【為替本日の注目点】円全面安ドル円再び103円台、対ユーロでも約5年振りの水準

  NY市場   「11月の雇用統計」を受け、ドル円は102円台前半から103円を伺う水準まで上昇。雇用者数、失業率も改善しており、NY株式市場が急反発を見せたことで「リスクオン」が加速し、ドルを押し上げる。    ユーロドルも反発し、一時10月末以来の1.37台に乗せる。ユーロ円が5年振りに141円台まで上昇したことも、ユーロドルを支えた。   株式市場は急反発。良好な米景気が確認されたことで、ダウは6日振りに反発し前日比198ドル高の1万6000ドルの大台を回復。    債券相場は雇用統計発表直後に売られたものの、小じっかり。雇用統計は良好だったものの、すぐに「緩和縮小」に結びつくものではないとの見方が優勢。    金は反落。原油価格は小幅に続伸。    11月非農業部門雇用者数 → 20.3万人    11月失業率 → 7.0%    10月個人所得 → -0.1%    10月個人支出 → +0.3%    10月PCEコアデフレーター → +0.7%    12月ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値) → 82,5    ドル/円 102.19 ~102.97   ユーロ/ドル 1.3620 ~ 1.3706   ユーロ/円 139.60 ~ 141.05   NYダウ +198.69 → 16,020.20ドル   GOLD -2.90 → 1,229.00ドル   WTI +0.27 → 97.65ドル   米10年国債 -0.01 → 2.860%   本日の注目イベント   日   10月国際収支    日   第3四半期GDP(二次速報)    日   11月景気ウォッチャー調査    中   中国 11月消費者物価指数    中   中国 11月生産者者物価指数    独   独10月貿易収支    独   独10月鉱工業生産    英   カーニー・BOE総裁講演    米   ラッカー・リッチモンド連銀総裁講演    米   ブラード・セントルイス連銀総裁講演    米   フィッシャー・ダラス連銀総裁講演    加   カナダ11月住宅着工件数    NYダウは1万6100ドル近辺まで連日最高値を更新した後6日続落し、歩調を合わせるようにドル円も103円38銭と、5月以来の高値を記録したあと「調整」が続き、101円台半ばまで円が買い戻されていました。基本的な流れは「ドル上昇局面での一時的な調整」と予想し、流れが再び元に戻るとすれば「11月の雇用統計」がきっかけになると見ていましたが、先週末の指標発表後の動きは正にその通りでした。   「11月の雇用統計」では、非農業部門雇用者数が市場予想の18万3000人に対して20万3000人。失業率は7.2%に対して7.0%と、依然として米労働市場は回復傾向にあることが確認されました。これで雇用者数は2ヵ月連続で、FRBが目標とする20万人を超え、失業率は約5年振りの低水準です。こちらの方はFRBの目標が「6.5%以下」ということなので、まだその差が埋まりませんが、近いうちに「7.0%」の壁は下回ってくると予想されます。このところ注目されている「労働参加率」も前月の62.8%から、63.0%に改善しています。   ドル円はこの発表を受け、一時102円97銭までドル高円安が進み、103円台乗せには至りませんでしたが、NY市場ではほぼ高値圏で引けています。週明けのオセアニア市場では103円台に乗せています。株式市場の方も「調整」を終え、大きく反発しました。ダウは前日比198ドル高で、一気に1万6000ドル台を回復しています。NYダウは「30銘柄」で構成されていますが、この日は全ての銘柄が上昇しました。   株価が急速に上昇したことでシカゴの「VIX指数」(恐怖指数)も低下し、投資家の「リスク許容度」が急速に高まり、低金利の円売りが進んでいます。円は対ドルで売られたばかりではなく対ユーロでは141円台まで売られ、これは2008年10月以来、約5年振りの水準を記録したことになります。またポンド円も一時168円台と、直近の高値圏まで売られるなど、「円全面安」の展開です。   「11月の雇用統計」が良好な結果に終わったことで、次の焦点は17-18日のFOMCの動向に移ります。市場では、次回のFOMCで「緩和縮小」が決定されるかどうかは「五分五分」という見方が主流ですが、個人的にはもう少し「タカ派的」です。米経済指標は「雇用」だけではなく、例えば先週末のミシガン大学消費者マインド指数も「82.5」と前月より大幅に改善しています。その他にもGDPの改定値、ADP雇用者数など、概ね改善傾向を示しており加えて、株価は堅調に推移しています。個人的には、タイミング的にも「緩和縮小」を決定しやすい状況が整ってきたと考えています。   「緩和縮小」に踏み切れば、株式と債券が再び「調整入り」する可能性が高まります。しかし、先週末の株価に見られたように「緩和縮小観測」が高まったにも拘わらず、株価は急騰しました。米景気の良さに素直に反応したものと思われますが、「緩和縮小」は株価に取ってマイナス面だけではないことを市場が織り込み始めたと見ることもできます。今月のFOMCで「緩和縮小」が決められるのか、あるいは来年3月まで持ち越されるのか、それによって株式、債券市場が一旦は売られることになると思われますが、株式に反応すれば「ドル安円高」、債券に反応すれば「ドル高円安」に振れやすいことになり、このあたりの予想は簡単ではありません。   今週ドル円は再び、103円台半ばから上値を目指すことになりそうです。3日連続で101円台半ばから後半を試しましたが、全て押し戻されています。101円台半ばが「底固い」ことが確認されたとも言えそうです。今週は2日に記録した103円38銭を試しに行くと見ていますが、その先には5月の高値103円74銭があります。ここを抜けるかどうかは、今週の日経平均株価次第ではないかと見ています。株価の上昇に弾みがつくようなら、103円74銭突破もあり得るかも知れません。(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ・メディア事業部)
「11月の雇用統計」を受け、ドル円は102円台前半から103円を伺う水準まで上昇。雇用者数、失業率も改善しており、NY株式市場が急反発を見せたことで「リスクオン」が加速し、ドルを押し上げる。
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2013-12-12 15:15