TACは売られ過ぎ感を強めて反発のタイミング、収益改善基調を評価
「資格の学校」を運営するTAC <4319> の株価は、9月24日の286円から反落し、10月16日には233円まで調整する場面があった。全般地合い悪化が影響したようだ。ただし5月安値230円に接近して調整のほぼ最終局面だろう。収益改善基調であり、売られ過ぎ感を強めて反発のタイミングのようだ。なお10月31日に第2四半期累計(4月~9月)の業績発表を予定している。
財務・会計分野(簿記検定・公認会計士など)、経営・税務分野(税理士・中小企業診断士など)、金融・不動産分野(宅建・不動産鑑定士・FPなど)、法律分野(司法試験・司法書士など)、公務員・労務分野(社会保険労務士・国家総合職など)といった幅広い分野で「資格の学校」を運営し、法人研修事業、出版事業、人材事業も展開している。
13年12月に増進会出版社(子会社のZ会が通信教育事業などを展開)と資本業務提携し、当社の教室運営ノウハウや資格系コンテンツ開発力と増進会出版社の通信教育ノウハウや教養系コンテンツ開発力を融合させてソリューション提供を目指している。そして14年8月、ヒロエキスプレス(当社代表取締役社長の斎藤博明が全株保有)が保有する当社株式のうち92万5200株を増進会出版社に売却した。これにより第1位株主ヒロエキスプレスの保有比率が35.05%から30.04%に低下し、増進会出版社の保有比率が5.00%から10.00%に上昇して第2位株主となった。増進会出版社との資本関係を強めて業務提携の成果を早期に実現させる方針だ。
14年6月には、神戸市などでレセプト点検・整理業務を中心に医療機関事務分野の人材サービスを展開するクボ医療(兵庫県加古郡)と、医療事務に関する労働者派遣事業・レセプト作成請負業務を展開する医療事務スタッフ関西(兵庫県神戸市)を子会社化した。両社の持つノウハウを活用して医療系の資格取得分野への進出、医療事務関連の人材サービス事業の全国展開を目指す方針だ。
9月29日には、出版事業部門のTAC出版がベストセラーコミック「銀のアンカー」とコラボレーションして、国民的ベストセラー「ドラゴン桜」の三田紀房氏監修の「今までなかった就活本」を4冊同時に創刊したと発表している。
なお当社の四半期業績は資格講座の本試験実施・合格発表の時期との関係で季節変動の特徴がある。公認会計士・税理士講座は第2四半期(7月~9月)と第3四半期(10月~12月)が翌年受験のための申込時期となるため、第2四半期と第3四半期は現金売上および売掛金計上が増加する。しかし受講期間に応じて前受金に振り替えられる一方で、経費は毎四半期一定額が計上されるため売上総利益率が低下する。そして第4四半期(1月~3月)と第1四半期(4月~6月)は、前受金が各月の売上高に振り替えられるため売上総利益率が上昇する傾向が強い。
今期(15年3月期)の連結業績見通しは前回予想(5月15日公表)を据え置いて売上高が前期比1.1%減の203億円、営業利益が同1.5%増の10億50百万円、経常利益が同16.9%減の10億80百万円、純利益が同24.7%減の6億15百万円、配当予想が前期と同額の年間1円(期末一括)としている。
消費増税前駆け込み申込の反動で減収となり、事業構造改革効果の一巡などで営業利益は微増益にとどまり、投資有価証券運用益の一巡などで経常利益と純利益は減益見通しとしている。第1四半期(4月~6月)は消費増税前駆け込み申込の反動で前年同期比4.2%減収、22.3%営業減益、29.5%経常減益、30.9%最終減益で、第2四半期累計(4月~9月)見通しに対する進捗率は売上高51.2%、営業利益60.5%、経常利益58.8%、純利益63.9%だった。四半期変動要因の影響を考慮すれば概ね順調な水準だろう。
今期の重点的な取り組みとしては、新講座の開発(教員試験対策講座の本格開講、建築士講座の拡大)、増進会出版社との共同事業の推進、新規ビジネスの連結子会社オンラインスクールによる新たな資格学習者層の開拓・囲い込み、持分法適用関連会社プロフェッションネットワークによる実務家向けビジネスの拡大、そしてコスト削減への継続的取り組みを推進する方針だ。
来期(16年3月期)は、増進会出版社との業務提携効果の本格寄与も期待され、収益は改善基調だろう。9月9日に発表した本社ビル取得によって2億円程度の家賃削減効果が見込まれることもプラス要因だ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
「資格の学校」を運営するTAC<4319>(東1)の株価は、9月24日の286円から反落し、10月16日には233円まで調整する場面があった。
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2014-10-17 07:30