川崎近海汽船は下値切り上げて短期調整一巡、指標面の割安感も支援材料で6月高値目指す

  川崎近海汽船 <9179> (東2)の株価は、9月下旬の戻り高値347円から全般地合い悪化が影響して10月16日の320円まで調整した。しかし素早く切り返して10月22日には341円まで戻している。8月安値312円を割り込まず下値を切り上げた形だ。指標面の割安感も支援材料であり、短期調整が一巡して6月の高値363円を目指す展開だろう。なお10月31日に第2四半期累計(4月~9月)の業績発表を予定している。   石炭・木材・鋼材輸送などの近海部門と、石炭・石灰石・紙製品・農産品輸送やフェリー輸送などの内航部門、その他事業(北海道地区における不動産賃貸事業など)を展開している。   14年4月に発表した中期経営計画では、目標値として17年3月期売上高490億円(近海部門180億円、内航部門310億円)、営業利益37億50百万円(近海部門4億円の赤字、内航部門41億50百万円の利益)、経常利益37億円、純利益24億円、新造船建造等に対する3年間総額の投資額135億円を掲げている。近海部門では船隊大型化、バルク輸送の船隊整備、内航部門では不定期船輸送の船隊整備などを推進する方針だ。   また中期成長に向けた新規分野として、13年10月オフショア・オペレーションと均等出資で合弁会社オフショア・ジャパンを設立し、日本近海における海洋資源開発・探査・掘削設備、および洋上再生可能エネルギー設備に関わるオフショア支援船業務に進出した。さらにLNG(液化天然ガス)輸送分野への参入も検討している。   今期(15年3月期)の連結業績見通しは前回予想(4月30日公表)を据え置いて、売上高が前期比4.1%増の475億円、営業利益が同5.2%増の21億円、経常利益が同0.4%増の20億円、純利益が同2.4倍の13億円、配当予想が同1円増配の年間10円(第2四半期末5円、期末5円)としている。想定為替レートは1米ドル=105円(前期実績は1米ドル=99円52銭)としている。   第1四半期(4月~6月)は、所有船のドック入りが集中して修繕費が増加したため営業赤字だったが、売上高は前年同期比2.2%増収と堅調だった。通期ベースでも、近海部門では石炭・セメントなどのバルク輸送、内航部門では石灰石・石炭などの専用船輸送やRORO船定期航路が堅調に推移する見通しだ。   コスト面では、船舶量適正化や運航コスト削減の効果に加えて、8月に就航した最新型省エネ船の新造RORO船「北王丸」も寄与する。さらに足元の原油価格下落も追い風となりそうだ。第1四半期に修繕費が増加した影響は一時的で、通期ベースでは営業増益が期待される。純利益については、前期計上した船舶売却損失や保有船舶減損損失といった特別損失の一巡も寄与する。   株価の動きを見ると、9月下旬の戻り高値347円から全般地合い悪化が影響して10月16日の320円まで調整した。しかし素早く切り返して10月22日には341円まで戻している。短期調整が一巡したようだ。   10月23日の終値339円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS44円28銭で算出)は7~8倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間10円で算出)は3.0%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS759円73銭で算出)は0.4倍近辺である。   日足チャートで見ると一旦割り込んだ25日移動平均線を回復した。また週足チャートで見ると26週移動平均線近辺から反発して13週移動平均線を回復した。8月安値312円を割り込まず、下値を切り上げてサポートラインを確認した形だ。10倍割れの低PER、3%近辺の高配当利回り、1倍割れの低PBRなど指標面の割安感も支援材料であり、短期調整が一巡して6月高値363円を目指す展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
川崎近海汽船<9179>(東2)の株価は、9月下旬の戻り高値347円から全般地合い悪化が影響して10月16日の320円まで調整した。
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2014-10-24 09:00