中国人の婚約結納金と血族主義 ~中国人も楽じゃないよ~

今回は、中国人の婚約結納金と血族主義についてご紹介します。中国人でいるのも楽じゃないよというエピソードに関する現場コラムです。
■ 1. 家族・親戚、一族に頼りきる
中国人の血族主義、面子については、日本人には理解しにくい部分もあります。ある広東人女性から聞いたエピソードです。この女性のところに、あるとき父親と親族の女性から電話がかかってきました。曰く、
「親類の女性の娘(姪御)が、高校を卒業しても仕事すらせずにプラプラしている。広東省の省都である広州市で働かせたいと思うが、面倒を見てあげてほしい。ついては、マンションに一緒に住まわせてあげ、会社も一緒に探しながら、世間について教えてあげてほしい」
この女性はちょうど引越しを計画していたところでしたが、姪御が一緒に住むということで引越しは延期。しかも、姪御は、居候を開始後もなかなか定職につかず、アルバイトを繰り返すものの、「つまらない」とすぐに辞める始末。現在は、「ネイルの勉強にでも行こうかな」と言っているとのことでした。
筆者「ところで、その姪御さんは居候だけど、何らかのお金をあなたに渡しているの?」
広東人女性「そんなものは何ももらっていない。中国人なら何ももらわずに、家族・親戚の援助・支援をするのが当たり前。少々、迷惑でも仕方がない。それが中国人だから」
筆者「ただで、住み込んで、ご飯を食べて、いつまで経っても出て行かないというのも、あなた自身、都合もつかず、大変では?」
広東人女性「日本人には理解できないかも知れないけど、それが中国人。仕方がない。」
■ 2. 中国人の婚約結納金
中国人でいることもなかなか大変だなと思う他の話として、中国人男性が女性や女性の家族に渡す結納金もあります。
(1) 中国人女性(漢族)と結婚した日本人男性のケース
中国の遼寧省人女性(漢族)と結婚した筆者の日本人の友人は、結納金として8万人民元(日本円140万円相当)を結婚相手の両親に渡したそうです。物価の安い中国の東北地方の水準から考えれば、8万人民元は、日本の140万円以上の価値があることは言うまでもありません。
他にも、河南省人女性(漢族)と結婚した日本人男性は、結納金として20万元(日本円350万円相当)を結婚相手の両親に渡したそうです。さらに、この日本人男性は、結婚相手の親戚一同のために、日本製の炊飯器10台を購入し、一同に配ったそうです。
(2) 漢族同士のケース
ある天津人の漢族男性は、結婚相手に婚約指輪として、7万人民元(日本円122.5万円相当)の指輪を渡しました。一般に結納金は10万人民元から20万人民元(日本円175万円から350万円相当)とのことでした。ただし、上海市、広州市といった沿岸都市では、どんどんと結納金の風習はなくなっているようです。
(3) 満州族同士のケース
満州族の友人に聞いたところ、家庭環境にもよりますが、10万人民元から30万人民元(日本円175万円から525万円相当)とのことでした。漢族の友人も中国の北方、東北地方に行くほど、結納金が高いように思われましたが、そもそも東北地方に住んでいる満州族も、結納金は高いようでした。
(4) チワン族同士のケース
中国最大の少数民族であるチワン族は、広西チワン族自治区などに住む民族です。チワン族の友人にも聞いてみました。チワン族の結納金は、通常は3万人民元(日本円52.5万円相当)、貧乏な家で1万人民元から3万人民元(日本円17.5万円から52.5万円相当)、裕福な家で5万人民元から10万人民元(日本円87.5万円から175万円相当)とのことでした。
■ 3. 中国人でいるのも楽ではないよ
中国人は家族・親戚という血族にはいくら迷惑をかけても、かけられても仕方がない。また、家族になる人間なら、お金を支援したり、支援してもらったりして当たり前、という傾向が強いようです。中国人でいるのも、また、中国人社会に入り込んで行くのも、なかなか大変だなと思ったエピソードでした。以上。(執筆者:奥北 秀嗣 提供:中国ビジネスヘッドライン)
今回は、中国人の婚約結納金と血族主義についてご紹介します。中国人でいるのも楽じゃないよというエピソードに関する現場コラムです。
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2014-10-14 13:00