ジャパンフーズは調整のほぼ最終局面、下期以降の収益改善を評価して反発のタイミング
飲料受託生産大手ジャパンフーズ <2599> の株価は、9月11日の今期(15年3月期)業績見通し減額修正を嫌気し、さらに全般地合い悪化も影響して水準を切り下げ、本日(10月30日)は年初来安値となる1060円まで調整している。しかし調整のほぼ最終局面のようであり、下期以降の収益改善を評価して反発のタイミングだろう。
伊藤忠商事 <8001> 系で飲料受託生産の国内最大手である。品目別には炭酸飲料と茶系飲料を主力として、コーヒー飲料、果汁飲料、機能性飲料、酒類飲料、ファーストフード店のディスペンサーでサービスされる業務用濃縮飲料(ウーロン茶、アイスコーヒーなど)を製造している。
主要得意先はアサヒ飲料、キリンビバレッジ、伊藤園 <2593> 、サントリー食品インターナショナル <2587> などの大手飲料メーカーで、容器別にはペットボトルが主力で、缶は戦略的に減少させている。
14年4月に中期経営計画「JUMP2015」のレビューと見直しを発表し、成長に向けた基本戦略をコアビジネス(国内飲料受託製造事業)の収益拡大、新規ビジネス(海外事業、水宅配事業、自社ブランド商品、その他)の着実な推進、そして成長戦略を支える経営基盤の強化としている。定量計画(イメージ)には15年度連結ベース売上高390億円、営業利益15億50百万円、経常利益15億円、純利益10億円、ROE11.4%を掲げている。
新規ビジネス分野では、国内で水宅配事業を展開するウォーターネット、中国で飲料受託製造事業を展開する東洋飲料(常熱)有限公司への出資比率を引き上げている。自社ブランド商品に関しては、本社工場がある千葉県産の農林水産物を使用した商品の開発に取り組み、千葉県を中心に販売している。
14年9月には千葉県と共同開発したレモンウォーター「房総れもん」を、数量限定(280mlPETボトル、800ケース)および千葉県限定で発売すると発表した。千葉県鴨川市産レモンを使用しておいしい飲料を作れないかとの千葉県からの依頼に基づき、試作を重ねて誕生した。
中期経営計画に基づく積極投資も推進して、12年7月に本社工場で世界最新鋭の炭酸・非炭酸兼用無菌充填ライン(Eライン)が稼動した。さらに14年3月には既存大型ペットボトルライン(Tライン)も炭酸・非炭酸兼用無菌充填ライン化した。さまざまな容器を世界最大級の1工場で生産するため、受注状況に応じてラインを組み換えるなど効率的な生産が可能になった。
10月24日発表の今期(15年3月期)第2四半期累計(4月~9月)の業績(非連結)(9月11日に減額修正)は、売上高が前年同期比23.6%減の156億60百万円、営業利益が同49.4%減の7億91百万円、経常利益が同49.0%減の7億91百万円、純利益が同49.1%減の4億77百万円だった。
第1四半期(4月~6月)は消費増税に伴う駆け込み需要の反動影響、第2四半期(7月~9月)は全国的な天候不順や消費減退の長期化の影響を受けて飲料業界全体の販売数量が減少し、当社の受注数量も減少した。さらに缶飲料の受託を戦略的に落としていることも影響して、受託製造数量は同21.1%減少した。コスト面ではユーティリティ経費が減少したが、加工賃売上の減少をカバーできず減収減益だった。
通期の業績(非連結)見通し(9月11日に減額修正)は、売上高が前期比11.4%減の284億円、営業利益が同30.3%減の6億50百万円、経常利益が同28.0%減の6億80百万円、そして純利益が同21.4%減の3億80百万円としている。配当予想は前回予想(4月24日公表)を据え置いて前期と同額の年間27円(第2四半期末10円、期末17円)としている。
下期(10月~3月)の利益は期初計画に対して増額修正の形だ。飲料業界では閑散期の下期が営業赤字となる収益構造だが、今下期の営業利益については期初計画の5億10百万円の赤字から、今回計画の1億90百万円の赤字へと赤字幅が縮小する。飲料業界の在庫調整一巡後の市況回復に加えて、新規受託案件も寄与して、前下期との比較で受託製造数量が増加する見通しだ。さらに新ラインの効率稼働によるコスト削減効果なども寄与する。
収益トレンドで見れば、消費増税や天候不順の影響を受けた今上期がボトムとなり、今下期以降は新規受託案件も寄与して回復トレンドとなりそうだ。さらに来期(16年3月期)は、消費増税や天候不順の影響一巡、新規受託案件の増加、減価償却費の減少などで大幅な収益改善が期待されるだろう。
株価の動きを見ると、9月11日の今期業績見通しの減額修正、さらに全般地合い悪化も影響して水準を切り下げた。本日(10月30日)は年初来安値となる1060円まで調整しており、調整のほぼ最終局面のようだ。
10月29日の終値1084円を指標面で見ると、今期予想PER(会社予想のEPS78円79銭で算出)は13~14倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間27円で算出)は2.5%近辺、前期実績PBR(前期実績のBPS1485円56銭で算出)は0.7倍近辺である。週足チャートで見ると13週移動平均線が戻りを押さえる形となって水準を切り下げたが、下期以降の収益改善を評価して反発のタイミングだろう。低PBRも支援材料だ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
飲料受託生産大手ジャパンフーズ<2599>(東1)の株価は、9月11日の今期(15年3月期)業績見通し減額修正を嫌気し、さらに全般地合い悪化も影響して水準を切り下げ、本日(10月30日)は年初来安値となる1060円まで調整している。
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2014-10-30 14:30