クリーク・アンド・リバー社は9月30日高値から反落したが切り返し、上値試す
エージェンシー事業のクリーク・アンド・リバー社 <4763> (JQS)の株価は、13年5月高値600円を突破して水準を切り上げ、9月30日には880円まで急伸する場面があった。利益確定売りで10月2日の614円まで一旦反落したが、10月8日には800円まで戻す場面があり、素早く切り返しの動きを強めている。今期(15年2月期)業績見通し再増額の可能性を評価して上値を試す展開だろう。
日本のクリエイティブ分野(映像・テレビ番組・ゲーム・Web・広告などの制作)で活躍するクリエイターを対象としたエージェンシー(派遣・紹介)事業、およびライツマネジメント(著作権管理)事業、制作請負事業を主力として、韓国のクリエイティブ分野、医療・IT・法曹・会計などの分野にも事業展開している。
日本のクリエイティブ分野では、13年8月公開のテレビ朝日開局55周年記念劇場公開映画「少年H」(モスクワ映画祭特別賞受賞)の制作を担当したことが評価され、番組制作請負事業が急拡大している。今期(15年2月期)第2四半期累計(3月~8月)の当社制作番組は、レギュラーと特番を合わせて前年同期比6本増加の16本となった。
新規分野として電子書籍取次事業、海外版権エージェント事業、そして「作家」「オンラインクリエイター」「建築」「ファッションクリエイター」エージェンシー事業にも展開し、13年12月にはアパレル業界に特化した人材派遣会社インター・ベルを連結子会社化した。また14年9月にはクラウド関連サービスとしてクリエイティブプラットフォーム「Creators Ship(クリエイターズ・シップ)」のサービス提供を開始した。
10月2日に発表した今期(15年2月期)第2四半期累計(3月~8月)の連結業績(9月25日に売上高と利益を増額修正)は、売上高が前年同期比12.2%増の117億89百万円、営業利益が同25.1%増の9億28百万円、経常利益が同26.7%増の9億41百万円、純利益が同60.1%増の5億29百万円だった。
売上高、利益とも第2四半期累計として過去最高を達成した。売上面では全セグメントが増収と好調に推移し、インターベルの連結も寄与した。利益面でも増収効果などで全セグメントが増益となり、12年に開始した電子書籍取次事業の黒字化も寄与した。売上総利益率は33.1%となり同1.1ポイント上昇した。
通期の連結業績見通しについては9月25日に利益を増額修正して、売上高が前期比11.6%増の230億円、営業利益が同28.1%増の14億円、経常利益が同28.2%増の14億円、純利益が同42.5%増の7億円、そして配当予想は前回予想(4月3日公表)を据え置いて同1円増配の年間6円(期末一括)としている。
売上面では全セグメントが好調に推移し、利益面では新規事業分野での費用先行などを吸収する。クリエイティブ分野(日本)は高付加価値のテレビ番組制作請負や大規模Webサイト制作などが増加基調であり、自社開発ソーシャルゲームも寄与する。新規事業も順次収益化する見込みだ。
セグメント別営業利益(全社費用等調整前)の計画は、クリエイティブ分野(日本)が9億円(前期は7億72百万円)、クリエイティブ分野(韓国)が40百万円(同21百万円)、医療分野が3億40百万円(同3億26百万円)、その他分野が1億10百万円(同40百万円の赤字)としている。その他事業のIT・法曹・会計・ファッションの利益が期初計画を上回るようだ。
通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は、売上高が51.3%、営業利益が66.3%、経常利益が67.2%、純利益が75.6%と高水準である。期初計画に対する第2四半期累計の増額幅に比べると、通期の増額幅が小さいため下期(9月~2月)を減額の形となるが、新規エージェンシー事業の需要増に対応した拡大投資、ゲーム・アプリの自社開発および制作拠点の拡充などの積極投資を第3四半期(9月~11月)以降に予定しているためとしている。ただし通期見通しは再増額の可能性が高いだろう。
中期成長戦略では、既存事業で年率10~15%の成長を見込み、クラウド関連サービスを含めた新規事業分野の積み上げや収益化も寄与して、18年2月期に売上高300億円、営業利益30億円をイメージしている。中期的に収益拡大基調だろう。
株価の動きを見ると、13年5月高値600円を突破して水準を切り上げ、9月30日には880円まで急伸する場面があった。その後は利益確定売りで10月2日の614円まで一旦反落したが、10月8日には800円まで戻す場面があり、素早く切り返しの動きを強めている。好業績見通しを評価して上値を窺う動きだろう。
10月9日の終値733円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS33円02銭で算出)は22~23倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間6円で算出)は0.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS185円70銭で算出)は3.9倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって強基調の形だ。今期業績見通し再増額の可能性も評価して上値を試す展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
エージェンシー事業のクリーク・アンド・リバー社<4763>(JQS)の株価は、13年5月高値600円を突破して水準を切り上げ、9月30日には880円まで急伸する場面があった。
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2014-10-10 09:00