【為替本日の注目点】ドル円ISM指数悪化で売買拮抗、株式から資金は金や原油へ

  NY市場   ドル円は前日同様やや上値の重い展開が続く。ADP雇用者数が市場予想を上回ったことでドル買いが見られたものの、ISM非製造業景況指数が悪化していたことで一時101円82銭までドル売りが進み、102円台前半に戻して取引を終える。    ユーロドルは方向感に欠ける展開。前日よりやや水準を下げ、1.35台前半から後半での動きに終始。    株式市場はまちまちながら、ダウは4日続落。経済指標の発表を睨みながら神経質な展開が続いたが、ダウは24ドル安で1万5900ドル台も割り込む。    債券相場はADP雇用者数に反応し反落。ADP雇用者数が市場予想を上回ったことで明日の雇用統計への期待も高まり、「緩和縮小」が早まるとの見方から売られる。10年債利回りは一時2ヵ月振りに2.85%台まで上昇。    ドルが下落したことで金は大幅続伸。原油価格も4日続伸し97ドル台まで上昇。    11月ADP雇用者数 → 21.5万人    10月貿易収支 → 406億ドルの赤字    11月ISM非製造業景況指数 → 53.9    9月、10月新築住宅販売件数 → 35.4万件、44.4万件    ドル/円 101.82 ~102.71   ユーロ/ドル 1.3528 ~ 1.3606   ユーロ/円 138.54 ~ 139.23   NYダウ -24.85 → 15,889.77ドル   GOLD +26.40 → 1,247.20ドル   WTI +1.16 → 97.20ドル   米10年国債 +0.046 → 2.830%   本日の注目イベント   豪   豪10月貿易収支    欧   ECB政策金利発表    欧   ドラギ・ECB総裁記者会見    英   BOE政策金利発表    米   7-9月期GDP(改定値)    米   新規失業保険申請件数    米   ロックハート・アトランタ連銀総裁講演    米   フィッシャー・ダラス連銀総裁講演    ドル円は欧州市場で102円84銭まで買われる場面もありましたが、日経平均株価の大幅下落を背景にドル売りが勝り、NY市場では前日のドル安値を下回る101円82銭まで円高に振れました。しかし前日と同様に101円台ではドル買い意欲も強く、102円30-40銭まで押し戻されて取引を終えました。   為替を含む金融市場に、これまでとはやや異なる変化が見られます。NY株式市場ではダウは4日続落し、直近の最高値から既に200ドル程下落しています。連日最高値を更新し、株式に対する強気の見方がやや後退しています。本欄では何度も株価の上昇に対する懸念を述べてきましたが、量的緩和の継続という材料だけで上昇しつづけるには限界もあり、年末を控え利益確定の売りが出易い状況になっているようです。   株式を手放した資金は、金や原油市場に向かっています。これまで大きく売られてきた金は約2ヵ月振りの水準まで上昇しています。原油価格も同じく97ドル台まで上昇して来ました。代表的な商品市況であるCRBも上昇しています。   ドル円も下値は底堅いものの、2日続けて102円割れをテストしました。今のところすぐに102円台に押し戻され、101円台が定着する動きには至っていませんが、ドルの上値も徐々に切り下がっています。仮にこのまま100円台まで下落すれば、103円38銭が直近のドル高値になることも考えられますが、現時点ではその可能性は低いと見られます。   米長期金利は9月18日以来となる2.85%台まで上昇しました。ADP雇用者数が市場予想の17万人の増加に対して、21万5000人増加していたことで、明日の雇用統計でも上振れするのではないかとの期待が膨らみ、今月のFOMCで「量的緩和縮小」が決定されるとの観測が高まったことが背景です。ADP雇用者数の21.5万人増加は1年振りの水準になります。実際、このところの米経済指標の多くは良好です。現在、17~18日に行われるFOMCで「量的緩和縮小」に踏み切る可能性は五分五分と見ています。従って、明日の雇用統計でも市場予想を大きく上回るようだと、その確率はさらに高まることになります。   ドル円は上値が徐々に重くはなっていますが、2日連続で101円台から押し戻されたことでローソク足では売り買いが拮抗してる「十字架」が出現しています。まだ、上昇トレンドの中での「調整」と見ていいのではないかと予想しています。予想レンジは101円90銭~103円程度と見ますが、値幅が大きくなっています。ポジションの管理には注意が必要です。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
ドル円は前日同様やや上値の重い展開が続く。ADP雇用者数が市場予想を上回ったことでドル買いが見られたものの、ISM非製造業景況指数が悪化していたことで一時101円82銭までドル売りが進み、102円台前半に戻して取引を終える。 
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2013-12-12 12:45