日本に居住する外国人への課税事情

日本経営管理教育協会が見る中国 第328回--下崎寛(日本経営管理教育協会会員) ● 外国人への課税は   最近、私の税理士事務所において、外国人の所得申告調査が増えてきている。   日本の税務署では、近年、国際課税を強化している。さらに、平成21年4月1日以後になされる国内外の送金については、100万円を超えるものについては、金融機関は支払調書を作成して税務署に報告義務があるので、国内外の資金移動は税務署で容易に捕捉できるようになっている。   日本に居住する外国人について、日本において得られた所得については日本で申告義務があることは知っていると思うが、外国人のうち、日本の国籍を有しておらず、かつ、過去10年以内において日本国内に住所を有していた期間が5年を超える外国人は、海外で得た所得にも課税されることとなっている。   すなわち、日本以外で得た海外での商売による事業所得、海外不動産の賃貸における不動産所得、海外での株式・不動産の譲渡益、海外金融資産の利子所得、海外株式の配当所得については、海外でも課税されるが、日本でもう一度申告し納税する義務があることは知っているであろうか。 ● 日本居住の外国人の国外財産を調査   また、平成24年度の税制改正において国外財産調書制度が創設され、平成25年から、前述した5年以上居住している一定の外国人も対象となっており、その年の12月31日において、その保有する国外財産の合計額が5千万円を超える場合は、その財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載した国外財産調書を、その年の翌年の3月15日までに確定申告とともに提出しなければならないとされた。なお、国外財産調書を正当な理由がなく提出期限内に提出しなかった場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金に処されることに注意を要する。 ● 外国人の所得も日本人と同様に一元管理へ   さらに、外国人においては、平成24年7月から在留カードで入国管理局が外国人の履歴を一元管理できるようになっている。また、平成27年10月には、マイナンバー制度が始まり、平成28年から日本国内にいる外国人の所得も一元管理されることとなっている。このことから、日本に居住している外国人においては、今まで税金についてはアバウトに処理をしていた場合が多いと思うが、今後課税強化され痛い目に合うこととなるので、税理士等に相談をして、適正な対応をすべきである。(執筆者:下崎寛・日本経営管理教育協会会員 編集担当:水野陽子)                   
最近、私の税理士事務所において、外国人の所得申告調査が増えてきている。日本の税務署では、近年、国際課税を強化している。さらに、平成21年4月1日以後になされる国内外の送金については、100万円を超えるものについては、金融機関は支払調書を作成して税務署に報告義務があるので、国内外の資金移動は税務署で容易に捕捉できるようになっている。
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2014-10-15 11:15