【為替本日の注目点】株安円買いでドル円急落も短期的には「底値」か

 NY市場  ドル円は急落し、一時105円20銭を記録。朝方発表の小売売上高などの経済指標が予想を下回ったことで、NY株が急落し円買いが加速。その後は株式市場が下げ幅を縮小し、長期金利も反発したことから、105円台後半まで値を戻して引ける。ユーロドルも反発。上値のメドであった1.27台後半を抜け、1.2887までユーロ高が進行。   株式市場は大幅下落。小売売上高やNY連銀指数などが予想を下回ったことに加え、欧州株が大幅に下落したことからダウは取引開始直後から売られ、一時460ドルを超える下落。午後は落ち着きを取り戻したものの、ダウは173ドル安と5日続落。債券相場は続伸。株安とリスク回避から安全資産の債券が買われた。長期金利は一時2%を割り込んだが、引けは2.12%で取引を終える。金は続伸し、原油価格は3日続落。   10月NY連銀製造業景況指数 → 6.17   9月小売売上高        → -0.3%   9月生産者物価指数      → -0.1%   ドル/円 105.20~ 107.02  ユーロ/ドル 1.2665 ~ 1.2887  ユーロ/円 135.13 ~ 136.04  NYダウ -173.45 → 16,141.74ドル  GOLD +10.50   → 1,244.80ドル  WTI -0.06     → 81.78ドル  米10年国債 -0.069   → 2.128%  本日の注目イベント  欧   ユーロ圏8月貿易収支   欧   ユーロ圏10月消費者物価指数(改定値)   米   新規失業保険申請件数   米   10月フィラデルフィア連銀景況指数   米   9月鉱工業生産   米   10月NAHB住宅市場指数   米   プロッサー・フィラデルフィア連銀総裁講演   米   ロックハート・アトランタ連銀総裁講演   米   コチャラコタ・ミネアポリス連銀総裁講演   米   ブラード・セントルイス連銀総裁講演   米   決算発表 → ゴールドマン・サックス、グーグル   欧州を中心に世界景気が低迷し、それが米国にとってもリスクだと、IMFやFOMCで指摘されてきました。昨日朝方発表された米国経済指標が、市場予想を下回ったことをきっかけに株価が急落し、リスクオフがさらに拡大したことからドル円も急落し、一時105円20銭までドル安が進みました。  予想外の展開でした。昨日の東京時間は株式市場も上下を繰り返しながらも前日比プラス137円高で引け、ドル円は終始107円台でした。欧州市場が参入した時も、ドル円は107円台半ばまで上昇し、短期的な動きを示す「1時間足」では雲を上抜けする勢いでしたが、その後欧州株の下落と、NYではさらにリスクオフが進み、パニック的なドル売りで105円台前半までドル安円高が加速しました。  昨日発表された小売売上高やNY連銀製造業景況指数は、雇用統計などと比べ注目度は低い経済指標でしたが、それでも上記のような反応をみせたことは、先週から続いている投資家心理が極端にリスクを回避する姿勢を強めていたことが一因ではないかと思います。NYダウはそれまでに670ドル以上も下げ、ユーロ圏の景気を牽引してきたドイツの景気悪化に加え、エボラ出血熱への懸念も拡大していたことが投資家をリスク回避へと導いたわけです。  ドル円は昨日の下落で、8月からの上昇幅の半値を割り込んできました。引け値では半値を上回っており、さらに今年の1月のドルの高値である105円45銭も引け値ベースでは上回っています。今年1月の105円45銭は長い間レジスタンスとして機能していましたが、8月にその水準を大きく上抜けしたわけですから、今度はドルの下落時には「サポート」として機能するのが一般的です。その意味では、105円台前半から半ばにかけての水準を引け値ベースで割り込むかどうかは、この後のトレンドを観る上でも重要なレベルかと思います。  今回の米経済指標の悪化で、来年半ばと見られている米FF金利の利上げが遅れるかどうかは、まだ読めません。個人的には今回の2つの経済指標の下振れは「一時的なもの」と見ていますが、今後は世界経済の成長鈍化から、米経済も徐々にその影響を受けるかもしれないため慎重に見極める必要はあります。原油価格の大幅下落は「クルマ社会」の米国景気にとっては、かなりのプラス要因になるはずです。  ドル円は「日足」チャートでは「長い下ひげ」をつけて反発しています。この「下ひげ」はこの1年で最も長いことから、短期的には「底値」をつけた可能性が高いと思われます。今日も日経平均株価の大幅下落は避けられないところですが、それでも東京時間で105円を割り込む展開は考えにくいと思います。従って相場の方向性を決定付ける、今夜のNY株式市場の行方が改めて重要になってきます。予想レンジは105円30銭~106円80銭程度とボラティリティーの高い展開かと思います。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
ドル円は急落し、一時105円20銭を記録。朝方発表の小売売上高などの経済指標が予想を下回ったことで、NY株が急落し円買いが加速。その後は株式市場が下げ幅を縮小し、長期金利も反発したことから、105円台後半まで値を戻して引ける。ユーロドルも反発。上値のメドであった1.27台後半を抜け、1.2887までユーロ高が進行。
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2014-10-16 09:45