整」を見ることになりましが、その理由に特別のものは見当たりません。米長期金利の低下はありましたが、ドルを101円台まで押し下げる原因ではありません。NYダウが続落し、大台の1万6000ドル台を割り込んだことはややインパクトがありましたが、それでも前日の下落時にはほとんど反応しませんでした。   結局、利益確定のドル売りが出て、ある程度の水準まで下げると、さらにそこには「ストップロスのドル売り」があり、それが執行されたことでさらに値を下げる展開だったと思われます。それにしても特段理由がないのに、1円40銭程の大幅な下落は「相場は上昇より下落の方がはるかに速い」ことが証明された格好です。   昨日の東京時間での103円38銭までのドル高は、日経平均株価が年初来高値を更新したことに引っ張られた部分もあります。シカゴ先物市場の円売りポジションも「今年最も多い12万3000枚」を超えていました。そして市場参加者の「相場観」も、かなりドル高に傾いていたように思います。いつ「調整」が起きてもおかしくない状況だったわけです。   問題はここからです。NY市場では102円を割り込んだ後、102円台半ばまで反発して引けたことで「長い下ヒゲ」を作っています。この「下ヒゲ」は長ければ長いほど「底値」である可能性が高いことから、「調整」もここで一旦終えたと考えられなくはありません。昨日の下落はさすがに予測できませんが、101円97銭で下げ止まったことは「偶然」ではありません。チャートを見ると「1時間足」の200日線でしっかりと止められているのが見て取れます。さらに「4時間足」を見ると、ここでも52日線が下落を止めているのが解ります。昨日の下落は、テクニカル上のサポートポイントでしっかり止まったと言えます。   「ある程度の調整」を見たことで、今後はドルの上値がこれまでとはやや異なり重くなって来そうですが、「ドル高トレンド」は変わっていないと思います。今週末の雇用統計次第というところはありますが、もみ合い後に再び103円74銭を試す展開になると予想します。   下値のメドは昨日NY市場で記録した101円95-00レベルです。もしこの水準を下抜けするようなら、次は101円50-60銭となり、その下の101円が重要なサポートになります。反対に上値は103円と、その上は昨日の高値である103円38銭ということになります。現時点では、昨日のドル急落はあくまでも「ドル上昇局面でのガス抜き」と、捉えています。今週末まではもみ合いが続きそうですが、雇用統計で余程の「悪化」を確認しない限り現在のトレンドは来年に向けて継続されると予想しています。   本日は日本株の下落がどこまであるか、という点に注目です。「円安と株高」がセットで進行してきたことから、円高方行に振れれば株も売られます。ただ株価の地合いも強いため、日経平均株価の大崩れは望めないと思われます。レンジは101円80銭~102円80銭程度を予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
ドル円は東京時間に103円38銭の最高値を記録した後、海外市場では一転してドル売りが加速。株安と長期金利の低下に反応し、NY市場では一時101円97銭までドルが売られ、102円40-50銭まで戻して引ける。 
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2013-12-12 12:45