賃金の急騰に苦しむ中国の外資企業、競争力維持は可能か(2)

  廉価な労働力で優位性を維持してきた中国製品が、徐々に劣勢に立たされるようになっている。中国の外資企業が賃金の急騰に苦しんでおり、労働コストのさらに低い東南アジア諸国への工場移転を検討する企業が少なくない。フランスの投資銀行が最近発表した研究報告書は、4年後に中国の労働コストはアメリカ並みになり、5年後にユーロ圏諸国と同水準に、7年後は日本並みになると予測している。中国網日本語版(チャイナネット)が報じた。   徐洪才氏は、以下の理由から中国の末端労働者のコストが短期内に上昇することはあり得ないとしている。第一に、指標から見てアメリカの製造業労働者の平均賃金は中国の数倍にも上る。中国では、短期間でそこまで上昇することはあり得ない。第二に、供給面で見ると中国の農村部にはまだまだ豊富な労働力が存在している。最後に、多国籍企業が工場を移転させるには非常に多くの費用がかかるため、実行は容易でない。   「中国の労働者の賃金は現在、ベトナムやラオスと比べれば高い。しかしアジア四小龍(香港、シンガポール、台湾、韓国)やブラジルと比較すれば安いわけで、そこには比較優位性がある」と張茉楠氏は述べた。   さらに同氏は、中国の労働力コストの上昇速度はまだまだ緩やかだと指摘する。長年にわたって行われてきた中国の収入分配制度改革の歩みは速いとは言えない。中国の製造業に従事する労働者の賃金は、先進国と比べてまだまだ安い。そのため、数年内に中国の労働コストが欧米先進国と並ぶという見方は誇張だと指摘した。   ■労働者の質を上げることで成長を   張茉楠氏は、従来の廉価な労働コストによる高度成長は限界に来ているとの見方も示している。労働生産性を上げ、労働者の質を上げることが当面の急務であり、人口ボーナスの時代から労働者の質的向上を目指す時代へ転換していくことが、今後中国が歩むべき道であるとの見方を示した。(終)(編集担当:米原裕子)
廉価な労働力で優位性を維持してきた中国製品が、徐々に劣勢に立たされるようになっている。中国の外資企業が賃金の急騰に苦しんでおり、労働コストのさらに低い東南アジア諸国への工場移転を検討する企業が少なくない。フランスの投資銀行が最近発表した研究報告書は、
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2013-12-12 14:15