ブイキューブは9月の直近安値に接近して切り返しの動き、反発局面
Web会議のブイキューブ <3681> (東マ)の株価は、9月5日の直近安値3180円から9月12日の4290円まで急反発したが、6月の戻り高値4530円に届かず反落した。さらに全般地合い悪化も影響して10月14日には3210円まで調整する場面があった。ただし終値では前日比115円高の3430円まで切り返して調整一巡感を強めている。中期成長力を評価して反発局面だろう。
1998年10月創業で、2013年12月東証マザーズ市場に新規上場した。TV会議・Web会議・オンラインセミナー・営業支援・遠隔教育・遠隔医療・映像配信といったビジュアルコミュニケーションツールおよびソリューションサービスの企画・開発・販売・運用・保守を企業向けに提供している。
主力のWeb会議「V-CUBE」はWebカメラ、ヘッドセット、インターネット環境があれば世界中「いつでも」「どこでも」「だれでも」、そしてスマートフォンやタブレット端末でも利用可能なビジュアルコミュニケーションサービスである。競合他社と異なり専用ソフトウェアのインストールなど面倒な設定が不要なこと、V-CUBEミーティングやV-CUBEセミナーなどユーザーニーズに合わせた7つの基本ラインナップが充実していること、大企業やアジアの現地企業に必須のカスタマイズが可能なことなどが強みである。
主力のクラウド型はサービス提供に伴う月額利用料、そして官公庁や金融機関向けが中心のオンプレミス型はサーバ・ライセンス販売に伴う導入費用や月額保守料が収益柱である。14年9月には、1契約でV-CUBEミーティングやV-CUBEセミナーなどのサービス群から最適なサービスを選択して利用できるビジュアルコミュニケーションプラットフォーム「V-CUBE One」、および「V-CUBE」の知名度向上や使い方普及に向けて無料の法人専用テキストチャットサービス「V-CUBE Gate」の提供を開始した。
200社以上の国内販売パートナーと連携して4000社を超える納入実績を持ち、国内Web会議市場シェアで7年連続首位(富士キメラ総研調べ)を達成している。14年6月には世界経済フォーラムが主催したジャパン・ミーティング2014に「V-CUBE」が利用された。また10月14日には、日経BP社の「第9回クラウドランキング」でV-CUBEミーティング、V-CUBEセミナー、V-CUBEドキュメントの3つのサービスが汎用情報系SaaS部門のベストサービスに選出されたと発表している。8回目の受賞となる。
スマートデバイスの急速な普及に伴って、ビジュアルコミュニケーション市場はオンラインミーティングやオンラインセミナーなど国内外で拡大基調が予想され、中期成長戦略として国内シェア拡大と潜在市場開拓、アジアナンバーワンを目指した海外展開、B2B2C型プラットフォームモデルの展開を推進している。海外は米国、マレーシア、タイ、シンガポール、インドネシア、香港、中国に展開し、14年3月には韓国でもサービス展開を開始した。
国内シェア拡大と潜在市場開拓に向けて、M&AやOEMの活用、業界特化ソリューション提供の拡大も推進する。14年3月にエムスリー <2413> と合弁でエムキューブを設立した。医療従事者や製薬企業などメディカルヘルスケア分野の業界特化ソリューションを強化する。
14年5月には、パイオニア <6773> の子会社でオンプレミス型Web会議システム国内トップシェアのパイオニアソリューションズ(現パイオニアVC)の株式51%を取得して子会社化した。同社が強みを持つ電子黒板システムを中心とする文教分野では、教育のIT化に向けた環境整備4ヵ年計画で市場拡大が予想されるため、業界特化ソリューションを強化する。同社の協働学習支援システムは、14年春から佐賀県のすべての県立高校で導入する「1人1台の学習者用パソコン」に採用されている。
B2B2C型プラットフォームモデルでは14年3月、受講者に対して有料オンライン講座や有料オンラインセミナーなどを課金ライブ配信できるマーケットプレイス「V-CUBE MARKET」の提供を開始した。小中高校生向け個別学習塾などへの展開も期待される。
