大和総研、中国政府の地方政府債務問題の抜本的処理方針を高評価
大和総研経済調査部シニアエコノミストの齋藤尚登氏は2014年10月24日、「中国:地方政府債務問題に大ナタ」というレポート(全6ページ)を発表した。中国財政部から、地方各レベルの財政部門に送付された文章から、今後の政策の行方を推測したレポートで、「地方政府債務について、『今後は減らすだけで増やさない』との強い姿勢を打ち出していること」を重要な方針として高く評価している。レポートの要旨は以下の通り。
◆中国財政部は、地方政府債務の抜本的かつ包括的な処理方針を固めた。基本方針となる「地方政府債務残高の整理・処理方法」は、既に地方各レベルの財政部門に意見聴取版として送付されており、必要な修正の後に、数カ月以内に正式発表される見込みである。
◆特に、重要な方針は、(1)地方政府債務を分類し、残高を確定した上で、今後は「減らすだけで増やさない」との強い姿勢を打ち出していること、(2)地方政府債務を分類して予算管理に組み入れた上で、債務返済に高い優先順位を付けていること、(3)建設中のプロジェクトのために過渡期を設ける一方、駆け込みを防ぐために2014年9月末までに着工済みのプロジェクトを対象としていること、(4)地方政府融資平台から政府資金調達機能を切り離し、一部地方政府融資平台の処理を進めようとしていること、である。
◆大和総研は、この「地方政府債務残高の整理・処理方法」を、中国が「無駄な投資と借金を増やさず、潜在的な不良債権を増やさない」方針を固めたものとして高く評価している。もちろん、地方政府債務残高を「減らすだけで増やさない」というのは、多分にスローガン的な色彩が濃く、割り引いて考える必要がある。要は、多少は増加しても、効果的に抑制されればよいのである。一方で、こうした厳しい方針が貫徹されれば、景気が大きく下振れするのではないかと懸念する向きもあろうが、それは杞憂となろう。中国の経済政策は、適度な成長、なかでも安定した雇用との兼ね合いで決定され、それが損なわれそうになれば、景気を下支えする政策が打ち出されるからである。(情報提供:大和総研、編集担当:徳永浩)
大和総研経済調査部シニアエコノミストの齋藤尚登氏は2014年10月24日、「中国:地方政府債務問題に大ナタ」というレポート(全6ページ)を発表した。レポートで、「地方政府債務について、『今後は減らすだけで増やさない』との強い姿勢を打ち出していること」を重要な方針として高く評価している。
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2014-10-24 19:30