モーニングスター、14年度上半期に増収増益で通期での最高益更新に自信

モーニングスター <4765> は2014年10月22日、2015年3月期上半期決算を発表した。連結売上高は19億30百万円(前年同期比1.5%増)、営業利益は5億52百万円(同11.0%増)、経常利益は5億63百万円(同4.0%増)になり、半期ベースで営業・経常利益ともに過去最高を更新した。決算説明会で同社代表取締役社長の朝倉智也氏は、「前年上半期がアベノミクスを好感した株価上昇など市場環境が大変良い時期だっただけに、今上半期で前年同期を上回ることは高いハードルだった。ファンドデータ提供やSBIアセットマネジメントの運用受託報酬など、市況に関わらず安定収益につながる事業が伸びているため、今下期は前下期比較では増収増益が可能だと考える」と語り、通期でも最高益を更新するという見通しに自信を示した。(写真は2014年度上半期決算内容を説明するモーニングスター代表取締役社長の朝倉智也氏)
主要なサービスの売上高では、「ウェブ広告(モーニングスター)」(前年同期比3.2%増)、「新聞購読料(株式新聞)」(同1.7%増)が微増収にとどまり、半面で「資産運用セミナー」(同26.9%減)、「WEBコンサルティング」(同23.2%減)、「ウェブ広告(SBIサーチナ)」(同29.0%減)が減収要因となった。しかし、「ファンドデータ」(同18.9%増)、「運用受託報酬(SBIアセットマネジメント)」(同29.9%増)などが伸びて下支えした。
連結営業利益では、モーニングター単体が4億3百万円(前年同期比13.8%増)、SBIアセットマネジメントが1億6百万円(同51.4%増)と好調を持続し、旧SBIサーチナの47百万円(同42.7%減)を補って、2ケタ増益を確保した。100%子会社だった旧SBIサーチナは、9月1日付で吸収合併した。
上半期を振り返って朝倉氏は、「もっとも注力しているタブレットアプリを通じたファンドデータ提供が順調に伸びている」と語り、市況変動の影響を受けない事業が成長していることを強調した。金融機関向けのタブレット端末の導入台数は14年9月末で44社1万3090台に達し、13年9月末が約30社8000台だったことと比較して約50%増になっている。「金融機関の窓口等ではタブレット端末を用いた投信販売が定着し、タブレット導入の費用対効果も明らか。今後、爆発的にタブレット端末の導入が進む可能性がある。1年後にはタブレット導入台数が3万台を超えることも期待できる」と語っている。
さらに、今後の事業見通しとして、「公的人金の不安が“貯蓄”から“投資”を加速させる局面を迎えた。確定拠出年金の拡大、NISA口座の拡大、子どもNISAの導入など、家計の投資を促す環境が整いつつある。子どもNISAが導入されると、祖父母や父母から子ども(孫)への資産移転に弾みがついていくだろう」と、投資信託などの投資商品が大きく拡大する見通しがあるとする。
そして、「これまでの資産運用では、株式や債券などにどのように資産を分散するかというアセット・アロケーションが重視されてきたが、これからは、一般口座、NISA口座、確定拠出年金口座という異なる口座に、どの資産を組み入れることが最適かということが問われる“アセット・ロケーション”へのアドバイスが重要視されるようになるだろう。その際のアドバイスツールにはタブレット端末が最適で、今後、金融機関でタブレット端末の活用は一段と活発になるだろう」と見通していた。
なお、今下期の見通しについて朝倉氏は、「2014年内にNISA口座の開設は約815万口座が見込まれ、1人当たりの平均投資額は約65万円という見込みになっている。せっかくNISAには100万円の枠があるのに、その使い残しはもったいないということで、年末に向けてNISA枠を使い切りましょうというキャンペーンが始まっている。この動きが資産運用セミナーの受注につながってきているので、下期の事業環境は昨年よりも良い」と語り、通期での増収増益に自信を示した。(取材・編集担当:徳永浩)
モーニングスターは2014年10月22日、2015年3月期上半期決算を発表した。半期ベースで営業・経常利益ともに過去最高を更新した。(写真は2014年度上半期決算内容を説明するモーニングスター代表取締役社長の朝倉智也氏)
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2014-10-22 18:30