ＮＴＴ　Ｃｏｍ、「進化したクラウド」フォーラムでクラウド型ＰＢＸに高い注目

　ＮＴＴコミュニケーションズ（ＮＴＴ　Ｃｏｍ）が２０１４年１０月９日、１０日の２日間、東京・芝公園のザ・プリンス　パークタワー東京を会場に「ＮＴＴ　Ｃｏｍｍｕｎｉｃａｔｉｏｎｓ　Ｆｏｒｕｍ　２０１４」を開催した。フォーラムのメインテーマは、「進化したクラウド」。中でも来場者の関心が高いブースの一つが、クラウドを使ってＰＢＸ（電話交換機）機能と内線機能を提供する「Ａｒｃｓｔａｒ　Ｓｍａｒｔ　ＰＢＸ」のブース。日本郵便が全国の郵便局から寄せられる社内センターへの問い合わせ対応業務に採用したということが１０月７日に発表されたばかりというタイミングも重なって、同ブースには説明を求める企業担当者が行列を作っていた。（写真はＡｒｃｓｔａｒ　Ｓｍａｒｔ　ＰＢＸブースの様子、写真撮影サーチナ） 　「Ａｒｃｓｔａｒ　Ｓｍａｒｔ　ＰＢＸ」は、ＦＭＣ（移動体通信と有線通信を連携させる技術やサービス）、内線機能を備えたクラウド型ＰＢＸサービスで、２０１４年４月にサービスを開始した。ＰＢＸやビジネスホンなどの通信設備を持たずに内線電話が利用できるようになる。また、利用できる端末は、ＩＰ－Ｐｈｏｎｅ、スマートフォン、ＰＣ（ソフトフォン）など多様なデバイスに対応。社員が所有しているスマートフォンにアプリをダウンロードするだけで、外出先では社員のスマホを社用電話として使え、通話料無料で内線通話もできる。社員のスマートフォンを活用する場合、社員が個々に契約している通信キャリアは問わない。利用料金は、月額５００円から。 　ＰＢＸをクラウド化することによって、オンプレミス型（施設内設置型）のＰＢＸを購入・設置する必要がなくなる。また、社員が所有するスマートフォンを活用することを選択すれば、ビジネス電話を購入する費用も不要になる。さらに、オンプレミス型のＰＢＸを廃止すれば、社内のレイアウト変更も柔軟に行うことができる他、外出中の社員との会話は内線通話で行うことができるため、通信費用の削減もできる。 　フォーラムのセミナーで「Ａｒｃｓｔａｒ　Ｓｍａｒｔ　ＰＢＸ」の導入事例を紹介したＮＴＴコミュニケーションズのボイス＆ビデオコミュニケーションサービス部担当課長の池田憲昭氏は、「ある食品メーカーでは、オンプレミスのＰＢＸを廃止し、社内の連絡用で使っていたＰＨＳの通信費が不要になるなど大幅なコスト削減を見込んでいます。また、社員のスマートフォンをＢＹＯＤ（Ｂｒｉｎｇ　ｙｏｕｒ　ｏｗｎ　ｄｅｖｉｃｅ）でビジネス用に活用することで社員の評判が高まることを期待しています。また、情報サービス会社では社内の通信網を社員のスマホに一本化することを進めており、将来的にはビジネス電話を一切なくすことを考えています」など、具体的な事例を紹介した。 　また、日本郵便が導入した事例では、１台あたり１０００万－２０００万円かかるＰＢＸを全国に約１６カ所設置する必要があった導入・維持運用の費用を削減。また、「ナビダイヤル」を併用することで、問い合わせ対応の電話番号を一元化。ＩＶＲ（自動音声応答）によって適切な応答窓口に割り振り、かつ、「Ａｒｃｓｔａｒ　Ｓｍａｒｔ　ＰＢＸ」によって一元化したセンターから、各支社や本社へと内線転送ができるようにしたため、問い合わせをする郵便局が電話のかけ直しをしなくても済むようになった。 　さらに、「Ａｒｃｓｔａｒ　Ｓｍａｒｔ　ＰＢＸ」が端末を選ばないという機能を活かして、センターから各支社へ転送された問い合わせについて、タブレット端末を固定ＩＰ電話機の代替として利用。タブレット端末には低価格で高速通信が可能なＳＩＭカード「ＯＣＮ　モバイル　ＯＮＥ　ｆｏｒ　Ｂｕｓｉｎｅｓｓ」を導入することで、音声通話にも対応できるようにした。これらのシステムの構築をＮＴＴコミュニケーションズが一括で請け負うことができたことも、評価の対象になったという。 　池田氏はセミナーの中で、「クラウドを活用することによって、これまで続いているオフィス中心、座席中心のワークスタイルに代わって、ロケーションフリーでスマートフォンを内線化する新しいワークスタイルを提案したい」と語っている。 フォーラムの会場では、「Ａｒｃｓｔａｒ　Ｓｍａｒｔ　ＰＢＸ」の関連サービスとして、大企業向けに電話会議機能などを備えたハイクラスのクラウド型ＰＢＸサービス「Ａｒｃｓｔａｒ　ＵＣａａＳ」、「Ａｒｃｓｔａｒ Ｓｍａｒｔ ＰＢＸ」のオプションとして、クラウド上に社内の電話帳を置く「Ｗｅｂ電話帳」、また、１０月下旬にサービスを開始するクラウド内線通話を使ったメッセージング機能なども紹介。「進化したクラウド」というフォーラムのテーマを具体化する各種サービスについて、ブースやセミナー等を通じた活発な発表が行われていた。（編集担当：徳永浩）