建国65周年の国慶節に思う・・・中国人旅行者に伝えたい日本の「モノ」と「コト」

日本経営管理教育協会が見る中国 第329回--大森啓司(日本経営管理教育協会会員)
● 建国65周年を迎えた中華人民共和国
中国は2014年10月1日で建国65周年を迎えた。かつての勢いある成長力は影を潜めたかもしれないが、世界第2位の経済大国になった今も7%の経済成長率を維持している。中間層の購買力が増した人口13億の市場は、世界における存在感は益々強まるばかりで、日本企業も新たな市場開拓にさまざまな対応を求められている。
● 国慶節で狙え!中国人の富裕層
日本政府観光局の発表によると、反日感情も薄れ、2014年8月の時点で既に昨年の訪日客数を上回ったようである。月別でみると前年比2倍という月もあるので驚きである。
中国国内では依然倹約令が出ており、高額商品は買いにくい雰囲気があるのだろうか。例年にも増して、一歩海外へ出ると財布の紐が一気に緩んでしまうようである。
加えて国慶節の大型連休を迎え、日本各地の観光地はどこも中国人や台湾人観光客を取り込もうとする動きが非常に活発化している。なんといっても旅行好きの中国人、この1週間の連休に56%の家族が旅行に出かけるという政府系観光局の情報もある。LCCを含めたローカル空港はその恩恵で潤っており、大忙しである。右上の写真の岩手花巻空港ではチャーター便が飛ぶなど、ローカル空港の日頃の静けさが一変してしまっている。
また、日本でのショッピングの魅力向上のため、この2014年10月から規制緩和で免税品の対象品目を広げたこともあり、外国人旅行客の購買意欲が高まった。これは消費税後の回復にもたつく日本の消費を下支えしてくれるフォローの風である。
● 日本式文化が浸透していく中国
日本政府が沖縄尖閣諸島を国有化にしたのをきっかけに、訪日客は激減した。しかし昨年からは回復に転じ、日本経済に大きく貢献してくれていることは間違いない。
反日感情が根強く残る中、日本企業は日本文化を外国人観光客にお土産として持って帰ってもらおうと努力する。例えば、「食の安全・安心」という点でまだまだ不安のある中国では、セブンイレブンが北京・天津に直営店を出店、昼食時には日本と同様、お弁当が大きな収益源になっている。
日本にいればどこにでもある名前通りの便利なコンビニ、商品の購入のみならず、「便利さ」を中国国内にも口コミで広げてもらうために、各企業は知恵を絞っている。
日本企業としては「モノ」だけではなく「コト」も伝授していきたい意気込みである。日本がこれからどこまで中国に依存しなければいけないのか、かつては米国に次ぐ経済大国と評された日本を知っているだけに、日本人としての一抹の寂しさは禁じえないが、日本文化が中国で広がり、両国が共存共栄の道を切り開いていくことを願うばかりである。(執筆者:大森啓司・日本経営管理教育協会会員 編集担当:水野陽子)
中国は2014年10月1日で65周年を迎えた。かつての勢いある成長力は影を潜めたかもしれないが、世界第2位の経済大国になった今も7%の経済成長率を維持している。中間層の購買力が増した人口13億の市場は、世界における存在感は益々強まるばかりで、日本企業も新たな市場開拓にさまざまな対応を求められている。
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2014-10-22 01:45