また14年6月には大日本印刷 <7912> と提携してデジタルサイネージやWeb会議システムなどを連携した業務効率化支援サービスを提供すると発表し、7月にはビットアイル <3811> とWeb会議などのビジュアルコミュニケーションサービス領域において協業した。10月には、子会社パイオニアVCが提供してきたビジュアルコラボレーションサービス群を「xSync(バイシンク)」ブランドに統一した。
なお10月14日には、子会社パイオニアVC、大日本印刷、日本ユニシス <8056> の3社が災害危機管理ソリューションで協業し、各社のソリューションを連携した「緊急対応システム」の提供を開始すると発表した。地方公共団体、公共施設、商業施設などへの販売で、今後5年間に30億円の売上を見込んでいる。
今期(14年12月期)の連結業績見通し(パイオニアVCの連結子会社化に伴って3月24日に売上高を増額修正)は、売上高が前期比86.3%増の47億05百万円、営業利益が同90.6%増の5億27百万円、経常利益が同2.0倍の5億34百万円、純利益が同40.1%増の3億22百万円としている。国内需要が伸長し、パイオニアVCの新規連結(5月~12月の8ヵ月分)や中国での大型案件も寄与する。
地域別売上高の計画は、国内が同78.3%増の40億75百万円(クラウド型が同28.7%増の25億01百万円、オンプレミス型が同2.0倍の4億95百万円、アプライアンス型が8億42百万円、その他が同2.4倍の2億37百万円)としている。オンプレミス型とアプライアンス型(小中学校向け電子黒板)はパイオニアVCの新規連結が寄与する。そして海外は中国が同3.2倍の4億62百万円、中国以外が同78.7%増の1億68百万円としている。
第2四半期累計(1月~6月)は前年同期比54.9%増収、同3.3倍営業増益、同99.5%経常増益、同20.8%最終減益だった。純利益は特別損失に自己新株予約権評価損を計上したため減益だったが、クラウド型サービスの伸長やパイオニアVCの新規連結(5月~6月の2ヵ月分)で大幅増収となり、人件費や支払手数料の増加などを吸収して営業利益と経常利益は大幅増益だった。
通期見通しに対する第2四半期累計の進捗率は売上高が36.8%、営業利益が20.3%、経常利益が15.5%、純利益が9.6%と低水準だが、パイオニアVCが下期にフル連結となることや、ストック型の収益構造であることを考慮すればネガティブ要因とはならない。需要は高水準であり通期ベースでも好業績が期待される。そして今期業績見通しにはパイオニアVCの利益を織り込んでいないため上振れ余地があるだろう。
中期的な経営目標値としては売上高100億円、経常利益35億円の早期達成を掲げている。ビジュアルコミュニケーションサービスの市場は拡大基調であり、システム競争力の高さ、規模の優位性、積極的な事業展開などで中期成長期待が高まる。
株価の動きを見ると、9月5日直近安値3180円から9月12日4290円まで急反発したが、6月の戻り高値4530円に届かず反落した。さらに全般地合い悪化も影響して10月14日には3210円まで調整する場面があった。ただし終値では前日比115円高の3430円まで切り返している。9月の直近安値に接近して調整が一巡したようだ。
10月14日の終値3430円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS70円57銭で算出)は49倍近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS830円93銭で算出)は4.1倍近辺である。週足チャートで見ると再び26週移動平均線を割り込んで調整局面だが、9月の直近安値を割り込まずに切り返しの動きを強めている。下値支持線を形成した可能性があり、中期成長力を評価して反発局面だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
Web会議のブイキューブ<3681>(東マ)の株価は、9月5日の直近安値3180円から9月12日の4290円まで急反発したが、6月の戻り高値4530円に届かず反落した。
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2014-10-15 09:15