日本マニュファクチャリングサービスは地合い悪化でも比較的堅調な動き、収益改善基調を評価

  製造請負大手の日本マニュファクチャリングサービス <2162> (JQS)の株価は、急伸した9月5日の戻り高値492円から反落して380円~420円近辺でモミ合う展開だ。ただし全般地合い悪化の状況でも8月の直近安値360円まで下押す動きは見られない。収益改善基調を評価して比較的堅調な動きと言えそうだ。なお11月14日に第2四半期累計(4月~9月)の業績発表を予定している。   製造請負・派遣のIS(インラインソリューション)事業、修理・検査受託のCS(カスタマーサービス)事業、技術者派遣のGE(グローバルエンジニアリング)事業、子会社の志摩グループとTKRグループが展開する開発・製造受託のEMS(エレクトロニクス・マニュファクチャリング・サービス)事業を展開している。なお今期(15年3月期)からIS事業、CS事業、GE事業を総称してHS(ヒューマンソリューション)事業とした。   基本コンセプトとして、日本、中国、アセアン諸国における人材ビジネス事業とEMS事業の融合によるトータルソリューションサービス「neo EMS」を掲げている。製造アウトソーシング企業NO.1を目指す戦略に大きな変化はないが、サービスの一段の高付加価値化に向けて開発・設計といった製造業の上流プロセス分野の機能を強化している。単なる製造アウトソーサーから、キーテクノロジーを有して技術競争力を備えた企業グループへの変革を推進する戦略だ。   13年10月にはTKRが日立メディアエレクトロニクス(日立ME)の電源事業、トランス事業、車載チューナー事業、映像ボード事業を譲り受け、水沢工場(岩手県奥州市)を取得した。そして14年10月にはパナソニック <6752> の車載向け除く電源・電源関連部品事業(高圧電源、低圧電源、マグネットロール、トランス)を譲り受けて、受け皿会社のパワーサプライテクノロジー(PST)にて新たに操業を開始した。   日立MEおよびパナソニックからの事業譲受により、当社グループの電源事業は国内電源メーカー上位に匹敵する規模となる。電源に関する技術ノウハウの蓄積・融合を図り、電源関連事業を当社グループのキーテクノロジー分野として、LED照明、空気清浄器、エアコン、複写機向けなどに新規顧客開拓を推進し、EMS事業の高付加価値化も推進する方針だ。また14年9月には子会社TKRが検査工程の自動化・省力化装置のカスタマイズ受託生産を本格的に開始した。   中国での事業展開に関しては、14年3月施行「中国労務派遣暫定規定」により中国の労働政策が派遣から請負に転換する見込みとなった。そして中国労務派遣専門委員会で製造請負(承欖)をルール化するためのプロジェクトが発足し、当社および子会社の北京中基衆合国際技術服務有限公司がプロジェクトに参画した。このため中国の製造業においては今後、製造請負の市場拡大が予想され、プロジェクトに参画している当社の競争優位性が確立できる見込みとなっている。   アジアでは14年9月にタイ現地法人を設立し、カンボジアの人材エージェントと連携して、製造業向けにタイ人とカンボジア人の派遣を開始すると発表した。   10月14日には日本通運 <9062> と、国内外の製造業務と物流業務を組み合わせた新たなサービスの構築に向けて業務提携契約を締結したと発表している。国内外で製造・検査・修理といった製造に関わる業務とロジスティクスをパッケージで提供し、製造業のアセットライト(資産の軽量化)戦略を支援するとともに、サプライチェーンの最適化を実現するとしている。   今期(15年3月期)の連結業績見通しは前回予想(5月15日公表)を据え置いて売上高が前期比16.5%増の488億円、営業利益が4億90百万円の黒字化(前期は6億43百万円の赤字)、経常利益が5億10百万円の黒字化(同1億75百万円の赤字)、そして純利益が負ののれん発生益一巡で同50.7%減の3億20百万円で、配当予想が前期と同額の年間3円(期末一括)としている。   第1四半期(4月~6月)はEMS事業の利益率改善などで営業利益、経常利益、純利益とも黒字化した。通期ベースでもHS事業は国内での採用強化、海外でのメーカーからの人材転籍などで在籍数が増加し、EMS事業は中国における日系メーカーの生産減少や人件費上昇といった一過性要因が解消し、オペレーション改善、日立MEから譲り受けた案件の本格稼働、海外増産などが寄与する。   なおパナソニックから譲り受けた電源・電源関連部品事業をパワーサプライ事業(PS事業)とする。今期の業績見通しに対する影響については明らかになり次第別途公表するとしている。通期見通し上振れ余地があるだろう。さらに来期(16年3月期)はPS事業が本格寄与して収益改善基調だろう。   株価の動き(14年1月1日付で株式100分割)を見ると、9月5日の戻り高値492円から反落して380円~420円近辺でモミ合う展開だ。ただし9月末以降の全般地合い悪化の状況でも、380円台を割り込んで8月の直近安値360円まで下押す動きは見られない。収益改善基調を評価して比較的堅調な動きと言えそうだ。   10月17日の終値380円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS31円30銭で算出)は12倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間3円で算出)は0.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS451円79銭で算出)は0.8倍近辺である。週足チャートで見ると26週移動平均線が上値を押さえているが380円近辺が下値支持線の形だ。収益改善基調を評価して動意のタイミングだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
製造請負大手の日本マニュファクチャリングサービス<2162>(JQS)の株価は、急伸した9月5日の戻り高値492円から反落して380円~420円近辺でモミ合う展開だ。
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2014-10-20 11:15