ワイヤレスゲートは地合い悪化で急落だが売られ過ぎ感
ワイヤレスブロードバンドサービスを展開するワイヤレスゲート <9419> (東マ)の株価は、8月8日4010円から9月1日6140円まで一旦は切り返したが、その後は上値が重くなった。そして全般地合い悪化も影響して急落し、10月14日には3840円まで調整する場面があった。ただし終値では前日比プラス圏に切り返している。売られ過ぎ感を強めたようだ。中期成長力を評価する流れに変化はなく反発のタイミングだろう。
通信事業者からインフラを借り受けてワイヤレスブロードバンドサービス(Wi-Fi、WiMAX、LTE)を提供している。14年5月には東証1部市場または東証2部市場への市場変更申請に向けた準備を開始すると発表している。
販売チャネルはヨドバシカメラでの販売、住友商事 <8053> との業務提携による最大手携帯販売会社ティーガイア <3738> での販売を主力としている。月額有料会員数の積み上げに伴って収益が拡大するストック型ビジネスモデルであり、少ない社員数で高収益構造であることも特徴だ。
中期成長に向けた重点戦略として、サービス提供エリア拡大、サービスラインナップ拡充、新規事業推進などを掲げている。サービスラインナップ拡充では13年6月にオプションサービス第1号として「電話リモートサービス」を開始した。ARPU(顧客1人当たり売上高)向上や顧客基盤拡大につなげるため、さらなるオプションサービスも検討している。
新規事業では14年1月、法人向けWi-Fi環境イネーブラー(構築運用支援)事業を開始した。公衆無線LAN環境を活用する動きが自治体(災害時通信インフラ)、観光地(外国人旅行客誘致)、商店街(集客力向上)などに広がり、20年東京夏季五輪開催も追い風となって無線LANの需要拡大が予想されるため、クラウド型Wi-Fi環境サービスシステムなどソリューションサービスの提供を拡大する。
5月にはLTE領域のSIM関連サービスおよびソリューション事業の拡充方針を表明した。MVNO(仮想移動体通信事業者)としてデータ通信中心にサービスを提供してきたが、顧客ニーズに合わせてLTEサービスのラインナップを一新するとともに、LTEネットワークを活用したソリューション領域へ事業展開する。
8月にはLTE領域ソリューション拡充の一環として、M2M/IoTソリューション「クラウド型みまもりサービス」の販売開始を発表し、全国主要都市圏で訪問看護サービスを展開するN・フィールド <6077> との業務提携も発表した。9月にはヨドバシカメラ店舗・通販サイトでLTE通信対応SIMカード「ワイヤレスゲート Wi-Fi+LTE SIMカード」の販売を開始した。
9月26日には、日本たばこ産業(JT) <2914> へのWi-Fiシステムの提供開始を発表した。日本たばこ産業の飲料自動販売機をWi-Fiスポットにするもので、当社のクラウド型マネージドWi-Fiシステムが採用された。自動販売機は全国に設置されているため有力なWi-Fiスポットとして利用が見込まれている。また10月11日~13日に開催された九州物産展の会場においてタッチパネル型デジタルサイネージを通路に配置し、Wi-Fi環境イネーブラー事業から派生した人の流れ解析サービスを提供した。
今期(14年12月期)の連結業績見通しは前回予想(2月13日公表)を据え置いて、売上高が前期比20.6%増の85億09百万円、営業利益が同14.6%増の9億円、経常利益が同14.6%増の8億98百万円、純利益が同12.5%増の5億43百万円、配当予想が14年1月1日付の株式2分割を考慮すると実質的に前期と同額の年間25円(期末一括)としている。
販売チャネル数拡大やサービスラインナップ拡充などの効果で会員数が順調に増加する。会員数増加に連動する支払手数料の増加、若干の人員増に伴う人件費の増加、フロア増床に伴う地代家賃の増加などを吸収して増収増益見通しだ。
第2四半期累計(1月~6月)は会員数増加に伴って前年同期比25.6%増収、同11.4%営業増益、同11.2%経常増益、同14.6%最終増益と好調に推移した。通期見通しに対する進捗率は売上高が49.4%、営業利益が45.3%、経常利益が45.2%、純利益が47.5%である。会員数積み上げのストック型収益構造であることを考慮すれば順調な水準だろう。
第2四半期末の会員数は46万人で、前期(13年12月期)末に比べて4万人増加し、前年同期(13年12月期第2四半期)末との比較では8万人増加した。会員数は順調に増加しており、Wi-Fi環境イネーブラー事業など新規事業を通期見通しに織り込んでいないため、通期上振れの可能性があるだろう。中期的にも収益拡大基調が期待される。
株価の動き(8月26日から貸借銘柄)を見ると、7月31日高値6580円から8月8日4010円まで調整し、9月1日の6140円まで戻して一旦は切り返しの動きを強めたが、その後は上値が重くなった。そして全般地合い悪化も影響して急落し、10月14日には3840円まで調整する場面があった。ただし終値では前日比プラス圏に切り返している。売られ過ぎ感を強めたようだ。
10月14日の終値4075円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS54円28銭で算出)は75倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間25円で算出)は0.6%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS206円18銭で算出)は20倍近辺である。日足チャートで見ると25日移動平均線に対するマイナス乖離率が20%程度まで拡大して売られ過ぎ感を強めている。また週足チャートで見ると26週移動平均線近辺で下げ渋る動きとなった。中期成長力を評価する流れに変化はなく反発のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
ワイヤレスブロードバンドサービスを展開するワイヤレスゲート<9419>(東マ)の株価は、8月8日4010円から9月1日6140円まで一旦は切り返したが、その後は上値が重くなった。
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2014-10-15 09:15