【為替本日の注目点】NY株大幅安ドル円は引き続き大幅な調整局面
NY市場
ドル円はNY株式市場が大幅な続落を演じたことで107円台を割り込み、一時106円76銭まで下落。G20で足並みが揃わなかったことや、米長期金利の急低下から円の買戻しが加速した。ユーロドルも急反発。ドル安の流れが強まり、ユーロドルは1.27台半ばまでユーロ高が進む。
株式市場は3日続落し、この間のダウの下げ幅は670ドルを超える。世界的な経済成長の減速見通しと、エボラ出血熱の感染拡大が懸念され、ダウは先週末比223ドル下落。債券市場休場。金は反発し、原油は反落。
ドル/円 106.76~ 107.49
ユーロ/ドル 1.2665 ~ 1.2761
ユーロ/円 135.88 ~ 136.31
NYダウ -223.03 → 16,321.07ドル
GOLD +8.30 → 1,230.00ドル
WTI -0.08 → 85.74ドル
米10年国債 ---- → 2.260%
本日の注目イベント
日 9月マネーストック
独 独10月ZEW景況感指数
欧 ユーロ圏8月鉱工業生産
英 英9月生産者物価指数
米 決算発表 → JPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ、シティグループ、インテル、ジョンソン&ジョンソン
ドル円は引き続き大幅な調整局面を継続中です。目先の節目と観られていた107円40銭前後と107円を割り込み、一時106円76銭まで円の買戻しが進みました。ただこの水準は、8月8日の101円50銭からの10月1日に記録した110円09銭の上昇分の38.2%の戻しである106円81銭の誤差の範囲であり、まだトレンドが変わったと判断することは出来ないと思います。
先週からの大幅な調整にはいくつかの理由があります。先ずは、9月のFOMC議事録で、ドル高に対する懸念が公表されたことです。ルー財務長官は「ドル高は米国の国益」と、ドル高を容認する発言を繰り返してきましたが、それは個人的な見解で、議会には受け入れられないのではないかといった見方も浮上しています。
さらにIMFが世界景気の見通しを下方修正したことも影響しました。その中でも、ユーロ圏の景気悪化が米国にとってもリスクであることが指摘され、これがNY株式市場の大幅な下落につながっています。NYダウはここ3日間で670ドルを超える下げを見せ、これは2011年以来の下落幅となっています。NY株の大幅下落は「恐怖指数」と呼ばれる「VIX指数」の上昇につながり、投資家はリスク回避の行動を取ります。その結果、安全通貨の円が買い戻されるという側面もあります。
フィッシャーFRB副議長は11日、ワシントンのIMFで講演を行い、「海外の経済成長が予想よりも鈍くなれば、その米国経済への影響でFRBの緩和策解除がより遅くなる公算がある」と述べています。今回の講演の前には「利上げは来年半ばが妥当」との見方を示したばかりでしたが、欧州景気の影響次第では利上げ開始のタイミングが遅れることを示唆したものと受け止めることができます。またG20でも、ラガルド専務理事は日本とドイツの金融政策の出動を求めていました。
ドル円は依然として調整局面にあると思われますが、今日は106円台のどこまで円が買われるかを見極める展開になりそうです。NY株式市場が大幅安で終わっていることから、連休開けの東京株式市場も大幅な下落が見込まれるからです。株価の下落に伴ってドルが売られる展開が予想されますが、その際どこで下落が止まるかが焦点です。NYのドル安値である106円76銭近辺が先ず意識されるレベルですが、その下の106円半ばも重要です。
今回の大幅な下落があくまでも調整であるとすれば、106円台の水準はドルの買い場と思われます。もっとも、日経平均株価が予想以上の大幅下落を見せ、その影響からさらにNY株式市場が下げるといった「キャッチボール」を見せるようだと、今回のドル下落も予想以上に深いものになる可能性もあります。本日のレンジは106円30銭~107円60銭とややワイドに予想します。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
ドル円はNY株式市場が大幅な続落を演じたことで107円台を割り込み、一時106円76銭まで下落。G20で足並みが揃わなかったことや、米長期金利の急低下から円の買戻しが加速した。ユーロドルも急反発。ドル安の流れが強まり、ユーロドルは1.27台半ばまでユーロ高が進む。
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2014-10-14 09:15