アスラポート・ダイニングは9月末の株主優待権利落ちで反落したが下値は限定的、8月高値試す

  外食FC事業や食品製造販売事業を展開するアスラポート・ダイニング <3069> (JQS)の株価は、9月末の株主優待権利落ちで反落し、その後は290円近辺でモミ合う展開だが、4月~5月安値圏250円近辺まで下押す動きは見られない。下値は限定的であり全般地合い悪化の状況下でも堅調な動きだ。今期(15年3月期)業績再増額の可能性や中期成長力を評価して8月の年初来高値319円を試す展開だろう。なお11月13日に第2四半期累計(4月~9月)の業績発表を予定している。   07年1月プライム・リンクの株式移転で設立した持株会社である。傘下の事業会社に、焼肉店「牛角」エリアFC本部運営や釜飯と串焼が特徴の居酒屋「とりでん」FC総本部運営などのプライム・リンク、鶏料理専門居酒屋「とり鉄」FC総本部運営などのとり鉄、たこ焼き事業や洋菓子「GOKOKU」事業(13年12月事業譲受)のフードスタンドインターナショナル、業務用乳製品加工メーカーの弘乳舎(13年9月子会社化)を置いている。   14年6月末時点の店舗数は、焼肉「牛角」171店舗(直営6店舗、FC165店舗)、居酒屋「とりでん」69店舗(直営4店舗、FC65店舗)、居酒屋「おだいどこ」20店舗(直営7店舗、FC13店舗)、居酒屋「とり鉄」61店舗(直営11店舗、FC50店舗)など総合計344店舗(直営44店舗、FC300店舗)である。焼肉「牛角」のエリアは東北、北関東、北陸、東海、近畿、九州(大分・熊本を除く)、沖縄の27府県である。   FCによる外食ブランド展開、持株会社制による効率的運営とポートフォリオ管理、六次産業への展開を促す事業基盤がビジネスモデルの特徴である。中期成長戦略としては、既存ブランドの競争力強化と成長、ブランド・ポートフォリオの多様化、海外市場への進出、食品生産事業と六次産業化への取り組みを推進している。従来の外食FC運営の枠にとどまらず、4つの重点戦略を連動させて生産から流通・飲食・小売までを包括し、多層的に協業することでシナジー効果を発揮する「食のバリューチェーン構築」を加速させる方針だ。   中期経営計画(15年3月期~17年3月期)では目標数値として17年3月期売上高112億71百万円、営業利益7億89百万円、売上高営業利益率7.0%、ROE20.0%、D/Eレシオ1.2倍を掲げている。17年3月期末のグループ合計店舗数は440店舗(うち焼肉「牛角」210店舗)の目標だ。   既存ブランドの競争力強化と成長では、関西エリアにおける焼肉「牛角」の都市型大型店舗の成功事例をベースとして、大型店舗を中心とした積極出店を推進する。ブランド・ポートフォリオの多様化では他社ブランド業態をFCパッケージに育成する戦略を推進する。取り組み中のブランドにはミルフィーユ状のとんかつが特徴のレストラン「キムカツ」などがあり、昼業態を中心にFC出店を加速する。さらに新たな業態とのアライアンスを推進する方針だ。   14年9月には、当社の実質的親会社である阪神酒販の子会社で、焼鳥居酒屋「ぢどり亭」「浪花屋鳥造」を関西中心に展開しているレゾナンスダイニングの株式を取得して完全子会社化した。ブランド・ポートフォリオの多様化戦略に沿って関東での出店を強化する。   また9月30日には、英国の3社(水産物加工卸売のT&S社、食材輸出入のS.K.Y.社、寿司店および水産物小売店運営のAtari-Ya社)の株式を取得して持分法適用会社化すると発表した。欧米における日本食ブームも追い風であり、14年4月に設立したアスラポート・フランスとともに欧州市場への進出を加速する戦略だ。   今期(15年3月期)の連結業績見通しについては、レゾナンスダイニング子会社化に伴って9月19日に売上高、利益とも増額修正した。前回予想(5月12日公表)に対して売上高は6億円増額して前期比17.4%増の110億26百万円、営業利益は22百万円増額して同23.9%増の6億96百万円、経常利益は22百万円増額して同35.4%増の6億23百万円、純利益は13百万円増額して同18.3%増の3億55百万円とした。なお英国の3社を持分法適用会社化したことによる影響は現時点では未定としている。   第1四半期(4月~6月)は前年同期比50.5%増収、同2.8倍営業増益、同2.5倍経常増益、同2.7倍最終増益だった。そして進捗率は修正後の通期見通しに対しても売上高が24.3%、営業利益が38.2%、経常利益が40.0%、純利益が58.3%と高水準である。主力の焼肉「牛角」が好調であり、洋菓子「GOKOKU」事業や弘乳舎の連結も寄与した。期初時点では保守的に見ていた弘乳舎の生産量は想定以上に好調のようだ。   ブランド別の月次データ(直営店+FC店、前年比速報値)で既存店売上を見ると、14年9月は「牛角」102.0%、「とりでん」97.8%、「おだいどこ」97.4%、「とり鉄」99.4%で、14年4月~9月累計では「牛角」100.4%、「とりでん」97.7%、「おだいどこ」96.5%、「とり鉄」100.1%となった。   関西都市部への「牛角」大型店舗出店の効果、洋菓子「GOKOKU」事業や弘乳舎の通期寄与、各種キャンペーンやCMの効果、SNSを活用した販促による集客効果、ブランド・ポートフォリオの多様化戦略に沿ったアライアンス事業拡大の効果、居酒屋業態の不採算店閉店や業態転換による収益力改善効果、高級素材を使った期間限定メニューの投入効果などで大幅増収増益の見通しだ。足元の動向から見て通期見通しに再増額の可能性があるだろう。さらにブランド・ポートフォリオの多様化戦略や海外展開の進展で、中期的にも収益拡大基調だろう。   株主優待制度は毎年3月末および9月末時点の500株以上所有株主を対象として実施している。所有株式数500株以上~1000株未満所有株主に対して「お食事券」または「商品」の中から1点(3000円相当)、1000株以上所有株主に対して「お食事券」または「商品」の中から2点(6000円相当)を贈呈する。   株価の動きを見ると、第1四半期の大幅増収増益を好感して8月14日に年初来高値319円まで上伸し、その後も高値圏300円~310円近辺で推移していたが、9月末の株主優待権利落ちで反落した。その後は290円近辺でモミ合う展開だ。ただし4月~5月の安値圏250円近辺まで下押す動きは見られない。下値は限定的であり、全般地合い悪化の状況下でも堅調な動きと言えるだろう。   10月22日の終値290円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS19円13銭で算出)は15倍近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS94円64銭で算出)は3.1倍近辺である。週足チャートで見ると13週移動平均線を割り込んだが、26週移動平均線がサポートラインの形だ。今期業績見通し再増額の可能性や中期成長力を評価して、8月高値319円を試す展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
外食FC事業や食品製造販売事業を展開するアスラポート・ダイニング<3069>(JQS)の株価は、9月末の株主優待権利落ちで反落し、その後は290円近辺でモミ合う展開だが、4月~5月安値圏250円近辺まで下押す動きは見られない。
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2014-10-23 09:00