【村山貢司の気象&経済歳時記】三多摩格差と地方創生
筆者は東京西部の三多摩地方に住んでいるが、毎朝TVの天気予報で東京の天気予報が1つだけなのに不満を感じている。
三多摩地区の人口は合計でおよそ420万人、西は2000mを越える山岳地帯である。1ミリ以上の雨の日数は年間平均で都心が101日、奥多摩では120日にもなるから、当然違う予報が出されても良いはずである。
都道府県の中で最も人口が少ない鳥取県の人口はおよそ58万人だが、予報は東部と西部に分かれている。調べてみると都道府県の中で予報が分割されていないのは、東京以外では大阪府と香川県だけである。
首都高速は距離制運賃に変更になったが、中央高速の高井戸―八王子間はいまだに高い定額運賃のままである。他にも都心に比べて格差のあるものが多く、これを三多摩格差と呼んでいる。
三多摩の中心都市である八王子市の人口は56万人を越えており、ほぼ鳥取県に匹敵する。その八王子市でも駅ビルを中心とした地域と郊外の大型商業施設を除いては、かつての商店は姿を消してしまっている。町の中心部には次々にマンションが建築される一方で、山沿いの地域はむしろ人口が減少する傾向になっている。東京に近く、人口も多い地域でもこのような傾向にあるのをみると、安部政権の政策の柱になっている地方創生が軌道にのるとは到底考えられない。一言で言えば、需要のない所に産業が育たないのはもちろん、医療や教育施設も成立しない。交通の便が悪くなれば人は便利な地域に移住するのは当然のことである。
地方創生といってもできることはせいぜい名産品の開発や発掘程度であろう。田中角栄以降の経済実態を無視した、地方へのばらまきが日本の経済を停滞させたことを忘れてはならない。全国の知事会では、使途を制限しない交付金を求めているが、地方創生のための税金を箱物に使うことは絶対にやめるべきである。箱物は建設費よりも維持費に金がかかり、結局地方がさらに疲弊する結果になってしまうだろう。(気象予報士・経済評論家)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
筆者は東京西部の三多摩地方に住んでいるが、毎朝TVの天気予報で東京の天気予報が1つだけなのに不満を感じている。
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2014-11-02 08:30