トレックスは過熱感解消し再動意、ウェアラブル端末等テーマ性を評価

  アナログ電源IC専門メーカーのトレックス・セミコンダクター <6616> (JQS)の株価は、10月9日の上場来高値1万700円から10月17日の7280円まで一旦反落したが、22日には9330円まで切り返した。過熱感が解消して再動意の構えのようだ。22日にはLED照明関連製品のサンプル提供開始を発表した。目先的には乱高下の可能性もあるが指標面に割高感はなく、中期成長力やウェアラブル端末・LED関連というテーマ性を評価して上値追いの展開だろう。   95年3月設立で14年4月JASDAQ市場に新規上場した。アナログ電源ICに特化して開発・販売する国内唯一の専業メーカーで、電圧レギュレータ(VR)、DC/DCコンバータ、電圧検出器などを主力製品としている。   小型化と低消費電力化に20年以上の実績を持ち、世界トップクラスの技術力を誇っている。超小型・薄型化と高放熱を両立する独自の超小型パッケージ技術「USP」などをベースとして、顧客の電子機器開発ニーズに対してソリューション提案できる「超小型電源ICに特化したアナログCMOSのプロフェッショナル集団」だ。   生産面では一部製品の後工程だけをベトナム工場で対応し、大半の生産を外部に委託するファブレスメーカーであることも高収益に繋がっている。技術力や収益力の高さに加えて、財務面の健全性の高さも特徴であり、今期(15年3月期)第1四半期(4月~6月)末の自己資本比率は80.1%と高水準である。   中期的な売上成長や一段の高収益化に向けて、注力領域をスマートフォン、デジタルカメラ、パソコン、デジタル家電などの民生用機器分野から、ヘルスケアやGPS関連などのウェアラブル機器分野、カーナビゲーション、モニタカメラ、ETC車載器、パワーウインドウなどの車載機器分野、ロボット、スマートメータ、監視カメラなどの産業機器分野に広げて、新製品開発を強化している。   14年4月には世界的なパワー半導体メーカーである米IXYS社と相互販売提携契約を締結した。米IXYS社の製品は大きな電力を扱う分野で強みを持っているため、電力制御機器や太陽光発電関連など当社の産業機器分野の品揃え拡充に活用する一方で、米IXYS社の販売網を活用して当社製品の拡販に繋げる。   14年8月には遅延機能付き超小型電圧検出器XC6129シリーズの発売を発表した。ウェアラブル機器などに最適な高精度・超低消費電流を実現した新製品だ。また10月22日には、力率改善機能付きLED照明用オフラインコントローラXC9404シリーズの評価用サンプルの提供開始を発表した。50W以下のLED照明に最適な新製品としている。   今期(15年3月期)の連結業績見通しは前回予想(5月13日公表)を据え置いて、売上高が前期比10.7%増の104億円、営業利益が同6.0%増の15億円、経常利益が同12.0%増の15億円、純利益が同18.9%減の11億円としている。配当予想は記念配当20円を含む年間100円(第2四半期末50円、期末50円)で前期比60円増配となる。   第1四半期(4月~6月)は売上高22億87百万円、営業利益2億47百万円、経常利益1億83百万円、純利益1億16百万円だった。人件費の増加や新規上場費用の発生などで前年同期間との比較で減益だったが、売上は好調に推移している。通期ベースではドル高・円安効果も寄与して好業績が期待されるだろう。   中期経営計画では目標値として17年3月期売上高120億円強、営業利益20億円強を掲げている。既存の民生用機器分野は価格競争が激化しているため、需要変動幅が比較的小さく、利益率も比較的高い産業機器分野、車載機器分野、ウェアラブル機器分野を中心とする拡販と高収益化を推進する方針だ。17年3月期の売上構成比の計画は、既存の民生用機器分野37.7%、産業機器分野33.7%、車載機器分野14.0%、その他(ウェアラブル機器分野)14.6%としている。   アナログ電源ICの市場規模は13年が約8700億円と推定され、当社の市場シェアは約1%である。17年に向けて年平均4.70%の成長が予測され、寡占企業が少ないため当社の市場シェア拡大余地は大きい。技術優位性を武器として中期的な市場シェア拡大や一段の高収益化が期待される。   株価の動きを見ると、8月のウェアラブル機器に最適な新製品の発表を好感して動意付き、やや乱高下するする場面もあったが、10月9日の上場来高値1万700円まで急伸した。その後は利益確定売りや全般地合い悪化で10月17日の7280円まで一旦反落したが、10月22日にはストップ高水準の9330円まで切り返した。過熱感が解消して再動意の構えのようだ。   10月22日の終値9330円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS417円20銭で算出)は22~23倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間100円で算出)は1.1%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS3433円14銭で算出)は2.7倍近辺である。   日足チャートで見ると25日移動平均線、週足チャートで見ると13週移動平均線がサポートラインとなって強基調の形だ。目先的には乱高下の可能性もあるが指標面に割高感はなく、中期成長力やウェアラブル端末・LED関連というテーマ性を評価して上値追いの展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
アナログ電源IC専門メーカーのトレックス・セミコンダクター<6616>(JQS)の株価は、10月9日の上場来高値1万700円から10月17日の7280円まで一旦反落したが、22日には9330円まで切り返した。
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2014-10-23 09:15